すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

北高尾山稜縦走

2022-01-19 11:10:31 | 山歩き

 
 5:54の始発のバスで出かける。この時間なら、バスも電車も、新宿駅での乗り換えもまだ空いている。7:30に高尾駅に着き、八王子城跡までタクシーに乗る。1500円。管理棟
 今日も誰にも会わない。月曜日だからもあるが、ここはいつでも、静かな山歩きが堪能できる。ただしぼくはここ数年、このコースに4回来ているが、いちども歩き通したことがない。ぼくのような体力のない高齢者にはきついコースなのだ。夏はもちろん、初夏や秋口でも、「まあ、行けるとこまで行こう」と思って来る。今日は、長距離にいちばん向いている季節だし、日の短いのが難点だが、最後まで歩くのを目標にしよう。
 本丸跡8:30。ここからは急なアップダウンが延々と続く。それにしても、山城というものはどこも多かれ少なかれそうなのだろうが、昔の兵というものはこんなところを駆け回らされて守る方も攻める方も、さぞ苦しかったことだろうな。しかも命がけで。
 富士見台9:20。ここまではコースタイム通りだ。ここまでコースタイム通りに来たのは初めてだ。ぼくの実力としてはペースが速すぎるかもしれない。ここで10分ほど休む。富士が美しい。このコースは最後の陣馬山を除いては、唯一の富士ビューポイントだ。富士の方角だけスギ林を切り開いてあるのだが、それが額縁になってひときわ美しい。
 ここからさらにきつくなる。杉沢の頭、高ドッケ、板当山と、そのほか名もないものも加えて上り下りを繰り返し、林道にぶつかると狐塚峠。ついつい、左の小下沢に下りたくなってしまうところだ。暑い時にはとくに、小下沢の水場の冷たい水が無性に飲みたくなる。ここはこらえて道を続ける。
 最初の小ピークもきつい。続いて杉の丸、黒ドッケ。ここは右に夕焼け小焼けの里におりたくなるところだ。黒ドッケの先のちょっとした岩っぽい場所を越えると、やっとなだらかな陽当りの良い広めの尾根道になり、ほっとする。カラの群れでもいると良いのになあ。ここでゆっくりコーヒーを飲む。北方に大岳山や御前山が見える。さらに大嵐山、三本松山を過ぎると、関場峠。ここで時間的にはコースのちょうど中間。4時間の予定のところ40分ほど余計にかかっているが、この先アップダウンは緩くなるから安心だ。
 堂所山への登りは緩急はあるが下って登り直しというのでないから体調に合わせてこちらも緩急行きさえすればいい。なぜか今日は「サクランボの実る頃」や「ムーランルージュ」や「詩人の魂」など古いシャンソンが歌いたくなる。山頂近くは道が小広くなって両側に笹が続き、春になるとモミジイチゴの白い花が下向きにいっぱい咲く、初夏になるとその黄色い実がいっぱいに実るところだ。
 堂所山の山頂で、皮手袋の片方を落としていることに気が付いた。関場峠の手前でスパッツを外したりおやつを食べたりしたときに毛糸の帽子の上からポケットに突っ込んだのを忘れていたのだ。安心して気が緩んだのだ。うーん、残念。あれは父の形見の手袋だったのだ。もう古いものだが手の甲の側には皮の上に細かいチェックの生地が張ってある、ちょっとおしゃれなものだった。うーん、取りに戻ると2時間弱…諦めることにした。
 ちょっと気分が沈んで、緩やかな道を陣馬山へ。山頂着14:22。もう夕方が近い感じだ。富士山も暗い靄の中だ。富士見茶屋で山菜うどんを食べて元気を取り戻した。ここはいつでもやっているのでうれしい。今まで通ったことがなかった栃谷尾根を下り、一時間ほどで舗装道路へ出る。さらに一時間ほどで16:48分に藤野駅に到着。約9時間かかった。
 通勤ラッシュに巻き込まれたくないので京王線は鈍行に乗ってゆっくり。帰宅したら「13都県蔓延防止等対策要請へ」のニュースをやっていた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 激しい雨 | トップ | ぼくはクマ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

山歩き」カテゴリの最新記事