東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年02月23日 | Weblog
 イエスタディ君。若いころにバブル期を謳歌(おうか)した作家の甘糟りり子さんの周辺に当時、陰でそう呼ばれた男性がいた。東京・環八通り沿いに店があったレストランチェーンの名に由来する▼親が営む中小企業に勤め、親に与えられたソアラで甘糟さん宅に迎えに来てドライブし、若者に人気のその店で総額1万円弱の食事をして会計の際「千円ね」と一部負担を求めてきた▼ごちそうする「メッシー君」、運転手役「アッシー君」ら恋人未満の女性に尽くす男性が多い時代。デートが全額奢(おご)りでないことに衝撃を受けたという。同性の友に話すとやはり驚かれ本人に秘す形で冒頭のあだ名献上が決まる。著書『バブル、盆に返らず』に詳しい▼奢りかどうかは別に、若者も消費を堪能したバブル時代。絶頂期の1989年暮れに記録した日経平均株価終値の史上最高値が昨日、更新された▼人口が減る国内に頼らず、海外で稼ぐ会社が買われている。人々の財布の紐(ひも)は緩くなく、一昨日発表の政府の景気判断でも個人消費は力強さを欠くという。民の熱さが乏しい株高。燃料高などで苦しい中小企業は少なくない▼甘糟さんはバブル時代に「今日より明日はより楽しい」と信じたという。昨日は顧みられぬだけに、その呼称が悲しいイエスタディ君。ソアラをくれた父から大きくない会社を継いだのなら今、何とかやっているだろうか。