すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

カワセミの子育て

2019-03-24 21:20:26 | 自然・季節
 自然教育園に行ったら、展示室でカワセミの子育てのビデオをやっていた。
 胸が熱くなった。
 ダイジェスト版だそうだから、本当はもっと行きつ戻りつ、駆け引きとかがあるのだろうが、ぼくの見たとおり書く。
 最初にオスメス交互に崖に巣穴を掘っている(カワセミって、巣は穴なんだね)から、それ以前に番いはできているのだろうが、交尾に至るまでが、まず面白い。
 オスがメスにプレゼント(餌)をあげるのだが、モツゴ(魚)をくちばし移しに渡して、メスがそれを呑み込んで成立…かと思ったら、巣の前の枝に並んでしばらくして、オスがアタックするのではなく、メスが一歩にじり寄る。オスはあわてたように一歩ずれて、距離を保つ。メスがまたにじり寄る。オスがずれて距離を保つ…を繰り返す。だんだん枝の端に行く。あれは、「もっとちょうだいよ」と要求しているのだろうか。
 ついにオスは飛び立って、こんどは大きなザリガニを咥えてきた。メスはそれを呑み込もうとして、でも呑み込みにくそうだ。かなり時間をかけて、くちばしを振って一部を捨てて、少しずつ何とか呑み込んで(ザリガニは喉につかえるだろうな)、これでやっと成立。
 次に、卵が産まれて、交代に托卵なのだが、これがまた面白い。
 オスが枝に止まっていると、托卵していたメスがやってきて、ものすごく大きく口を開けて、オスに盛んに何か言っている(ビデオに音声はない)。そのメスの喧嘩腰の表情がすごい。ののしって凄んでいる感じ。「なにのんびりしてんのよォ。あんたもやんなさいよ。この役立たず!」みたいなことを言っているのだろうと想像できる。オスは(仕方なく?)托卵に行く。
 ヒナが生まれた。交代でエサをやる。最初は小さいものしか食べられない。オスの咥えてきたエサは大きすぎたようだ。まず枝に止まって、それから巣穴に持って行くのだが、しばらくしてから咥えたまま戻ってきて、自分でそれを食べてしまった。メスは、くちばしに隠れてしまいそうな小さな魚を持ってきた。ヒナの成長につれて、エサはだんだん大きくなる。
 天敵のアオダイショウがやってくる。巣のヒナを狙っている。オスかメスか、一羽の親がエサを咥えてやってくるのだが、恐怖で凍り付いてしまったのか、枝に止まったまま身じろぎもできないで、目を見開いている。ビデオを見ているぼくも緊張だ。
 アオダイショウはしばらくのあいだ繰り返し巣穴を覗いていたが、さいわい、なぜかヒナを襲わずに去って行ってしまった。ぼくも、呑み込んでいた息をほっと吐く。
 翌朝、(たぶん撮影した研究チームが)巣穴の周りの崖の藪を刈り払った。巣穴は丸見えになったが、アオダイショウは巻き付くものがないので近づけなくなったようだ。
 ヒナが巣立ちするときが来る。これがまた感動的だ。親鳥は枝に並んで見守っている。巣穴の奥から、親の見守る中をヒナが飛び出してくる。一羽、ちょっと間を置いて、次の一羽…次々に五羽のひなが巣立った。
 枝に止まったヒナを、親はエサで釣って安全な場所に誘導する。エサを与えそうな仕草をして、でも与えない。何度かこれを繰り返した後、親がぱっと飛び立った。ヒナはすぐ追いかけていった。これも、順番に五回。
 ヒナが無事に移動した後、親鳥は二羽とも巣穴に戻ってきた。かわるがわる穴に潜り込む。残っているヒナがいないか、確認しに来たのだ。最後にもう一度、片方が巣穴に入って出てきて、二羽とも飛び去った。
 空になった巣穴を映したまま、エンディングの字幕が出る。
 いやあ、良いものを見た。小さな鳥の親の情愛と人間味(?)あふれる姿に感動した。
 最近の一部の人間の親よりも…などといってはいけないが。
コメント
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