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今日の筆洗

2023年12月05日 | Weblog

「寒苦鳥(かんくちょう)」。見るからに寒そうな名だが、インドの雪山に棲(す)むというから寒さは尋常ではなかろう。この鳥、鳴き声が変わっている▼つがいで暮らし、夜になると雌は「寒苦必死」と鳴いて寒さを嘆く。これを聞いた雄の鳴き声は「夜明造巣」。夜が明けたら巣を作るからとなだめるのである。ところが、朝日が差し、少し暖かくなると雄は夜の寒さを忘れ、巣を作らない。人の怠け心を戒める仏教説話である▼気候変動に対する人類の態度を寒苦鳥に「お仲間ですな」と笑われたくはない。国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の首脳級会合。気温上昇を抑えるため、日本を含む世界の116カ国が再生可能エネルギーの容量を2030年までに3倍にすることを誓約した▼野心的な目標である。熱波、洪水、干ばつ、食料危機。気候危機に対する世界の「悲鳴」に誓約はあの雄の鳥のようになんとかしたいとは答えているのだろう▼問題は「巣」が本当にできるかどうかに他ならぬ。実現の困難さや各国の抱える事情を理由にその巣作りを永遠に完成しない、まぼろしにしたくない。今年は観測史上最も気温の高い一年になるのが確実だという。もはや解決までに残された時間は少なかろう▼<寒苦鳥明日餅つかふとぞ鳴けり>宝井其角(たからいきかく)。怠けたい気持ちは分かるが、餅ではなく、人類の命運がかかっている。


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