toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

誘拐の果実

2012年03月25日 | 読書日記
真保裕一著


今まで読んだ真保裕一の作品の中では一番面白かった。
ただ、状況設定や少年の人物設定にちょっと無理があって不自然さを感じてしまう。
それにもかかわらず、物語の面白さでどんどん引きこまれていく。
エピローグの部分ではちょっと緊張感が途切れてしまう。

最後に理系の私としては「会議室の中が急激な気圧をかけられたフラスコ内の湯のように沸騰しだした」と言う表現が・・
水の入ったフラスコに急激に圧力をかけても、中の水は決して沸騰しません。
(減圧すれば沸騰しますが・・)

集英社文庫 上下巻 共に648円
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神無き月十番目の夜

2012年03月19日 | 読書日記
著者は飯嶋和一という人。

読み始めてみて、面白くないと思った本でも大体最後まで読む。
今までで途中で放り投げたのは一度だけ。
大学生のとき、学校の生協で買ったタイトルは忘れたけど水上勉の本。
そして、この本が2冊目。

突然何かが起こり、その関係がまるで分らないうちに当然のように物語が進んでいく。
ろくな説明も無いまま登場する人物は一体何者??
読んでいくうちに訳が分らなくなってついに断念。


小学館文庫 638円
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ブルータワー

2012年03月17日 | 読書日記
石田衣良(いら)と言う人の作品。

買うときに裏表紙のキャッチコピーをみて、状況設定がつまらなそうだし、筒井康隆あたりにすでにありそうな話かも・・・と勝手に想像した。
読んでみると、つまらなそうな設定に嵌って、登場する小物なども興味を引いて結構夢中になれた。
ちょっとご都合主義的な展開もあるけれど、逆にどうしてこんなところでつまづくの?と言う場面もあったりする。
全体にリアリティに欠ける印象が有るけれど、それほど気にならない。
ただし、ちょうど真ん中くらいで、DNAを調べるのにPCRで2日ほどかかる・・と言う場面が出てくる。
が、PCR装置の設計を手がけた私は一言言いたい。
PCRそのものは30分もあれば終わります!!

最後は全てがハッピーって終わってなんとなく安心。。

徳間文庫 762円
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サウダージ

2012年03月05日 | 読書日記
著者は垣根涼介という人。

いくつかの話が細切れに語られて、やがて一つの話になっていくと言う良くあるパターンで始まるんだけど、ある話に他の話の登場人物が過去形で出てきたりするんで、その時はそれぞれの話の時間の関係が良く分からない。
全部の話が一つになったとき、全ての話が同時進行だったと分るんだけど、私が深読みしすぎてただけでしょうか。。
分量的にはサブストーリーの方がはるかに多くて、メインの話だけならすぐに終わってしまう。
話毎に主人公が変わるけど、一応全体を通しての主人公の耕一はDDと言う女性に振り回されるんだけど、DDの行動がでたらめすぎて現実感が無い。
それが最後の行動の布石になっているんだけど・・
その最後の行動によって、耕一はあることをするんだけど、その意味は全く理解できない。
ハイライトなんだからもっとすごいことをさせれば良かったのに・・と思ってしまう。

この小説にも後日譚として「エピローグ」の章が付いてるけど、ここでハードボイルドが一気に安っぽい恋愛小説になる。


文春文庫 定価619円
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月の扉

2012年03月03日 | 読書日記
作者は石持浅海という人で、はじめての人。男性が女性化は不明です。

最初のうちは空港で繰り広げられる現在進行形の事件と、この事件の背景になる過去の出来事が交互に描かれる。
初めはいいけど、事件のほうがだんだん進んでいくと、途中で入ってくる過去の話がどうでも良くなってくる。
しかし我慢して読んでいくと、過去の話が追いついてきて現在の話だけになって読み易くなる。

空港で起こされたハイジャック事件の最中に発生した殺人事件の謎を解明するという凝った構成。
ハイジャック事件の動機が、過去の話として語られるけどイマイチ納得できないけれど、殺人事件の舞台として必然性があったんでしょう。
後は全体的に上手くまとめられている。
事件の最後に、この手の小説のお決まりのどんでん返しが待ってるけど、これはちょっといただけ無かった。
逆に、最後に出て来る後日譚は「書かなきゃいいのに・・」って思う小説が多い中で、良い味を出している。
「月の扉」と言うタイトルもここで生きてくる。
でも、いただけなかった「最後のどんでん返し」が有ってこその内容だから、やっぱりこの形で良かったのかも。。


光文社文庫 590円
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