toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「とわの庭」 小川糸

2021年10月28日 | 読書日記
盲目の少女「とわ」が一人称で語る物語。

盲目で世間知らずと言う設定のとわが語る内容ははっきり明確に理解することができず、何となく物語が進んでいることがわかるだけで、ちょっとイライラしてしまう。
母親があるとき突然いなくなって一人ぼっちになってから、施設に保護されるまでの展開は抽象的な描写ばかりで、何が起こっているのかまるで分らない。
ここまでで全体の半分も使わずに、サラッと流して欲しかった。
(はっきり言ってここまで読むのが辛かった・・・・。)

保護されて色々な事実が明らかになり、とわ(ここで田中十和子と言う正式な名前が与えられる)の生活環境もすっかりさまがわりし、ここから物語が急に動き出す。
そこからがこの物語の中心で、ようやく物語が始まった感じがする。
とわはどうやって生活していたのか触れらてないので分からないけれど(もしかして生活保護?)、とわが幸せに充実した生活を送っている様が良く描かれている。





新潮社
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「本を守ろうとする猫の話」 夏川草介

2021年10月27日 | 読書日記
やけに哲学的なファンタジー。

読書は好きだけど、必要以上に本をあがめたりするのは馬鹿らしい。
面白い本も有ればくだらない本もあるんだから、一律に扱う必要も無い。

著者は本に対して思い入れがあると言うことだけは良く分かった。







小学館
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「サロメ」 原田マハ

2021年10月25日 | 読書日記
オーブリー・ビアズリーの生涯を姉のメイベルの視点から描いた物語。
全く興味の無い世界の話で付いて行くのがやっと。

私のとって原田マハは当たり外れが大きい。






文藝春秋
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「あの春がゆきこの夏がきて」 乙川優三郎

2021年10月24日 | 読書日記
ある男の一生が連作短編集のような構成で描かれている。
主人公の考え方や行動原理が理解できないので共感できず、最後まで遠くから眺める感じでいた。
つまらない訳じゃないけど、面白くも無い・・・。





徳間書店
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「みかんとひよどり」 近藤史恵

2021年10月23日 | 読書日記
ジビエ料理を得意とするシェフと猟師の話。
ある事件をきっかけに徐々に心が通じ合ってゆく友情物語。
料理はみんな魅力的だし、登場人物がみんな個性的で楽しい。

野生鳥獣(主として鹿だけど)の食害問題や行き過ぎた自然保護団体の話なども・・・。





角川書店
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「ライオンのおやつ」 小川糸

2021年10月22日 | 読書日記
ほのぼの系の物語を期待して小川糸を選んだんだけど、全く違う方向のお話でした。
だからと言ってがっかりしたわけじゃ無くて、これはこれで大正解でした。
ただ、読むタイミングを間違えないように・・・・。

私も一人なので、最後はライオンの家でマドンナたちと暮らせたらいいなぁ、と思うのでした。





ポプラ社
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「本日、サービスデー」 朱川湊人

2021年10月21日 | 読書日記
表題作は最近の朱川湊人らしい荻原浩風な話。

「東京しあわせクラブ」はちょっとブラック。

その他は「あおぞら会談」、「気合入門」、蒼い岸辺にて」。

これはこれで面白かったけれど、他に人でも書けそうな物語。
もう「箱庭旅団」みたいな作品は書かないのかなぁ・・・。





集英社
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「<銀の鰊亭>の御挨拶」 小路幸也

2021年10月21日 | 読書日記
私にとってだけど、意外にも本格ミステリ。
後半まで謎は深まるばかりで、残りページ数が少なくなっていくのに解決するのか心配になるほど。

=== ネタバレ有り ====
で、結局本当のことは分からないまま終わってしまう。
ただ、刑事のそれらしい推理が披露されるという展開。
でも、本格ミステリだって、結局は読者が納得できる謎解きが有るだけだから、物語の中で事実が明らかになろうと推理で終わろうと同じことなんだよね。。。






光文社
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「勿忘草の咲く町で」 夏川草介

2021年10月18日 | 読書日記
老人医療、延命治療、地方医療などの重いテーマを、研修医と看護師の恋愛サイドストーリでオブラートに包んだ小説。
難しいテーマで正解は無いけれど、考えなければならない重要な問題。
でも、みんな正面から考えたくないから先送りするだけなんだろうな・・・。





角川書店
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「三途の川で落としもの」 西條奈加

2021年10月17日 | 読書日記
設定がイカしてる。
小学6年生の叶人(かなと)が三途の川へ辿り着き、ひょんなことからそこで江戸時代の武士十蔵と虎の助と3人で渡し守(カローン)をすることになる。

3人で職場の三途の川と現世を行ったり来たりのドタバタが、最後は西條奈加らしい人情物語になる。






幻冬舎
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「ノミのジャンプと銀河系」 椎名誠

2021年10月14日 | 読書日記
様々なテーマについて、著者の体験、文献調査、考察などを書いたエッセイ集。
いかにも椎名誠らしい切り口で、飽きさせずに最後まで一気に読めてしまう。

ただ、理屈っぽい理系の私から言わせてもらうと、おかしな表現もチラホラ。
例えば、「液化したメタンガスの海」とか。。。。



新潮選書
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「生活魔術師、百鬼夜行に挑む」 丘野境界

2021年10月13日 | 読書日記
ファンタジーのシリーズ物と知らずに手に取ってしまった。
当然のように書いてあることの半分くらいしか理解できないけれど、結構説明が丁寧だったりするので読んでいると何となくストーリが理解できる。
いわゆるドタバタだけれど、ただ滅茶苦茶と言う感じじゃない。
シリーズを最初から読んでいる人にはたまらないかも・・・。
個人的には微妙なところ。。





宝島社
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「踊り子と探偵とパリを」 小路幸也

2021年10月12日 | 読書日記
パリにやってきたイギリスの富豪の息子ユージンが、キャバレーの踊り子ブランシェと恋に落ちる。
アメリカからやって来た探偵マークの助けを借りてブランシェを助ける物語。

小路幸也にしては異色の作品。





文藝春秋
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「指切りパズル」 鳥飼否宇

2021年10月11日 | 読書日記
鳥飼否宇は「ブッポウソウは忘れない」以来2冊目。

この本はちょっとだけ本格っぽいライトミステリと言った感じの小説。
流石にこれを本格ミステリとは言ったら島田荘司が怒ります。

そもそもすべての発端となる出来事の状況が不自然過ぎる。
ファンの前でまさにステージに上がろうとしてるアイドル歌手グループがいきなり動物の檻に手を入れて撫でようとするなんてありえないでしょう。
コンサートの始まる前とか、終わった後の出来事なら納得できるけれど・・・・。

その後も不自然な場面が結構ある。
例えば、
 ピッキングされた事件が起こったホテルにそれ以降も居続けるのはおかしい。
 ビレナノクの屋上の鍵は外側から(屋上側から)施錠される構造って変。
 動物園のタヌキの通路を何故みんなが知っていた?
 持ち去られたスマホの位置情報が動物園で途切れてたって言ってるのに、持ち帰って中身を見るという推理は成り立たない。
など・・・・。

連続指切断事件の物語は最後まで全体像が分からなくて結構楽しめる。
最後の謎解きも、探偵役の古林が刑事に説明する形で、良く有るミステリのような不自然さが無くて好感が持てる。
何と言っても、それぞれの事件が独立していることはすぐに想像がつくものの、すべて予想を超えた展開で結構気持ちよく騙される。
「ちょっとだけ本格っぽいライトミステリ」は最近多い気がするけど、その中では一番の出来かも。


ところで登場人物の名前が珍名さんばかりで、最初はその違和感でちょっと戸惑う。
普通なのは刑事の谷村と南くらい。
その谷村が「チタクリ」を必ず「ひったくり」と間違えて呼ぶのがお約束になっているけれど、完全に滑ってます。
探偵役の古林が、色んなことを連想するのは結構面白いんだけど。









南雲堂
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「ゴースト」 中島京子

2021年10月09日 | 読書日記
ゴーストと、何となくゴーストを連想させる短編集。

第三話「きららの紙飛行機」はいかもの中島京子らしい作品で、収録作品の中では一番良かった。

第四話「亡霊たち」は後半の展開が良く分からないけれど、ホラーということなのかな?

第七話「ゴーストライター」はいったい何だったんだろう??




朝日新聞出版
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