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今日の筆洗

2021年08月26日 | Weblog
 とっくの昔に閉めたと聞いた故郷のレコード店のことを思い出している。一九七八年。時代はパンクに移り、ストーンズは古いと同級生は笑った▼「ロックン・ローリング・ストーンズ」。店で手にしたLPは古い曲を寄せ集めた編集盤でジャケットもあか抜けない。同級生は止めたが買った。確か千六百円。中学生は廉価盤に飛びついた。それがストーンズへの入り口だった▼つまらぬ話を書いた。ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなった。八十歳。あの時の中学生が還暦近いのだからストーンズだって年を取る。いつかはこんな日がと覚悟もしていたが、少年期から鳴り響いていた音楽が突然、消えた心地になる▼アクの強いメンバーの中で寡黙な職人のような人だった。汗だくのプレーとは無縁。退屈そうな顔で淡々とリズムを刻む。それでいて醸し出される独特なうねり。結成約六十年、主導権争いの絶えぬバンドの中で温厚な人柄と音楽性がメンバーをつなぎとめていた▼ミック・ジャガーを殴ったという意外な話がある。解散論が出た際のミックの言葉が許せなかった。「チャーリーは関係ない。彼はオレのドラマーにすぎない」。仲間ではなく使用人のような言われ方に手が出た。バンドにこだわった人なのだろう▼要を失ったストーンズ。苔(こけ)むさず、「転石」を続けられるか心配である。

 


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