Troels Bager & Ina Jeliazkova (USA) - UK Open 2020 - Professional Latin | R3 Rumba
手塚治虫の『鉄腕アトム』の中に「すりかえ頭脳の巻」というのがある。アトムと同じ学校に通う男の子が文句を言う。アトムはロボットだからテストの点がいいのは当たり前。アトムのせいで自分が成績トップになれない。そう母親に訴える▼母親はひそかに「ロボット屋」に依頼し、アトムの電子頭脳をすり替えてしまい、アトムは簡単な問題さえ解けなくなる。「アトムやがんばれよ!人間に負けるな」。窮地のアトムはヒゲオヤジの励ましに必死で勉強し、すり替えられた電子頭脳の学力を自分で向上させていく▼「アトムや」ではなく「AIやがんばれよ!」という最近の話題である。人工知能が手塚漫画を学習し、物語のプロット原案や登場人物のデザインなどを担当した、『ぱいどん』(『モーニング』掲載)。ご覧になった方もいるか▼カラー扉絵に懐かしさで胸がいっぱいになるファンもいるはずだ。主人公の姿。タイトル。色づかい。人間との共同作業とはいえAIがここまで巨匠の作風を再現できるとは。知らなければ、新作と勘違いする▼この手の話には故人のイメージを損なう可能性があるなど慎重論もあろうが、AIや漫画の新たな可能性を開く挑戦とひとまず、受け止める。正直、楽しめた▼新しもの好きだった手塚さん。興味津々で見守っているか。もちろん、「まだまだですね」と注文もあろうが。