すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

鈴懸の径

2019-03-04 21:10:52 | 自然・季節
 もう春が来るのかと思ったら二日続けて冷たい雨だ。土・日に友人たちと一泊で三ツ峠山に行く予定だったのに、天気が悪いので取りやめになった。土曜日は、足を延ばして葛飾の水元公園に行った。昨日は一日家にいたが、二日も閉じこもっているのはいたたまれないので、今日は雨の中を近くの林試の森まで行った。
 林試の森まで行って、ふと思った。「ぼくはしょっちゅうここに来るのに、しかもここは元は林業試験場だけあって、様々な樹木が大木に育っていて、主な木には名前を書いたプレートまでつけられているのに、ぼくはちっとも知らないじゃないか」と。
 それで、傘を差しながら名前をフィールドノートに書き、幹にさわり、分かりやすいものは特徴も書き、他の木と比べて眺めてみることにした。
 林試の森は東西に細長く、ほぼ真ん中に南北方向に谷があって二つに分かれている。公園の西半分、家から近い方だけ書いたらフィールドノートのページが濡れて文字が書けなくなったので、今日はそれだけにした。ほぼ40種類になった。
 意識してみると、木は幹によってかなり違いがある。色とか、触感の違いとか、模様とか、木肌の剥げ方とか、姿とか。落葉樹はこの時期は花も葉もないのだが、幹の特徴だけで区別がつくものもあるようだ。すぐには覚えられないのは当たり前だが、何回か同じ作業をすればだんだんわかるようになるだろう。この歳になってもぼくはまだ、いろんなことが、少しずつ勉強のレベルだ(少しずつ勉強は楽しいが)。
 こちらの入り口に比較的近いところに、南北に、スズカケの並木がある。短い並木道だが、樹高30mはあろうかと思われる、すごい大木が並んでいる。初夏には、新緑のとても美しいところだ(「新緑の美しさのベスト3は、ブナとカツラとスズカケかもしれない」とひそかに思っている)。
 ここにはスズカケノキとアメリカスズカケノキとモミジバスズカケノキが混じっていて、その見分け方の解説板がある。ポイントは、木肌の剥がれ具合と、実のつき方と、葉の形だ。でも、もう少し東寄りにもスズカケの大木が3本あるが、今の時期、木肌だけで区別するのはちょっと微妙だ。

 そうだ、こんど老人クラブでみなさんと、灰田勝彦の昭和17年のヒット曲「鈴懸の径」を歌うことにしよう。戦時中とは思えない、いい曲だ。
 
 もう少し先に、スズカケの実に似た形の、もう少し黒っぽい実をいっぱい落としている木があった。管理等に持って行って訊いたら、「フウ」という木だそうだ。特徴や、スズカケの実との違いをていねいに教えてくれた。フウは漢字で「楓」と書くそうだ。カエデも「楓」だからややこしい。
 教えてくれた女性に「こんな雨の日にありがとうございます。また訪ねてください」と言われた。そうだ、こんど、観察会に参加してみよう。確か、2か月に一度だったけど。

 林試の森はふだんは思い思いに運動する人でにぎわっているが、こんな寒い雨の日にはほとんど人がいなくて、これもまた静かに心に沁みて良いものだ。
 野帳をつけたりしていたからびしょ濡れになったけどね。
コメント
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