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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『英語達人読本』斎藤兆史 上岡信雄

2006年06月23日 | 英語関連書籍
   
サムライブルー、本当に日本中をブルーにしてしまいましたね。残念です。茫然自失、応援疲れを癒したいところですが、受験生はそうもいっておられません。さぁ気分を変えて勉強!ということで、とびきり楽しく、ただし難し~い一冊を紹介します。

斎藤先生の著書は以前 『 英語達人列伝 』 をご紹介しました。他にも何冊か読んでいますが、どれも受験参考書ではありません。本書も“英語学習用”ではありますが、受験英語以上に高級なものです。

ただ、英文科志望の生徒、早慶上智などの英語難関校や外国語大学などを目指す生徒であれば、ぜひ読んでもらいたい一冊ですし、社会人でも、英文学に興味のある方には、その格好のガイドブックとも言えます。

副題は『音読で味わう最高の英文』となっており、編者のお二人が厳選した“名文集”です。著作権なども問題があり、なかなかこの種の本の出版は難しいそうです。英語教育が『実用』 の名の下にどんどん軽いもの、口語表現中心へと進む中で、非常に貴重な一冊です。

28の英文学の作品から、名文と思われるところの一節を抜粋しています。どれも大体200語前後の短いものですが、その小説(家)の時代背景や、文学的意義、もちろん訳と語・文法解説がついていますので、やる気があれば、何とかなるでしょう。

取り上げている作品をいくつか紹介します。

スコット・フィッツジェラルド 『グレートジャツビー』
ウォルド・エマソン『自然』
アーネスト・ヘミングウェイ『二つの心臓をもつ川』
アガサクリスティー『自伝』
チャールズ・ディケンズ『オリヴァー・トゥイスト』
フレデリック・ダグラス『フレデリック・ダグラスの生涯の物語』
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』
オスカー・ワイルド『まじめが肝心』
岡倉覚三『茶の本』
ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』

他にも、このブログで取り上げた、新渡戸稲造『 武士道 』、カズオイシグロ『 日の名残り 』、ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドンどん底生活』(本ブログで取り上げたのは『 ビルマの日々 』と『 動物農場 』) や、一昔前の受験の定番、最近復活の気配を感じる バートランドラッセル『幸福論』 などの一節もあります。

残念なのは、CDです。上記の名作を朗読しているのが、ピーター・バラカン氏とクリスティーナ・ラフィン氏。バラカン氏はご存知の方も多いと思いますが、声は暗いですよね。 

ラフィン氏(女性)はそれ以上に暗く、震えているようにも聞こえます。プロのアナウンサーの方がずっと良かったと思うんですが…、何度も繰り返し聞いていると、不思議なもので、その暗さが“名作の重み”かな~と、感じ始めてしまうからおそろしい(笑)。

一応どのレベルか、参考までに、1番最初の作品(年代順に並んでいます)ウォルド・エマソン『自然』の半分だけ、書き出しておきます。

【 Ralph Waldo Emerson , Nature(1836) 】

In the woods, we return to reason and faith. There I feel that nothing can befall me in life, -- no disgrace, no calamity (leaving me my eyes), which nature cannot repair. Standing on the bare ground, -- my head bathed by the blithe air and uplifted into infinite space, -- all mean egotism vanishes. I become a transparent eyeball; I am nothing; I see all; the currents of the Universal Being circulate through me; I am part or parcel of God.

高校生であれば、最強軍団ブラジルを倒すんだ!というくらいの意気込みで、この最高峰の英文と知的格闘をして下さい。

CD付き 英語達人読本

中央公論新社

詳   細

『英語達人読本』斎藤兆史 上岡信雄
中央公論新社:156P:1575円 


http://tokkun.net/jump.htm


わたくしはこちらで、俗世間の格闘(笑)をしております。
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 300点くらいが260点の差に。まだ、はるかかなたです。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念 (KAZU4502)
2006-06-24 04:17:51
VIVAさんおはようございます、フランス戦を観戦するため、早起きです、ちょうどいま試合開始です、毎日が寝不足と不規則で頭がおかしくなっています(頭は最初からおかしいのだけど)そうそうコメントいただきありがとうございました、負けちゃいましたね、やはりと言うか、世界の差は歴然としていました、日本のサッカーはまだ成熟していないと思いました。僕は素人だからわかりませんてしたが、何かマスコミの「ジャパン強し」と言う視聴率アップ作戦にやられたって感じです、素人が見てこんな技術、体力の差が有るとは予想もしませんでした、なにが決勝トーナメントだよ、なにがオーストラリアは楽勝だよ、なんて思ったのは僕だけでしょうかねぇ。

でも結果はどうであり、選手は一生懸命だったし、最後まで頑張ったわけですから本当に拍手をしてあげたいと思います。

いまは誰が監督をやっても一緒です、選手のレベルそのものが低いんですから仕方ありません、もし強くするならばJリーグのやり方から考え直さないといけないとおもいます。

いつもコメントありがとうございます。

今日は休みですからこれからゆっくりとフランス/トーゴ戦をみたいと思います。
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「ミーハー主義」からの脱却を (湖の騎士)
2006-06-24 07:15:33
英語ができるためには、頭の中の「ミーハー性」を捨て去ることです。文部科学省も現場の先生の多くも、日本全体がミーハーになっている現状で

は英語ができるわけがありません。このような良書を手にしても、その価値が分かる生徒・学生は微々たるものでしょう。VIVA先生は本当に貴重な存在です。一つの哲学を広めているという使命感をもってがんばって下さい。
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コメント御礼 (VIVA)
2006-06-24 15:33:12
kazuさん:相変わらずやってますね。私もサッカーは詳しくないのですが、やはりトップレベルの国のサッカーは、選手を知らないまま見ていても楽しいですよね。今日はドイツでしょうかね。お体を大切に。
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湖の騎士さま (VIVA)
2006-06-24 15:38:28
とお呼びした方がよろしいでしょうか?先生、まことにありがたいコメントをいただき恐縮です。tiakujoさんや先生が、お世辞でもそう言っていただけるので、張り合いがあります。

ところで先生のエッセイが収録されている、『’05年度ベスト・エッセイ集』を読了しましたので、今度、記事にさせていただきます。またご連絡いたします。
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