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今日の筆洗

2017年03月27日 | Weblog

 喜劇俳優の古川ロッパは味噌(みそ)汁が好物で、とりわけサトイモの具入り、ココアのように濃いのがお気に入りで、朝のトーストにもこれを合わせていたそうな。「トーストのバターの味と味噌の味が混じり合って、清々(すがすが)しい」とまで書いている▼味噌汁が生活や世の中を変えるかもしれないといえば、大げさか。料理研究家、土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)。毎日の三食を、ごはん、漬物、それとおかずも兼ねるほど具だくさんの味噌汁による「一汁一菜」にしてはどうか、というのが土井さんの意見である▼共働き家庭は約六割。誰もが忙しい。夫、妻のどちらが担当するにせよ、毎日献立を考え、調理することがどれほど大変か。家庭料理は崩壊の危機にあるのかもしれぬ▼ごはんを炊き、味噌汁を作る程度ならば、さほどの手間はかからない。具だくさんの味噌汁ならば、栄養を十分に取ることができるという▼大切なのは、歯を磨き、顔を洗うように自分で毎日、料理するという生活のリズムをつくることだとおっしゃる▼「あの味噌汁の作り方を書いてゆけ」。古い流行歌にそんなのがあったが、四月から親元を離れるお子さんがいる方は味噌汁の作り方を教えておくのは手である。外食、コンビニ頼りの食生活を少しは防げるかもしれぬ。子どもを見送る三月尽までまだ数日残っている。


今日の筆洗

2017年03月26日 | Weblog

「やあ、ジュリア。初めまして」。ビッグバードが絵を描いているジュリアに声をかける。「…」。ジュリアは返事をしない。黙って絵を描いている▼五十年近い歴史のある米国の幼児向け番組「セサミストリート」。新しいマペット(操り人形)が加わった。四歳の女の子ジュリア。歌うことが大好き。オレンジ色の髪。そして、もう一つの個性は自閉症であること▼ジュリアの起用は自閉症の子のいる家族からの声だったそうだ。番組を制作する非営利団体「セサミワークショップ」はジュリア登場まで五年近く議論と調査を続けた。無理もない。自閉症への理解を深めるためとはいえ、うまく伝わらなければ、からかいの対象になる危険もある▼現実という観点で最終決断したという。米国では就学児のうち、六十八人に一人の割合で自閉症がいる。理解されないジュリアが現実にいる▼返事をもらえなかった冒頭のビッグバード。「ジュリアはぼくが嫌いなのかなあ」と考えるが、そうではないんだと番組は説明する。好きなんだけれど、返事が遅れることもある。それがジュリアの方法。人によって方法は違うけれど、あらゆる方法、個性を認め合おう。一緒に遊ぼう。それがメッセージである▼「自分の子どもの友だちにも見てほしかった」。ジュリアのマペットを操演する女性の言葉。お子さんが自閉症なのだそうだ。