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今日の筆洗

2024年08月01日 | Weblog
高校野球の聖地で阪神が本拠地とする甲子園球場。整備の職人として名高かった故・藤本治一郎(じいちろう)さんは風向きや雲の様子から天気を予測した。雲が北東の京都方面へ流れる「京参り」が見られたら下り坂で、海からの浜風が吹く日は好天-。地元で半農半漁で暮らした父に教わったという▼球場の職員が気象台に予報を問い合わせたら「おたくの藤本さん、どない言うてますか」と逆に聞かれたことも。雨が近い時は散水を控え、風が吹くと察すれば事前に土を湿らせた▼黒土と天然芝を誇る甲子園球場は今日で開場100年。空の下で躍動した選手たちが歴史を紡いだが、近年は暑さに悩む▼全国高校野球選手権大会は今年、一部日程が朝、夕の2部制になる。大会期間中、甲子園を明け渡す阪神の長期遠征は選手が消耗する「死のロード」と言われたが、今や死語と聞く。相部屋で寝た昔と違い宿舎は快適。酷暑の本拠地を離れ、東京や名古屋などの涼しいドームで試合ができ助かるという▼かつてはドームへの建て替え論もあったという甲子園。今の姿を永くとどめられるかは、温暖化に対する人類の努力次第とも思える▼藤本さんは「土の身になれ」と先輩に言われたという。野ざらしの土は生き物。刻々と変わるその乾湿や空を見て、何をすべきか考えよとの教えである。この球場に不可欠なのは、自然への畏敬なのだろう。
 
 

 


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