カラスの巣立ち

　毎日午前７時ごろにはツモ爺の家の周辺で異様なカラスの鳴き声が聞こえてきます、カラスがちょうど雛が卵から孵り（かえり）朝はお腹が空くとみえて、盛んに親鳥に餌をねだる鳴き声のようです。ちょうど今頃は毎年の例で盛んに鳴き声が聞こえてきます。

　梅雨時で雨が降りしきる時などはカラスの雛は空腹のうえ雨に濡れて寒いだろうなあ、とツモ爺は鳴き声を聞きながらそんな想像をします。きっと親のカラスは必死で餌を探し求めているだろう、この頃は、餌になるごみは網をかぶせてカラスの餌にされないように住人も厳重注意していますから、簡単に餌を得ることは難しいだろう。

　それでも９時ごろにはあれほど喧しく鳴き声が聞こえていたのがピタっと止みます、親鳥は苦労をしても子カラスの空腹を満たしてやっているに違いないと、ツモ爺は想像しています。話は変わりますが人間の親で子供を虐待するニュースが時々あります、子供が可愛いくない、育てられない、など聞くたびにツモ爺の心は悲しくなってきます。