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今日の筆洗

2020年03月01日 | Weblog

 落語の「火焔太鼓(かえんだいこ)」に出てくる古道具屋さんのおかみさんの変わり身は早い▼商売の下手な亭主に向かって「おまえさんはどうしてものが分からないんだろうね」「情けない」とさんざん罵(ののし)っていたのに、亭主の仕入れた汚い太鼓がたまたま三百両で売れた途端、「あーら、おまえさんは商売が上手」▼新型コロナウイルス感染に関する深刻な記者会見を聞いて、あのおかみさんが浮かんできたのは不謹慎か。理由は、会見をした安倍首相の変化である▼ややもすれば、独善的な政策決定が目立ち、国民世論の批判を軽視するようなところもあった首相がこの日は「意見や批判に対し真摯(しんし)に耳を傾ける」と頭を下げ、国民に政府対策への理解と協力を求めた。毛嫌いしていた野党にも「お会いし協力を求めたい」▼首相の言う通り、この一、二週間が感染拡大か収束できるかの瀬戸際なのだろう。その低姿勢に事態の深刻さを見るのだが、国民、野党がその首相を信じて感染防止でこぞって協力できるかどうかが心配である▼普段の態度が肝心で首相の言葉に腹を立てる人もいるだろうが、今さら言っても始まらぬ。目の前には、人の命のかかった危機がある。意見対立と分断の時代に容易ではないが、与野党協力して難局に当たらなければなるまい。「厳しい闘いが続くことになる」(首相)。こればかりは曲げられぬ真実である。

 
 

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