toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「五つのパン」 カレル・チャベック 訳:小野裕康

2019年09月26日 | 読書日記
ショートショート集。

作者はチェコの作家と言うことだけど、チェコについて、キリスト教についてなどのチェコの人としての基礎知識(常識?)が無い一般的日本人の私には何を言いたいのか、何が面白いのかさっぱりでした。
翻訳はこなれていて分かりやすいけれど、内容が良く理解できません。








理論社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「黙秘犯」 翔田寬

2019年09月24日 | 読書日記
殺人事件が起きた。
遺留品や目撃情報からすぐに容疑者が特定され、裏付け捜査が始まる。
捜査が進むうちに関係者が過去の事件に関わっていることが分かり、謎が深まっていく。

どんどん引き込まれていく展開だけど、この物語には特定の主人公が居なくて、警察官の捜査員達が各々捜査することで真相に迫っていく構成。
全体を通しての主人公がいなくて、それぞれの捜査員がそのパラグラフの主人公になるので、物語の進行に一貫性が無いうえ、捜査対象者などとにかく登場人物が多いので読んでいて混乱するばかり。
パラグラフが変わるたびに捜査員と捜査対象者が変わっていくので、この人は誰で何のための捜査なんだっけ?状態で、混乱状態のまま読み進めてそのうち分かって行くか、それでも分からないときは読み返さなければ思い出せなくて、なかなか先に進めない。

パラグラフを細切れにしないでもっと長いスパンにするとか、巻頭に登場人物の一覧表をつけてもらわないとスラスラ読めない。
さもなければ、ありきたりだけど一人の刑事を主人公にして、その人を中心に物語を進めるとか…。

捜査が進むにつれ、単純な殺人事件と思われたものが、もっと大きな事件の一部であることが徐々に分かってくる。
物語の3分の2くらいのところで政治介入により全容解明前に容疑者を逮捕せざるを得なくなる。
逮捕された容疑者は黙秘権を貫き、ここでタイトルと内容が一致する。
しかしそこまでの流れで、容疑者は真犯人では無く、何らかの事情が有って黙秘してることは明らか。
その事情を明らかにするところがそこからの主な展開となるが、その時点でほとんど見えてしまう。
政治家の圧力との戦いがその後の展開の要かと思ったら、尻つぼみであっさりと終わってしまった感じで、最後はちょっと拍子抜け。
途中までの展開が良かっただけに、詰めが甘い感じ。

それにしても三宅刑事の聞き込みの時の一般人に対する口のきき方は問題じゃないの??






角川書店
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ピアニストだって冒険する」 中村紘子

2019年09月16日 | 読書日記
團伊玖磨の「パイプの煙」をはじめ、岩城宏之、佐渡裕、山本直純、仲道郁代、山下洋輔、坂田明、中村誠一など、クラシックやジャズの一流演奏家(指揮者も含む)には、エッセイの才能もある人が少なくない。
中村紘子の本ははじめて読んだけれど(雑誌などに載ったものは読んだこと有りますが・・)、彼女もまた素晴らしいエッセイストでありました。
文章も上手いし、内容も面白いし、そして何より主張がはっきりしていて皮肉も効いている。

音楽の世界の話が多いので、音楽が好きな人はもちろんだけど、あまり興味の無い人でも楽しく読めると思う。
事実だから仕方ないけど、ご自身のことに触れられる話は自慢話みたいになってしまいそうなところを、そのようなイヤラシサは全く感じさせない書き方は流石。。
日本のクラシック界の生証人みたいな人だから、そのあたりの変化の話が一番興味深く感じた。

願わくばそれぞれの作品の発表された日付を入れて欲しかった。

普段はジャズばかりで、クラシックはあまり聴かないけど、久しぶりに彼女のモーツァルトのCDをかけてみた。
彼女の演奏を生で聞きたかった。。





新潮文庫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「銀座の紙ひこうき」 はらだみずき

2019年09月10日 | 読書日記
あまりはらだみずきらしくないな・・・と言うのが第一印象。

別のエッセイを読んでいたんだけど、合間にちょっと浮気したら面白くて、エッセイの方は後回しにしてしまった。

銀座の会社で働いているということで、椎名誠の3部作を連想しながら読んでいたけれど、本に使われる紙の話になると、今度は三浦しをんの「舟を編む」を連想。
その後、友人が持ち込みの雑誌を発行するくだりではまた椎名誠、しかも「本の雑誌」の話も出たりする。
他にも鬼平をはじめ色んな小説が登場して本好きにはかなり嬉しい。
お仕事小説としてのストーリは大変興味深い内容で面白い。
でも、梨木さんとのサイドストーリはイマイチ・・・。

プロローグとエピローグは全く余計。
折角の作品がこのエピローグで台無し。。。








中央公論新社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「人の町」 詠坂雄二

2019年09月10日 | 読書日記
「旅人」が風ノ町、犬ノ街、日ノ町、北ノ町、石ノ町、王ノ町を巡る物語。

それぞれの町を訪れる話は独立しており、連作短編集のような構成になっている。
それにしても固有名詞が出てこないとこんなにも抽象的で分かりにくくなるのか。。。
主人公の「旅人」の名前さえ最後まで分からない。

北ノ町で死んだはずの「旅人」の素性が石ノ町でなんとなく明らかになる。
そして最後の王ノ町でより確かになるが、何者かは最後まで良く分からない。

とにかく、どこの町に行っても哲学的な話ばかりしていて、いつまで経っても物語の本質が見えてこない。
誰も住んでいない石ノ町を道連れになった二人と共に訪れたところから、物語が少し動いたように思えたけれど、そしてそれが最後に訪れる王ノ町で完結する物語の伏線になるんだろうと思ったが、結局良く分からないまま終わってしまった。

やたらに哲学的で抽象的な会話ばかり続く物語で、具体的な進展がないので読み進めるのがちょっと辛い。
「<正解>に瞠目する究極のミステリー」と腰巻に有るけれど、ミステリーだったの??
表紙はSF的だけど、間違いなくSFではない。
とにかく、この著者はもう読まないと思う。





新潮文庫ネックス
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「腐食の王国」 江上剛

2019年09月01日 | 読書日記
この著者のお得意のパターン。
現実を下敷きにした銀行を巡る企業小説。
実際の出来事とフィクションが一緒になって頭が混乱気味(笑)。

そもそもの最初の設定として、一行員が不祥事(殺人事件)を起こしたことに対し、銀行の代表が記者会見したり辞任したりすることは無いと思うけどどうなんでしょう。
上司や担当役員が会見するくらいのことだと思うんだけど・・・。

構成は私が嫌いな、現在の話と過去の話が交互に現れる方式。
さらに途中からは他の人がそこに割り込んでくるので、話が細切れ状態で非常に読みにくいし分かりにくい。
過去の話は一人称、現在の話は三人称(最後は一人称)で書き分けられているので、今読んでるのがどっちの話なのかは分かるけれど、この場面ではあの出来事の前なのか後なのか・・とか混乱してしまう。
時系列の書いて欲しかったな。

企業小説としてのメーンストーリに対して、愛(人名)を巡るサイドストーリも充実していて小説としては満足。
最後は「こうなるとありきたり」だと思った通りになってしまったことと、その後に「そこまでしなくても」の出来事がくっついてちょっとだけ残念。





小学館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする