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今日の筆洗

2024年07月13日 | Weblog

「うん、ほんまに横綱になったんや、母ちゃん」。1974年の大相撲名古屋場所後、21歳2カ月の史上最年少で横綱昇進が決まった北の湖は、宿舎だった名古屋の法持寺から故郷北海道の母に電話で伝えた▼前の場所で優勝し、名古屋の14日目に13勝に達した時点で昇進確実に。取組後に「こんなに長く感じた場所はなかった。特に8日目から今日までが、たまらないほど長かった」と語った▼千秋楽の本割と優勝決定戦はいずれも横綱輪島の左下手投げに屈したが、文句なしの昇進。冒頭の母への言葉は石碑となり、寺の境内に残る▼今年の名古屋場所は明日が初日である。来年から新施設に会場を移すため愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)では最後。会場になった65年以降、北の湖の綱とりをはじめ幾多のドラマがあった▼72年、ハワイ出身の高見山が外国出身力士として初優勝。表彰式でニクソン米大統領の祝辞を駐日大使が読み上げると、涙を流した。93年、曙が貴ノ花、若ノ花との三つどもえの優勝決定戦を制した。曙が若貴に連勝して決し、期待の兄弟対決は見られなかったが、関東地区の視聴率は66・7%に達したという▼北の湖は「憎らしいほど強い」と言われる横綱になるが、名古屋で輪島に連敗した屈辱が原動力になったと後に語った。名勝負は敗者をも育てるのだろう。区切りの場所でも見たいものだ。