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今日の筆洗

2024年07月26日 | Weblog
 昔、洋酒のCMにこんなのがあった。夜の路上で男性が困った様子の女性にそれなりの額のお金を差し出している▼この様子を見ていた友人が「だまされたな」という。「今の人、病気の子どもがいるって言ったろ。あれ、うそなんだ」。そう聞いても男性はほほ笑んでいる。「よかった。病気の子どもはいないんだ」-▼自分なら全速力で女性を追うなあ。CMを見るたびに己の心の狭さを非難されているような気になったが、こっちのうそばかりは「よかった。救助を求める人はいなかったんだ」とはなるまい。能登半島地震の発生直後、交流サイト(SNS)にうその救助要請を投稿した容疑者が偽計業務妨害の疑いで逮捕された▼「倒壊した家屋に家族が挟まれた」などとまったくのうそを十数回も投稿していたという。情報を受けた警察が実際に出動している。窮地にある人をなんとか助けたいと願い、懸命に捜し回った人がいる。そう想像しただけでうそ投稿に腹が立つ▼救助、捜索に一刻の猶予も許されぬ震災直後である。うそで救出作業が振り回されたら助かるはずの命まで危険が及ぶ。災害時の虚偽情報には厳しく対処せざるを得まい▼「震災に便乗して自分の投稿に注目を集めたかった」という。注目ほしさで現地の叫び声や慟哭(どうこく)への想像力まで失ってしまったか。心ない投稿が集めるのは非難ばかりであろうに。