toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

三味線ざんまい

2011年09月30日 | 読書日記
群ようこのドキュメント風エッセイと言ったら良いか・・
彼女が三味線を習い始めてか名披露目までの出来事が日記風の連作エッセイでつづられている。
エッセイストとしては私の中で一番の彼女の作品、間違いなく面白い。
他の作品と同様、地なのか、意識して書いているのか分からないけど、何気ない文章がやたらと面白くて一気に読めてしまう。
三味線の稽古と言う全く未知の世界の話だけど、引き込まれて自分が体験しているような気持ちにさせられるのはさすがです。


角川文庫 定価476円
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空をサカナが泳ぐ頃

2011年09月29日 | 読書日記
浅葉なつと言う性別不明な作家の、(多分)処女作(もしかしたら今のところの唯一の作品)。

空を魚が泳いでいたら、いつでもどこでも釣りができて良いなぁ・・・と思い、思わず買ってしまった本(笑)。
軽い文章とストーリで、しかも活字が大きいので気楽に読めてしまう。
最初の方で「ていうか・・」という接続詞が多用されるのと、いかにもと言う感じの文章の軽さがちょっとやりすぎな感じがしないでもない。

軽薄なドタバタ小説かと思いきや、ラストはなかなか泣かせるところが、「メディアワークス文庫賞」(聞いたこと無いけど・・)さすが受賞作品。
ただ、もうとっくにネタばれしてることを主人公が気づかずにいるところがちょっと不自然ですね。


メディアワークス文庫 定価590円
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熱砂

2011年09月27日 | 読書日記
著者は前に書いた「ミッドナイトイーグル」と同じ高嶋哲夫。

ミッドナイトイーグルよりは、登場人物の行動が理解できる分、物語により入り込める。
結構緊迫した状態が続き、読んでる方も興奮してくるけれど、状況の描写がイマイチで情景が浮かんでこない。
次の場面で、「雪が・・」と出てきて、雪があるのか・・と思ったり。
そんな感じで、思い描いた情景がどんどん否定されていって、どんな情景なのか分からなくなる。
見たことも無い外国の話なので、その辺りをもう少し上手く書いて欲しかった。。


文春文庫 定価800円
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悪霊の棲む部屋

2011年09月22日 | 読書日記
著者は塔山郁(とうやまかおる)と言う人で、別の作品でこのミスの優秀賞を取っているらしい。

この作品はホラーと言うか、日本の昔話(あるいは民話)を現代版にアレンジしたような話で、最後まで面白く読める。
最後に関係者がみんな親族だったと言うのもなんとなく納得できてしまう。
ただ、不満な点が二つ。
故意にやっているのか、単に下手なだけなのか分からないが、突然話し言葉のようなやたらと長い文章が頻繁に登場する。
「・・・・なので、・・・・だから、・・・、でも・・・・、・・・・・・・」と一つの文章が10行くらいに及ぶこともある。
いきなり出てくるので頭の仲のワーキングメモリがいっぱいになってしまい、読み直さないと文章が理解できない。
折角テンポ良く読んでいるのに、これが出てくるとリズムが崩れてしまう。
故意にやっているとすると、何のためにやっているのか・・
何の効果も無いうえ、ただ読みにくいだけ。

それと、一行開けて話の展開が突然変るという構成が多すぎる。
急に過去に戻ったり、別の人の視点に変ったり、場面が変ったりするのは良くあるけれど、そのたびに読み始めてから理解していかないといけないので、これほど多用されると読んでいていらいらしてしまう。

折角面白い話なのに、テクニックの部分でイマイチ。
この人は、小説が上手いのか下手なのか良く分からない(笑)
編集者は何も言わなかったんだろうか・・


宝島社文庫 定価657円
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夢見る黄金地球儀

2011年09月21日 | 読書日記
チームバチスタでこのミス大賞を取った海堂尊の作品。

登場人物は違うけど、舞台はバチスタからの一連の作品と同じく桜宮市。
ミステリーではなくて、展示されている黄金の地球儀を盗みに行くと言う内容のドタバタ作品。
文章の端々にギャグ満載で荻原浩の作品を読んでいるような感覚になる。
ストーリも飛んでいて読んでいるとどんどん引き込まれている行く。
ただ、最後の場面はちょっとドタバタになりすぎて冷めてしまうし、エピローグも余計。

ちなみに国家公務員とヤクザの共通点は
人の懐を当てにして、自分の都合の良いルールを適用する。
逆らった人間に対し厳しい懲罰で対する。
と言うことらしい・・・


創元推理文庫 定価640円
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背徳経営

2011年09月19日 | 読書日記
江上剛と言う人の作品。

銀行を舞台にした権力闘争の話で、著者が第一勧銀の広報部次長だったということでその時の経験を下敷きにしていると思われる。
典型的な理系人間で、行動原理の基本は合理性の私には面倒くさくて近づきたくない駆け引きだらけの世界。
誰も信じられず疑心暗鬼な世界なんて私には耐えられないけど、経営者とか政治家の皆さんは好きなんだろうなぁ・・・
と言うことで私には理解できない人たちの遠い世界の物語でした。



徳間文庫 定価762円
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警察庁から来た男

2011年09月17日 | 読書日記
佐々木譲と言う初めて読む人の作品で、解説に寄れば「笑う警官」と言う作品の続編らしい。

タイトルから、安っぽい3流ミステリーを想像していたら大違いで結構面白い。
北海道警察の一部が地元の暴力団と癒着しているらしいと警察庁から調べに来た男達と、それとは別の事件を調べていた道警の刑事達の状況が交互に描かれて行く。
徐々に癒着の実態が明らかになってゆき、2組の捜査が同じところに収束して事件が解決に向かう。
警察内部に犯人関係者がいるので最初のうちはなかなか進展せず、どうなるのかと気を持たせたりして思わず入り込んでしまう。

ただ室内の描写で、「パソコンがある」と書けば良いのに、意味も無く「NECのPCがある」とか「富士通のPCが並んでいた」とかメーカ名を敢えて出しているところがわずらわしい感じ。
あと折角盛り上がってきたのに、最後の展開があっさりしすぎでちょっと肩透かし。
その後どうなったのかが語られていない中途半端な終わり方は、続編があるということなのだろうか?



ハルキ文庫 定価629円
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バスジャック

2011年09月15日 | 読書日記
三崎亜記の短編集。
全部で7編有るけど、最後の2編が比較的長く、他にほんの数ページという超短編が2作とシリーズ物ながら長さはバラバラ。

話題作となった「となり町戦争」と同じく、どの作品も物語の設定が奇想天外。
いずれもシュールな内容で読後感は、星新一のショートショートを読んだときと似ている(けれどこれはSFでは有りません)。
このような小説はなんと呼ぶんでしょうね。。

(正常な?)主人公の周りで主人公には不可解なことが起こる話(「二階扉をつけてください」「しあわせな光」「二人の記憶」「雨降る夜に」「送りの夏」)の他、バスジャックが流行している世の中の話(「バスジャック」)と不思議な能力を持つ主人公の話(「動物園」)。
どれも秀作です。

不思議な気分になりたい方はどうぞ・・・



集英社文庫 定価476円

となり町戦争 集英社文庫 定価476円
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クジラの彼

2011年09月14日 | 読書日記
著者の有川浩は、いろんなところで名前を見かけるのでずっと気になっていた作家。
今回初めて読むことになり分かった新事実。
「ありかわひろし」と言う男性かと思っていたけど「ありかわひろ」と言う名の女性だった。

この本は自衛隊員の、または自衛隊員を恋人にもつ人の短編恋愛小説集。
自衛隊と言うあまりなじみの無い環境の事が出てきて非常に興味深くて面白い。

文章は軽薄なようで、実は良く計算された知的な構成とともに親しみやすく、また読みやすく好感が持てる。
小説によって微妙に文体が変りそれもいい味になっている。
群ようこに近い感じ。一見良さげで、内容がくだらない江國香織とは正反対です。


角川文庫 定価552円
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無痛

2011年09月12日 | 読書日記
久坂部羊と言う医師の作品。

読み終わった感想は「何とも言えない」と言うちょっと無責任な言葉鹿でてこない。
そこで思いつくままに。。

一人悪人が登場するけれど、ここまでしなくても・・と思うくらい酷いキャラクタになっている。
彼に加担していた女性はどうなったんだ??
ラストをより盛り上げるための伏線とは言え、その彼を殺す場面は医師である著者の知識に基づいているんだろうけど生々しすぎる。
思いっきり盛り上がったラスト。さぁどうなる・・と言うところであっさりエピローグと言うのはちょっと尻つぼみで、「この気持ちをどうしてくれるのよ」って感じ。
最後の一行は何なんだ。続編のための布石?


幻冬舎文庫 定価838円
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袖すりあうも他生の縁

2011年09月10日 | 読書日記
今最も好きな作家の一人の清水義範の作品。

清水義範の文庫は最新刊を除けば殆ど持っているんだけど、たまたまこの本だけではどういうわけか最近になってようやく入手。
いろんなかかわりを持つ人の話が、いかにも清水義範らしくシュールに描かれている短編集。
清水義範にしてはちょっと毒が少ない気がするけど楽しく読めます。


角川文庫 定価495円
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Wの悲劇

2011年09月09日 | 読書日記
夏樹静子の代表作ですね。

30年前に話題になった頃、何でも手を出していながら推理小説だけはなんだか邪道な気がして避けていたので、題名だけは知っていたけど読んだのは今回が初めて。
推理小説を読むようになったのはここ5年くらいだけど、その間にミステリーは200冊くらいは読んだ経験から言えば、かなり幼稚に思える。
やはり30年の間の進歩は大きかったんでしょう。

おかしいと思わせる事がそこかしこに有るけれど、特に変だなぁと思ったのは、警察署長が記者会見で最新の情報をどんどん発表してしまうこと。
捜査の途中で裏づけもないような内容を公にするなんて・・・
捜査が進むに連れ、事件が二転三転するたびに、発表内容を訂正するという部分が、ユーモアになっているけど、リアリティの点からはいただけない。
まぁ30年前の日本の推理小説のレベルはこんなもんだったんでしょう。


光文社文庫 定価629円
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六機の特殊

2011年09月07日 | 読書日記
黒崎視音(みお)と言う人の作品だけど、紹介文が載っていないためどういう人か全く不明。

この作品は副題に「警視庁特殊部隊」と付いている通り、特殊部隊の隊長が主人公で、その活躍を描いた物語。
事件が起こると出動すると言うことで、事件毎の短編になっている。

装備や銃器の描写がやたらに詳しくて、警察マニアには嬉しいかも・・
また主人公が仏教に凝っていて、いろいろ薀蓄が語られる。
拳銃にも宗教にも全く興味がない私は読む端から忘れて行ってしまうけれど。。

活動中は緊張の連続で当然シリアスな展開なんだけど、途中に突然ファンタジーになる。
これが最後の場面の伏線になっていたりして、どうもつかみ所が無い感じも無いことはない。
で、小説として面白くないのか・・と言うと、これが結構面白い。
厚い本だけど一気に読めます。
サブドラマとして主人公の恋愛小説にもなっています。
ただ、エピローグは要らなかったかも・・


徳間文庫 定価800円
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雪の夜話

2011年09月05日 | 読書日記
著者は浅倉卓弥。

同じ著者の「四日間の奇跡」や「君の名残を」もそうだけど、状況設定はちょっと特異(四日間の奇跡は特殊な才能、君の名残をはSF、これはファンタジー)だけど、その中での生活を淡々と描いてゆく。
特異な状況では有るが、それほど大きな出来事があったるするわけでなく、静かに物語が進んでゆく。
読んでいて緊張や感動も無いけれど、飽きることも無く時間が流れてゆく。
そして気づかないうちに、物語に入り込んだところで、感動のラスト。
やられた感でいっぱいになってしまう。



中公文庫 定価629円

四日間の奇跡 宝島社文庫 690円
君の名残を 宝島社文庫 743円(上下とも)
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人のセックスを笑うな

2011年09月04日 | 読書日記
山崎ナオコーラのデビュー作。

文藝賞を取り、芥川賞の候補にもなり、ベストセラーで世間を騒がせた作品と言うことで期待して読んだけど、過激なタイトルとは相反して平凡な作品。
特に言うこともなし・・・

一緒に収録されている短編の「虫歯と優しさ」に至っては何が言いたいのか理解できない。

薄い上に活字も大きくてCD一枚聞き終わらないうちに読めてしまうのでコストパフォーマンスも良くない。


河出文庫 定価400円
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