toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「壺の中にはなにもない」 成井昭人

2020年11月27日 | 読書日記
有名な陶芸家の孫として生まれ、何不自由なく育った勝田繁太郎。
人を思いやるという気持ちや世間を気にするということが全くなく、自分の思うままに生きている変人だけど、祖父だけは彼に才能を認め後継者にしようと考えていた。
そんな繁太郎が大学を卒業してから紆余曲折を経て、全く興味の無かった陶芸家への道を踏み出すまでの物語。

登場人物は変わり者ばかりだったり、設定もかなり無理が有ったりするけれど、最後まで面白く読むことができた。

途中、家族や先祖の話がしばらく続け所が有るけれど、名前がみんな似ていたり誰が何だか混乱するばかり。
これが分かってないと後でストーリが追えなくなるのかとちょっと心配したりしたけれど、この部分はストーリとはほとんど関係ないので、カットして欲しかった。。

「茅ケ崎に背を向けて」は私もサザンオールスターズの中で一番好きな曲。
ここだけは繁太郎と意見が合った(笑)。
知られていないって書いてあるけど、ちゃんとカラオケにも入ってます。





NHK出版
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「どんじり医」 松永正訓

2020年11月24日 | 読書日記
著者が医学部を目指すところから小児科外科医になって国際学会に招待されるまでの青春期。

事実に基づいた小説なのかと思っていたら、著者はエッセイのつもりで書いたものだったらしい。
連作エッセイと言えないことも無いけど・・・。
医者で文士の人は多いけど、この本の著者も構成や文章が上手くてとても読みやすく分かり易い。

分子生物学は私も片足突っ込んだことが有ったので興味深かった。
私がこの分野に関わったのは、彼が研究していた頃より10年くらい後だったが、昔の大変さが良く理解できた。

私は工学部を出てエンジニアになったけれど、医者とエンジニアには共通点が多い。
ただ、エンジニアには「失敗して覚える」とか「とりあえずやってみてダメだったらまた考える」ということが当たり前だけど、医者は失敗は許されないというところが最大の違いですね。

登場人物が全員カタカナで表記されているけれど、読みにくいだけなので普通に漢字で書いてもらいたかった。






CCCメディアハウス
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「谷根千みすてり散歩」 東川篤哉

2020年11月24日 | 読書日記
よくあるライトミステリ作品。
この手の話は、事件も謎解きもたいして重要ではなく、登場人物のキャラクタがキモになるけれど、この小説はそこが上手い。
語り役の女子大生「岩篠つみれ」、そして彼女と同居する兄(兄妹の二人暮らし? 詳細は不明、父は亡くなったと明記されているが母はどうした? 彼女の学費や生活費はどこから出ている??)と住居の1階で兄が経営する居酒屋「鰯の吾郎」という設定もストーリにうまく生かされている。
それから何と言っても、彼女とコンビを組む探偵役「竹田津優介」のキャラが良い。
ただ彼の営む店「怪運堂」は「京極堂」をちょっと連想させたりして、そこはもうひとひねり欲しかったかも。

全4話の連作短編の構成で、どの話も二人のキャラが良く生かされているし、語り手による細かいギャグも上手くはまっていてとてもいい感じで読める。


表紙の絵は謎解き散歩中の「岩篠つみれ」と「竹田津優介」だと思うけど、つみれはピンクのパーカーでポニーテール、竹田津の作務衣は茶色で丸い眼鏡と書いてあるのにその通りになっていないところが残念。





KADOKAWA
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「ふたりでちょうど200%」 町屋良平

2020年11月19日 | 読書日記
総理大臣と同じ苗字の菅君と、彼の小学生時代の同級生の鳥居君が主人公の連作短編集。
内容が良く分からないし、さっぱり面白くない。
読むのがだんだん苦痛になる本でした。






河出書房新社
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「江戸染まぬ」 青山文平

2020年11月18日 | 読書日記
連作短編集の「半席」は別にして、青山文平の短編集はこれが初めて。

最初の5編は、いかにも青山文平らしい話。
終わり方が「それで・・?」とか「ん・・・・」という感じ。

最後の「日和山」と「台」はちょっと違う雰囲気。
青山文平の新境地?
でも、個人的には前半のスタイルの方が彼らしくて良いかも。






文藝春秋
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「イノセンス」 小林由香

2020年11月15日 | 読書日記
言いたいことはいろいろ有るけど、話が重すぎてどうでも良くなってしまった。

色んな意味で結果はハッピーエンドと言う解釈で良かったのかな??





角川書店
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「鳩護」 河崎秋子

2020年11月12日 | 読書日記
OLの日常を描いた物語かと思って読んでいると段々怪しくなって行く。
もしかしてホラー? と思う展開になるが踏みとどまってファンタジチックに進む。
その辺りから面白くなってくるが、逆に物語は進んでいかない。

結局最後まで「鳩護」とは一体何だったのか分からないまま。。
最後は何となくまとまった感は有るけれど、物語も面白かったのか詰まらなかったのか良く分からない。







徳間書店
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「だまされ屋さん」 星野智幸

2020年11月08日 | 読書日記
登場人物について特に説明されることなく物語が進んで行き、会話の中で同じ人物が愛称で語られたり本名で出てきたりするので、関係がなかなか理解できない。
かなり読み進めたところで漸く一家の中の物語なのだと分かってくる。

主な登場人物は、年老いて夫に先立たれ一人で暮らす母と、長男とその嫁、長女とその娘、次男とその嫁と二人の子供たち、そして長女のマンションの向いに暮らす女性と謎の男性。
ところが、この登場人物達が全員普通の感覚の持ち主ではないので、彼等の行動も話す内容もサッパリ理解できない。
どうも作者の理想の世界を描いたファンタジーだったようです。





中央公論社
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