東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2017年03月26日 | Weblog

「やあ、ジュリア。初めまして」。ビッグバードが絵を描いているジュリアに声をかける。「…」。ジュリアは返事をしない。黙って絵を描いている▼五十年近い歴史のある米国の幼児向け番組「セサミストリート」。新しいマペット(操り人形)が加わった。四歳の女の子ジュリア。歌うことが大好き。オレンジ色の髪。そして、もう一つの個性は自閉症であること▼ジュリアの起用は自閉症の子のいる家族からの声だったそうだ。番組を制作する非営利団体「セサミワークショップ」はジュリア登場まで五年近く議論と調査を続けた。無理もない。自閉症への理解を深めるためとはいえ、うまく伝わらなければ、からかいの対象になる危険もある▼現実という観点で最終決断したという。米国では就学児のうち、六十八人に一人の割合で自閉症がいる。理解されないジュリアが現実にいる▼返事をもらえなかった冒頭のビッグバード。「ジュリアはぼくが嫌いなのかなあ」と考えるが、そうではないんだと番組は説明する。好きなんだけれど、返事が遅れることもある。それがジュリアの方法。人によって方法は違うけれど、あらゆる方法、個性を認め合おう。一緒に遊ぼう。それがメッセージである▼「自分の子どもの友だちにも見てほしかった」。ジュリアのマペットを操演する女性の言葉。お子さんが自閉症なのだそうだ。