toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「ていん島の記」 仁木英之

2019年05月27日 | 読書日記
「ひょっこりひょうたん島」のように外界から閉ざされた「ていん島」を描いたファンタジ。

空に浮かび、森に暮らす山人と平地で農業を営む川人と高原で暮らし鳥を操る空人が暮らしているていん島。
それぞれの民はアジという長によって治められていた。
そのアジ達(とその代理人)が集まった夜、3人が殺されてしまう。
そしてそれぞれのアジの子供達が協力するというお話。

伝説はこうやって作られた・・・という結末になっている。







講談社
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「この橋をわたって」 新井素子

2019年05月17日 | 読書日記
新井素子では珍しい中短編集。
彼女だったら書きそうだな・・・と言う内容でした。

「吾輩は猫である」のオマージュ的な作品が2編並べてある。

後半の約半分を占める中編の「なごみちゃんの大晦日」は新聞の連載らしいけれど、そのせいかまとめて読むとちょっと冗長な感じ。
まとめるにあたって手直ししたほうが良かったんじゃないかな。。

最後に「あとがき」として著者自身による各作品の解説もある。






新潮社
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「ロケット・ササキ」 大西康之

2019年05月13日 | 読書日記
シャープの伝説のエンジニア佐々木正の伝記風小説。
この手の作品の常で、事実とフィクションの境は分からないけれど、面白く読めた。
私の中では、井深大、本田宗一郎、池田敏夫と並ぶエンジニアと言うことで、ある程度は知っていたけれど、他の3人に比べて圧倒的に情報量が少なかったので、この本で彼のことを詳しく知ることができて良かった。

佐々木のエンジニアとしての考えは、同じエンジニアのはしくれとして大いに共感できる。
それと、早川徳次もかなりの大人物だったんですね。。

佐々木の生涯を語りながら、その時代の佐々木以外の人物が主人公のプロジェクトの話も色々出てきたりして一貫性が無い。
技術の進歩の物語ではなく佐々木個人の伝記なのだから、あくまでも常に佐々木が主人公であるような構成にして欲しかった。

物語の中で佐々木が強力なコネクションを持っているというのが一つの重要なポイントとなっているけれど、それがどうやってできたのかが全く語られていないのが不満。
そこを丁寧に描いてもらえたらそれだけで物語の大半を占めてしまうボリュームになってしまうと思うけれど、そこが一番のドラマなんじゃないかなぁ・・・。それとも著者がそれに関して取材しきれなかったのか。。。

話が進んでいった後、その途中の重要な出来事を書くという手法が何度も出てくるけれど、非常に理解しにくくて、その度に読み返して確認しないといけない。
話の流れの中で重要な出来事を書いて、「その後、○○年に××となって、・・・・△△となった。」と言うように順序立てて書いて欲しかった。

物語の進め方もちょっとぎこちないところが多々有る。
この流れから、こっちの方向に話が進むの?と言う違和感があちこちである。
そっちに話を持って行くなら、そこでの話はそうじゃないでしょ!!

以上の点が改善されれば申し分のない作品。

後、電子工学的に正確とは言えない表現がいくつか有ったのが気になった。





新潮文庫
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「神人! 墓石書き換え人」 松本博逝

2019年05月10日 | 読書日記
以前読んだ「姥捨て山戦争」があんまりだったので、全く期待していなかったけれど、それほどひどい内容ではなかった。

墓石を触ると、その墓に埋葬されている人の生きている時代にタイムスリップしてその人と逢うことができる能力を得た、寺の息子である大学生の話。
ある人の死ぬ間際にタイムスリップしてその人を助けると、墓石に刻まれた死亡日が書き換わってその後も生き続けたことが分かるという設定。
ある時、若くして亡くなった大女優を知った主人公は彼女の墓が自分の寺の墓地に有ることを知り、彼女に逢いに行く。
実際に逢って彼女に魅せられた主人公は恋に落ちてしまう。
それ以来、毎週金曜日の夜に彼女に逢いに行く生活が始まる。
そして、主人公は彼女が殺される場面にタイムスリップし彼女を助ける。
現代に戻った彼は、彼女の墓が消滅していることを確認する。

設定が斬新でストーリもそこそこ楽しめるけれど、文章が稚拙だし、細かい展開にはかなり無理がある個所がテンコ盛り。
無理やり辻褄を合わせるような不自然な展開も有るし、もうちょっとどうにかならなかったのか・・。
ただ、後日譚になる最後のセクションは良い。




ロックウィット出版
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「女子的生活」 坂木司

2019年05月10日 | 読書日記
肉体的には男性だけど心は女性で、日常的には女装して女性として生活している。
ところが、恋愛対象は女性で、そこだけを傍から見れば正常に見えるけど、当人はレズビアンだと思っているという複雑な状況にいる主人公の話。
6章有って、各章が独立した話なので連作短編集の形になっている。

LGBTの専門用語(?)とかファッション関係の言葉が1ページに2つくらいの割合で登場する。
どちらにも全く興味が無いので意味が分からず、いちいち調べていたけれどあまりに数が多いし、意味が分からなくてもストーリの理解には何の関係も無かったのでそれはすぐにやめた。

読み始めてすぐにマニアックすぎる内容について行けず失敗したと感じたものの、読み進めていくと段々楽しくなって来た。
女性の感性も男性の考え方も理解できる主人公がいつも冷静に相手を観察して、自分の思い通りの結末に持って行くところが勧善懲悪の物語を読むようなすがすがしさがある。
登場人物達もみんな良い味出してるし、特に最後の後藤が格好良い。
もしかしたらなかなか良い小説だったのかも・・・。

それにしても読み始めたときと、読み終わった時の印象が180度変わった珍しい本でした。





新潮文庫
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「ざぶん」 嵐山光三郎

2019年05月09日 | 読書日記
明治時代の文士が総出演と言った感じで、とにかく登場人物が多い。
読んだことのある作家の方が少なくて、中にははじめて聞く名前もあった。
もう居ないことを良いことに、こんなこと書いてもいいのか・・・と言うくらい過激なことを書いてしまってる。
彼等の作品や人物のことをもっと知っていれば、かなり楽しめたと思うが、少ない知識でもパロディやこじつけが分かる個所も結構あった。



講談社
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「ポルシェ太郎」 羽田圭介

2019年05月05日 | 読書日記
(本人曰く)ノウハウさえ知ってれば誰でもできるイベント会社の社長が衝動的にポルシェを買う。
その後、若い美女と恋人になったり、裏社会の人達と仕事したりするが、前振りばかりでなかなか本題が始まらないと思っているうちにそのポルシェを売って物語が終わってしまった。
一体何だったんだろうか?

ポルシェが何かの象徴として描かれていたのかもしれないけど、ポルシェを運転したいと思わないし、そもそもポルシェって車は名前は知ってるけどどんな車か知らない私には良く分かりませんでした。





河出書房新社
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「ギブ・ミー・ア・チャンス」 荻原浩

2019年05月03日 | 読書日記
いかにも荻原浩らしい(だから私が大好きな)短編集。
冒頭の「探偵には向かない職業」と言うのはタイトルが破綻してるけれど、正確には「探偵に転職するには向かいない職業」。

全8作でどの話も主人公の一人称。
そしてどの話も最後はほっこりした気分になれる。




文藝春秋
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「ゆえに、警官は見護る」 日明恩

2019年05月01日 | 読書日記
正木星里花と言う元アマチュアレスリングの若い女性が登場。
いつものことながら彼女や、やはり初登場の屁理屈大王の宇佐見も含めて登場人物がみんな個性的でしかも魅力的。

今回は塩崎の活躍ばかりで、武本は裏方で出番は少ないと思っていたら最後に大活躍。
武本も刑事に戻って、また塩崎とのコンビで活躍するのも読みたい。
このシリーズは大好きなのになかなか新作が出ないのが悲しい。



双葉社
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