すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

雲取山

2019-03-21 13:00:45 | 山歩き
 家でうだうだしていても仕方ないので、一昨日・昨日と、思い切って奥多摩の雲取山2017mに行った。
 この時期、ぼくの体力と装備で本格的に雪のある山に行くのは多少の冒険ではある。雲取山荘に電話で尋ねたら、「1000mくらいから上は雪、山頂付近で積雪50cmくらい、アイゼンは必須」、とのことだった。ぼくは非常用の簡易テントを持っていないので、ちょっと迷ったが、道はしっかりしているはずだし、天気は良さそうなので行くことにした。
 荷物は家を出る時点で約9、5Kgだった。鴨沢バス停で降りたのはぼくを含めて7人だった。9:35に歩き始めた。心拍数を急に上げないように、と医者に言われているので、ゆっくりと歩く。たちまち6人は見えなくなってしまった。
 七つ石の分岐までは緩やかな、しかし長い登りだ。このコースは5回ぐらいは歩いているはずだが、いっそう長く感じる。途中、ところどころに平将門伝説の荒唐無稽な案内板があって気晴らしにはなる。こんなところに昔は人が住んでいたのだ、とびっくりするような廃屋と畑のあとがある。杉の植林と二次林がかわるがわるに現れる。道端に花は無く、蕾は堅い。春はまだ遠い。林試の森でのぼくの樹皮の観察はまだ実地には全然役に立たない。わかるのはブナの樹皮ぐらいだ。新緑の季節は美しいだろうな、と思う。
 七つ石山への分岐の先から雪が出始めたのでアイゼンをつける。標高1500m付近だ。久しぶりのアイゼンで歩くのはキュッと足元が締まって気持ちが良い。巻き道を通って稜線上の鞍部、ブナ坂に出ると、そこから先は陽当たりがいいので雪と泥の混在だ。アイゼンの爪に泥団子がくっついて歩きにくい。
 奥多摩小屋から先、完全な雪中登山になる。小雲取への登りがとてもつらい。登山地図には25分と書いてあるが、とんでもない。50分かかってしまった。ここから先、頂上を経ずに雲取山荘に行く巻き道があるが、踏み込んでみたら雪の中にずぶずぶ足が沈む状態で、いちいち足を高く上げなければならず、すぐに引き返して雲取山頂を経由するコースにした。
 こちらはしっかり踏み固められていて快適だ。ここからはもう標高差80m。左側に山並みの展望の開けた、緩やかで快適な道だ。なだらかな雪の斜面の上に山頂の避難小屋もくっきりと見える。
 山頂からは絶景なのだが、今回は荷物を少しでも軽くするために双眼鏡もデジカメも持ってこなかったので、視力も落ちているぼくには残念ながらどこが何山とはっきりと同定することができない。もっと背負えるだけの体力をつけなければ。
 雲取山荘には深い雪の急斜面を下って16:40についた。コースタイム5h45のところ、7時間5分かかった。
 バス停からの前半は前後しながら歩いていたおじいちゃんと小6の孫の二人組がいて、途中でおじいちゃんが「ゆっくり行って6時ごろには着きますから、小屋にそう伝えておいてください」と言う。このあたりの山はよく知っている人らしい。5時過ぎても、夕食時間になっても到着せず、心配していたが、ちょうど6:00ごろ、もうあたりが暗くなり始める中を到着した。「ああいう登り方もあるのだな。ぼくもこれから見習えば、少しでも早く小屋につかねば、などと焦らずに登れてよいかもな」と感心した。
 食事後、ぼくを含めて4人でストーブに当たりながら山談義をした。
 ぼくと相部屋の人は両耳にリング状のピアスをした若い男で、すごく静かなやさしい口調の、気持ちのいいしゃべり方をしていた。冬山はほとんど未経験だが、キリマンジャロには登ったと言っていた。山麓から往復50キロを5日間かけて歩くのだそうだ。雲取には奥多摩から石尾根を何度か登ったという。これはすごい。下る人はいても登る人はあまりいないはずのロングコースだ。
 ひとりはぼくと同じ年の男で、雲取は今日が百回目、マイ記念登山だそうだ。すごい! マッキンレー(デナリ)にはツアーで登った。途中でバテてガイドのソリに荷物を一部運んでもらった、と言っていた。
 いま一人は、大型カメラに望遠レンズに三脚の、山のような荷物を背負って登っていた、あまりしゃべらない大柄な男だ。いつもカメラを背負って登るという
 いやあ、あのお孫さん連れも含めて、みんなすごい。やっとこ登っているのはぼくだけのようだ。(自分で言ってしまうけど、やっとこ、というのもそれなりにすごいのだ。)

参考所要時間:鴨沢スタート9:35、堂所12:12(昼食)、七つ石分岐13:20、アイゼン着ける13:32、ブナ坂14:15、奥多摩小屋14:56、巻き道分岐15:50、雲取山頂16:20、山荘着16:40
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする