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今日の筆洗

2024年09月05日 | Weblog

車いすラグビーの国際的スター、オーストラリアのクリス・ボンド選手がこの競技についてこんなことを語っている▼「車いすに乗っている人に対し、人々はこんな先入観を持っている。優しく包み込んであげなきゃ、彼らはか弱いのだから」。ボンド選手は言う。この先入観に挑戦しているのが車いすラグビーなのだと▼パリ・パラリンピックの車いすラグビーの決勝で日本は米国を逆転で破り、初の金メダルに輝いた。快挙である。世界ランク1位、オーストラリアの猛攻を堅守で防ぎきった準決勝も忘れられぬ▼車いすへのタックルが認められており、パラ競技の中で最も激しいボディーコンタクトの起こるゲームだろう。車いすが大きな音をたててぶつかる。ひっくり返る。またの名を「マーダーボール」(殺人球技)。恐怖さえ感じる荒々しいゲームを見ればこれがパラ競技であることを忘れるだろう。そして人間の強さをあらためて思う▼「選手それぞれに輝ける場面がある」。逆転のトライを決めた橋本勝也選手が語っていた。障害の重い選手は相手の攻撃を防ぎ、味方のために壁となり、トライへの道をつくる。男女混成で女性選手も巨体選手にぶつかっていく▼自分には何ができるか。それぞれができることを持ち寄り、考え、ひとつとなって勝利を目指す。この調和の競技での日本の「金」がうれしい。お見事。