toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

トリアングル

2011年07月30日 | 読書日記
著者はサラダ記念日の俵万智。
彼女の著作は、歌集とエッセイを合わせて10冊ほど持っているけど、小説を書いているのは知らなかった。
読んでびっくり、俵万智ってこういう小説を書くの??
短歌にはそっち系のものも有るけど、外見や経歴(学校の先生)やエッセイからはまるで考えられない内容。
短歌だって、エッセイの中で言い訳めいたこと書いていたし・・

落合恵子の文体を使って、瀬戸内晴海が書いた小説を、斉藤綾子が手を加えたような感じ。
読書好きな人には分かってもらえるかなぁ・・・(笑)

腑に落ちないのは、登場人物の名前。
みんなちゃんと名前が付いているのに、一番肝心な恋人の名前は「M」だし、昔の恋人は名前が出てこないで「アイツ」。
適当な名前を付ければ良いのに・・って思うのは私だけ??

女性はこういう風に思ってるの?と思わされました。
この本、20年前に読んでいたら、人生変っていたかも(笑)


失恋から立ち直るには、一定量の悲しみを、くぐり抜けなくてはならない。
どーんと落ち込んだ場合は短時間ですむが、中途半端な落ち込みかただと、それなりに時間がかかってしまう。
どうしようもない深い傷なら、じっと耐えるしかないが、かさぶた程度だと思うと、ついいじってしまう。
その結果、かえっていつまでも、ぐじゅぐじゅしてしまう。


中公文庫 定価590円+税
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走らなあかん、夜明けまで

2011年07月29日 | 読書日記
新宿鮫の大沢在昌の作品。

作者及びカバーのデザインから当然ハードボイルドだと思って読み始めたら、これがなんとびっくり、途中で清水義文を読んでいると錯覚するような内容。

東京生まれ、東京育ちで箱根から西に行った事の無いサラリーマンが、出張ではじめて大阪に行くところから物語が始まる。
私が始めてやはり出張で大阪に行ったときと同じような感想を持ちながら大阪見物をしていて騒動に巻き込まれるナンセンス。
良くも悪くもいかにも大阪人と言う登場人物が「じゃりんこチエ」のようで楽しい。
大沢在昌ってこう言う小説も書くんですね。。

それにしても、関西弁は一発で変換してくれないので、入力がメンドクサ・・


講談社文庫 定価590円+税
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太ったんでないのッ!?

2011年07月27日 | 読書日記
阿川佐和子と壇ふみのエッセイ。

デリシャスと言う雑誌に連載されていたのを纏めたものらしい。
タイトル通り食べ物に関するエッセイ集。

似た文体で読んでいてどちらが書いたものか分からなくなることもあるけれど、阿川佐和子の方が文章が分かりやすく、言いたい事が分からずに読み返すのはいつも壇ふみのほう。
そもそも、群ようこと阿川佐和子が女性では一番エッセイが上手いと思っているのだけど・・

解説がない代わりに、最後におまけの対談か写真入で載っている。
やっぱりショートカットの阿川佐和子のほうが2段階くらい知的に見えます。

新潮文庫 定価362円+税
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四度目の氷河期

2011年07月26日 | 読書日記
「さよならバースディ」と同じく、荻原浩著で解説は北上次郎。

突拍子も無い設定は流石だけど、荻原浩にしては月並みな展開。
ブログに書くような作品ではないな・・と思いきや、ラスト前の意外な展開。
最後の理解できない行動もそれほどの違和感もなく受け入れられる。
やっぱり萩原浩は侮れない。。

新潮文庫 定価781円+税
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銀行総務特命

2011年07月24日 | 読書日記
著者は池井戸潤と言う元銀行マン。

銀行の不祥事に対応する特命担当の話の短編連作集。
第一話と最後の第八話が特に面白いし、他の話もそれなりに良くできている。
ただ、ストーリ以外の構成に懲りすぎ。
作品により章毎に時間が前後したり、一つの章が「田中は○○・・」と書けばいいところを「男は○○・・・」で始まって最後に「そう言って田中は部屋を出て行った。」と言うように誰のことか最後までわからなかったりするような書き方を多用しすぎるため、ストーリを追うのに苦労する。
折角面白い話だから、そんなに構成を変にいじくらなくても良いのに・・・
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さよならバースディ

2011年07月22日 | 読書日記
荻原浩の作品だから読む前から面白いことは分かっていた。

バースディとはボノボの名前で、霊長類研究センターの主人公とバースディとの物語・・と言うとなんとなく内容が想像できてしまうけれど、途中で事件が発生しその唯一の目撃者がバースディ。
主人公は何とかバースディから真実を引き出そうとしていると、さらに大きな陰謀が・・とミステリィになっていく。
最後はタイトルからわかるようにバースディとの別れの感動の場面。
しかも解説は北上次郎(目黒孝二)。

数冊前に同じ作者の「あの日にドライブ」を読んだけれど、こちらも秀作です。

集英社文庫 定価600円+税

あの日にドライブは光文社文庫 定価619円+税
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不正侵入

2011年07月21日 | 読書日記
天空への回廊と同じく笹本稜平の作品。
単純な事件が別の事件と結びついて・・・と言うよく有るパターンで物語が始まる。
その後、収束どころか謎は広まるばかり。
ハッカーが検察のサーバに侵入した時から急展開。
そこからがこの小説の正念場なのに、詰めが甘いと言うか・・関係者が一気に告白してほとんどの謎が明らかになってしまう。
その後はおまけのような展開で、サスペンスが単純な謎解きミステリーになりちょっとがっかり。

光文社文庫 定価876円+税
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鎌倉河岸捕物控

2011年07月18日 | 読書日記
ところどころ抜けていたところが入手でき、十六の巻「八丁堀の火事」までと『「鎌倉河岸捕物控」読本』が揃ったのを機会に、一の巻(通し番号が付くのは十二の巻から・・・)「橘花の仇」から通しで読み返した。
再起泰英の作品の中ではこのシリーズと「酔いどれ小籐次」のシリーズが一番好き。
ただ、どちらも主人公の周りの人物が良い人過ぎるところがちょっとリアリティに欠けるかも・・

池波正太郎の「鬼平」シリーズと剣客商売」シリーズの新刊が読めない今、もっとも楽しみな時代小説です。

ハルキ文庫
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アガスティアの葉

2011年07月12日 | 読書日記
著者は青山圭秀と言う名前の医者らしい。

アガスティアと言う過去の預言者が個人の過去、現在、未来の姿を椰子の葉に書いていたことを知った主人公の「私」が自分の分を読みに行くと言うドキュメント風のフィクション。
理系の著者だけあって、信憑性を出すためにいろいろ手を打っているので、九州出身でB型の元大臣のように、血液型性格診断を信じているようなお目出度い人なら本気にしてしまうかも・・

幻冬舎文庫 定価648円+税
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愉楽の園

2011年07月10日 | 読書日記
宮本輝著

タイが舞台なので、苦手のカタカナの人名・地名などの固有名詞テンコ盛り。
展開が変ったと思ったら、時間がさかのぼって語られたりするのでますます理解しにくい。
登場人物の行動も理解できないし、私の読解力が無いせいか、復讐とか裏切りとか・・何に対して言ってるのか分からない。。

と言うことで、詰まらなかった訳ではないけど、なんだか分からない小説でした。


文春文庫 定価540円+税
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新解さんの謎

2011年07月08日 | 読書日記
赤瀬川原平のエッセイというか論文というかはたまた書評というか。。。
この本の前に、三木卓の戦後の高校生活を描いた自伝的小説?の「柴笛と地図」を読んだら、冒頭に中学の卒業式に「明解国語辞典を貰った」と有り、突然読み返したくなったので12年ぶりに引っ張り出した。
(奥付に1999年とあるので・・・)
この本が出た頃(文庫でなくて単行本:平成8年と書いてある)、新聞などで結構話題になっていたので文庫になってすぐに買って読んだ記憶がある。
そもそも「新明解国語辞典」がかなりユニークだけど、それを取り上げて考察するところが流石。
今読み返してみてまた笑えた。
南伸坊のイラストや写真がまた笑えるし、一緒に収録されている「紙がみの消息」もなかなかの秀作。


文春文庫 定価448円+税

ちなみに柴笛と地図は集英社文庫 定価876円+税
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検察者

2011年07月03日 | 読書日記
小杉健治著。
小沢一郎で始めて知った検察審査会がテーマの小説。
理系の私には司法の世界のことは全く未知の世界だけど、ミステリーなどで警察と検察と裁判所の役割など多少の知識は有る。
少し前に中嶋博行の検察捜査で検察官も事件の捜査をするんだと知った。
そしてこの小説で、漠然と名前だけ聞いていた検察審査会について知ることが出来た。
(小沢一郎の件が無ければ存在すら知らなかったけど・・)

正義感の強い検察官と検察審査会に選ばれた人と別の事件の弁護士(最終的には一つの事件と言うことが分かる)が真相を明らかにしていく話だけど、検察審査会の女性の行動がちょっと理解できないことと、梓林太郎の作品のように(それほどひどくは無いけど)最後にまとめて詳細を解説するところがイマイチ。。


集英社文庫 定価705円+税

ちなみに検察捜査は講談社文庫 定価619円+税
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陰摩羅鬼の瑕

2011年07月02日 | 読書日記
絡新婦の理と同じく京極夏彦の超厚文庫シリーズの一冊。
この作品はこのシリーズの中でも特に無駄に長い気がする。
宮部みゆきの模倣犯のように同じ場面を別の人物の視点から再度書いているけれど、それによって新しい事実が提示されるわけではない。
またストーリとは直接関係の無い会話や個人の思考が冒頭(ストーリの中ほどの会話を冒頭に持ってきている)を含めていたる所に長々と出て来る。
これが抽象的かつ哲学的な内容で読んでもなかなか理解できない。
またストーリとは直接関係無いもののある種の伏線になっている部分もあり、それが頻繁に現れることも有って中ほどでネタが分かってしまう。
意外さを無くす為にはこうするしかなかったのかもしれないけど、普通の作家なら3分の1ほどでまとめられる内容。


講談社文庫 定価1200円+税
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