toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

ストロベリーナイト

2011年08月30日 | 読書日記
著者は誉田哲也という全く知らなかった人。

出だしは薬中の父親と子供の話して読んでいて嫌になるような内容。
いい加減辞めたくなったところで、話は急に変り本来のストーリーが始まる。
冒頭は関係無いようで実は犯人の昔の話・・と言うのはこの手の小説では良くあるパターンと思いつつ読んで行く。

穏やかな食事シーンに一本の電話が来てストーリーが動き出す。
謎だらけの死体が発見される・・・
これもまた良く割るパターンだなぁ。
そんな訳であまり期待せずにいると、突然緊張感に包まれて、途中主人公の悲しい過去の挿話など織り交ぜながら結末まで一気に読ませてしまうというなかなかの作品。
意外な主犯は以前書いた、五十嵐貴久の「交渉人」を連想させる。

光文社文庫 定価667円
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臨場

2011年08月29日 | 読書日記
横山秀夫の作品。

横山秀夫といえば4年ほど前に「クライマーズ・ハイ」を読んだのが最初。
この本は表紙の絵が漫画チックでとぼけていたんで期待していなかったんだけど、なかなか面白かった。
その後、同じ作者とは知らずに「半落ち」を読み、読み終わった本を本棚にしまうときに気づき、それで作者名を覚えた。

臨場は検死官が主人公の短編集。
ブログで取り上げるような特別な作品ではなかったけど、どうしても一言書いておきたいことがあった。
「DNA鑑定を行ったら、百万人に一人の確立で一致する結果になった。」
それに対し主人公の検死官が「DNAのほかの部分での鑑定を要求する。」
と言うことが話のキモになっている物語があるけれど、これはおかしい。
DNAの鑑定は最初から数箇所を同時に行うから、そのうちの一箇所だけを議論することはありえない。
これは、警察向けのDNA鑑定装置の開発をしていたから確かな情報です。
もし、横山氏、もしくは関係者が読んでしたらよろしくです・・・読んでいるわけ無いと思うけど(笑)
ちなみに私達が開発したDNA鑑定装置は検出系が6個あり、試薬を選べば1つの検出系で2箇所の鑑定ができるので、一度に12箇所(専門的には12ローカスと言います)の鑑定が可能です。


光文社文庫 定価590円

クライマーズ・ハイ 文春文庫 定価629円
半落ち 講談社文庫 定価590円
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朽ちた樹々の下で

2011年08月26日 | 読書日記
真保裕一の著作。

だんだん謎が解明されていくからミステリーと言うのか、最後まで真相が分からないから冒険小説というのか・・
真保裕一らしい小説と言うのが一番ぴったりの作品。

物語の発端となる準主人公の女性の行動の訳が良く分からないし、全体を通して追いかける人たちがそこまでするのか・・と言う思いは有るけれど、物語の緊迫感のためにはそうせざるを得なかったんだろうなぁと思わせる点も他の真保裕一の作品と共通する点。
リアリティとの兼ね合いが難しいんでしょうね、きっと。

講談社文庫 定価876円
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信州・高原列車殺人号

2011年08月23日 | 読書日記
辻真先の作品。

この手の小説(中学生向きと言うか初心者向きと言うか・・)はあまり買わないんだけど、タイトルで買ってしまった。
舞台はうちのすぐ近所の野辺山高原。
ただし、別の場所であってもストーリに大きな影響は無いので、野辺山高原である必然性は無い。
内容は想像通り、清水義範の「やっとかめ」とか赤川次郎の「三姉妹」をはじめとするいくつかのシリーズと同じで、素人が探偵として活躍するお手軽な推理小説。
普段本をあまり読まない人には読みやすくてお勧めです。

光文社文庫 定価533円
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李歐

2011年08月22日 | 読書日記
著者は高村薫。

以前読んだマークスの山が割と面白かったと言う印象が有ったんで期待して読んでみたが、少々期待外れ・・

とりあえず読んだ感想は「?」。
まず殆どの登場人物が何を考えているのかさっぱり分からない。
そういう人物が何人か登場する小説は山のように有るけれど、この小説は殆どの登場人物の考えていることが理解できない。
そして主人公が自首して殺人幇助で有罪になるけれど、電話を取り次いだだけでそれはないだろう・・・

また登場人物に朝鮮人や中国人が多くて、しかも偽名が入り乱れて誰が誰なのか。。。

この本を読むときは、登場人物をメモしながら読むことをお勧めします(笑)

講談社文庫 定価714円
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螺鈿迷宮

2011年08月17日 | 読書日記
最近話題の海堂尊の作品。
チーム・バチスタの栄光、ナイチンゲールの沈黙、ジェネラル・ルージュの凱旋、イノセント・ゲリラの祝祭と続くグッチ&白鳥のシリーズと登場人物も舞台の町も同じだけど主人公と病院が異なる。
一応ミステリィになってるけど、一風変った仕上がりの小説。
姫宮がヤゲドを負わせる場面では思わず笑ってしまいました。

それにしてもこんな薄い本、わざわざ上下巻に分ける必要ないと思うんだけど・・
出版社が違のに何故?作者の指示なんだろうか??

角川文庫 定価476円(上下巻とも)

ちなみにチーム・バチスタの栄光、ナイチンゲールの沈黙、ジェネラル・ルージュの凱旋、イノセント・ゲリラの祝祭 すべて宝島文庫、上下巻ともに定価476円
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婚約のあとで

2011年08月13日 | 読書日記
阿川佐和子著

主人公の波が連休にアメリカに出張中の婚約者と会って帰国するところから物語がはじまる。
飛行機の中で謎の老人と出会う。

ずっと波の視点で書かれていたのが、その後は波といろんな接点を持つ別の女性が主人公となり、彼女の視点で物語が進んでゆく。
文体も個性に合わせて変るので、読んでいて混乱することはない。

最後はまた波の視点に戻り、波の結婚式の場面で終わる。
最後の最後に、結婚した二人がアメリカの戻る飛行機の中で、最初に波が出会った謎の老人と再会する場面が、波の夫の視点で書かれる。

ストーリそのものは波乱万丈なところも有るがその割りに凡庸な印象を受けるけれど、生き方の違う様々な女性が、それぞれの視点で語るので、他の人からの評価と本人の意識の違いなどが際立って、それが面白い。

新潮文庫 定価629円
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ニッポン泥棒

2011年08月08日 | 読書日記
著者は新宿鮫の大沢在昌。

先日感想を書いた「走らなあかん、夜明けまで」とは打って変わって新宿鮫路線のハードボイルド作品。
あるコンピュータプログラムを巡る攻防に無関係な主人公が巻き込まれると言う冒険小説。

今まで、いろんな小説を読んできているので、文系の人のコンピュータに関する理解度については、こんなもんでしょうと言うことで今更何も言わないけど、性格分析のために星座や血液型も使うという間抜けな表現にはちょっと・・・
ターゲットもソフトそのものより、ソフトを作るためにハッキングして収集した情報にしたほうがリアリティがあると思う。
発想はいいけれど、このソフトにそれだけの価値のある完成度を与えると現実味がなくなる。

と理系人間の私からすれば、いろいろ突っ込みたいところが有るけれど、ストーリそのものは良くできていて一気に読みたくなる内容です。
ただ、タイトルの「ニッポン泥棒」がどこから来ているのか良く分からないけど・・

文春文庫 上下巻ともに定価629円+税
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狼の血

2011年08月05日 | 読書日記
鳴海章(しょう)著

なにしろ主人公がとてもいやな奴。
彼の視点で書かれるせいか、他の登場人物もみんないやな奴、もしくはどうでもいい奴ばかり。
幼馴染のヤクザと娼婦がかろうじて良い人。
読んでいて嫌になってしまう。

最後に意外な人物が黒幕と判明する。
多少の伏線は有るものの、何の脈絡も無く突然判明する感じでちょっと違和感が。

因みに推理小説では有りません。


光文社文庫 定価914円+税
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