富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

中国は党の総書記に権力を一元化した弱点が露呈した

2019年05月11日 | Weblog

中国は、毛沢東が中国共産党の思想シンボル、周恩来が外交・内政の実務トップという分業が、間違いを是正するのに役立った。党の間違いは、国務院という行政組織が、実行をネグレクトしたり、改善策を実行したり、あれこれ二重の権力が機能を分け合って、明らかな国益ロスを防いできた。だが、習近平総書記の党側が、李克強の国務院側との間で、経済政策において、全く対立する抗争を経験し、国務院側が折れて、総書記の絶対権限に道を拓いた。このように一元化の道を選んだことで、アメリカとの貿易戦争に対する中国側の対処の仕方では、国務院側の実務協議でアメリカとの妥協点を見出しても、習近平総書記が実務協議の内容を批准する段階で、総書記の権威を誇示するために修正を命じた時、トランプ大統領は、すかさずに、総書記の弁事室と、国務院の副総理との微妙なずれをキャッチし、総書記の弁事室の読みの間違いにピンポイントで対抗した。アメリカ側と中国側とでは、貿易の通関データは全く対照表となっており、データのレベルでは両者は共通認識があるので、実務者の協議は技術的にはやり易い。問題は、国益判断のリスクを習近平が追うように仕向けることで、通商・関税の交渉は、数年前の内紛を再燃させ、中国側の習近平が「素人判断」の罪を負う政治カードを持たせた。つまり、トランプの個人資質を軽くみると、日本も相当に手強いことになる。ただし、日本側の経済産業省のデータは、日本側の第三国間の貿易の手の内が、中国にも、アメリカにも見えていないので、実にタフな貿易関税交渉が継続している。中国では共産党のメディアが新華社なので、総書記と一体なので、敵には簡単に「隠していることが何かを読まれてしまう」。それに対し、日本のメディアは、自己学習力や、総合研究所というチームワークがなく、記者ごとの腕で、官庁からの恣意的なリークに特ダネを頼るので、外国筋からみて、メディアを通じ真のデータは流出しない。富山に棲んで、「人民日報」電子版を深く読み込む知恵があれば、習近平がトランプ以上に狡猾さがなく、ゲームの敗者となりかけていることが分かる。北京は、米中貿易戦争につき、事態の深刻さを国民に隠ぺいしている。そこで、中共系の香港の新聞を検索するように心がけている。香港人には、隠しきれない英文の情報が豊富にあり、北京語の香港紙は、沈黙するわけにはいかない。アメリカの真意は、ウイン・ウインの互恵貿易にゴールがあるのではなく、中国共産党の瓦解を誘発する装置を地道に構築し始めている。政治目的には、政治目的を対置している。ここが我々には、きちんと読めていないのである。日本人は、親米主義も、親中主義も不要である。我々が倒されないことが第一なのだ。


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なぜ、安倍政権が長期持続できるのか?(増補)

2019年05月11日 | Weblog

その最大の理由は、国の行政機関の省庁を横断する課長、局長、次官の会議体の創出である。その人事権、考課の権限を総理大臣に「一元化」したことである。これは、中国の習近平に学んでいる。中国では、共産党中央と国務院総理との2重の命令系統を一元化し、共産党中央の総書記に全権を集中した。日本の場合、明治政府このかた省庁の利益が国益を侵害する権力分散化が行われていた。内閣総理大臣は、閣僚を任命するだけで、省ごとに利権を分散所有してきた。その証拠に、富山県庁と国の出先機関は、国土交通省は新潟、経産省は名古屋、農林水産省は金沢と、分散していいる。日本には、総理大臣をトップとする集中管理と政策統一が無かった。その中で、田中角栄さんは、個人の努力で、個々の官僚を一本づりにしたが、そこから漏れた官僚群から復讐、報復された。安倍政権は、国益第一を理念だけでなく、高級官僚に人事権を一元化し、考課の基準に政策の創案力、実行力をおき、任用を一体化した。隣国の中国共産党が、政党に一元化したよりも、日本国の制度が、公的には格段に優れている。というのは、政党は「私権」の融合体である。この事情は、世界共通である。「象徴天皇制」+「議院内閣制」+「公務員試験制度」+「高級官僚の登用ルール化」という一連の改革が実り、ヘーゲルが「法哲学」で理想とした、神聖なる不可侵の聖家族が国家元首となり、階級・郷党の利害を調整する国家にのみ奉仕する官僚の行政制度が完成したわけである。イギリスと日本とは、王政の形式では類似するが、イギリスは依然として階級社会なので、国民が高度情報社会を創生し、運用するような国民教育がないので、さらなる衰退の道をたどるだろう。日本は、聖徳太子の国家論である「神道」(誕生の神秘)「仏教」(死滅の悲しみ除去)「儒学」(生命維持の技法)により、国家の福を有している。安倍さんの資質のよさは、愚直でも、まことに愛国の情念につきる。間違いも含めても、中国共産党に押しつぶされないように、日本の象徴天皇制のもとで、国の行政機関の省庁を横断する課長、局長、次官の会議体の創出と運用の功績は、大いに称賛されるところだと思うのですが、いかがでしょうか。海外の情勢に通じた方と分析しても、ダイレクトに英語、中国語の情報分析をすりあわせると日本国政府は、実に巧妙に立ち回っている。マスコミが、安倍政権を特殊に擁護しないので、外国には、巧妙な立ち回りのネタがばれていない。表面の外交よりも、日本経済という一個の経営のロジスティクス・マネジメントに成功し、富は海外から日本へ流れ込み、将来利益のある外国への投資にも、開発利権にも成功している。


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アメリカと中国との妥協点が崩壊:日本の強みが活きる時代

2019年05月11日 | Weblog

日本にとっても令和の新時代を迎え、世界経済の環境の好転が望まれるところ、遂に、米中の貿易関税の交渉が、再交渉の余地を残しながらも、アメリカを中心とする中国共産党の「強国」姿勢にたいする心理的な反感が世界史の流れを微妙に変化させた結果といえる。これまで、中国が驚異の復興を可能にしたのは、グローバルな「倫理的な黙認」によるものであった。それと、同じ共産主義でも、ロシア共産党・ソ連とはことなる「柔和な顔」を演じてきた演出効果によるものであった。しかし、ここに来て、中国という超大国に地球人類の運命を託してよいのか、そこまでやらせて良いのか、という不安感が台頭してきた。テクニカルにいうと、中国共産党はアメリカの民主党政権との表裏の取引を国家安定の基軸においてきた。トランプ政権のアメリカン・ファーストがここまで露骨に、直線的に高揚するという予想は、中国共産党中央になかったかというと、それは十分に計算していた。だから、喧嘩の種はトランプ政権の側にあると、貿易戦争の被害者の位置に中国をおくことで、中国は中国なりに政治同義的に勝つことを計算し、誠意を尽くし、再交渉の余地を残すと言いながら、別の戦略に踏み込んできている。それが、第2位、第3位の貿易連合の仕組みである。つまり、海外生産をいれると、実質で第2位の日本の企業集団と、第3位の中国との協業である。その核となるのが、米ドルを媒介しない円と人民元による中東の産油国との原油の輸入である。日本と中国とは、アメリカのドル高を好感し、円と人民元の相対的な安値を誘発している。一体、だれが騙されているのか?おそらく、複雑な連立多元の方程式につき、国民の思考能力がないような、アメリカン・ファーストと、心情的に「世界の中心」になりたいと思っている北京人とは、無駄な死闘を行い消耗戦に突入している。日本を代表する企業であるトヨタは、北京の清華大学との共同研究、中国にやたら強いパナソニックとの連携・・・、日本の通商外交政策は、絶好調にあるとプロは読んでいる。当面、国内向けには、国際的な経済環境の不調ということで、この隠れた絶好調は目立たないが、アメリカ人と中華人の自尊心は、相互に自損となる。結局、日本が中和剤を投入するカギをにぎっている。ここが、安倍外交の軸となる世耕経済産業大臣の匠の技である。安倍外交は、面子を意識する思想性の外交は、アメリカ第一、実を重んじる総合商社型の外交は、やや中国よ入りに傾斜している。それは、菅官房長官のグローバル戦略の調整シフトの巧みさである。


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