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今日の筆洗

2017年03月08日 | Weblog

 戦うための武器は丈夫に越したことはないが、武器を壊れやすくするために知恵を絞った歴史がある。どんな武器か。想像していただきたい▼答えは投げ槍(やり)である。古代ローマ人が使った「ピルム」と呼ばれる槍で長さ二メートル、重さ二・五キロというからかなり大きい。これを敵に投げ、ひるんだところで剣を抜いて白兵戦を仕掛ける。効果絶大だったそうだ▼ところが問題があった。こちらが投げた槍を敵が拾って投げ返してくる。これを防ぐため、壊れやすい槍を考えなければならないとは皮肉な話で、苦心の結果、槍の一部を柔らかい材質に変え、相手に投げた後、穂先が曲がるように改良した。これだと再利用できない▼四本の不気味な槍である。北朝鮮が弾道ミサイル四発を発射した。在日米軍を攻撃するミサイルの発射訓練であったと北朝鮮側が認めている。訓練目的を明示するのは極めて異例で、それほどまでに日米両国を挑発、けん制したいのか▼ミサイル発射に日米両首脳は北朝鮮の脅威が新たな段階に入ったと身構える。「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の在韓米軍配備も始まった▼その槍は日本海に沈んだが、形を変え、必ずや投げ返される。ミサイルで脅威を高めた上で交渉という戦術はもはや通用しない。待っているのは国際社会からの厳しい批判と制裁。それを理解するのに何本の高価な槍がいるのか。