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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『アフリカの瞳』帚木蓬生

2006年05月03日 | 小説

ある国際的な調査で、日本は世界中でかなり、どころか最も信頼されている国だと示されました。確か小泉首相も国会で『日本は国際社会から孤立している』というような批判に反論し、このデータに言及していました。英語ですがこちらをご覧下さい。
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/home_page/168.php?nid=

同じデータを、子どもにも分かるように簡略化してありますが、うちの塾のメルマガでも『世界に良い影響を与えている国』のデータとして取り上げています。
http://tokkun.net/merumaga0602.htm

そこで、ひょっとしたら、こんな小説が現実であれば、そうなるだろうな、という一冊です。アフリカ諸国の深刻な問題の一つがエイズ、鳥インフルエンザなどです。小泉首相の演説でも、対策の援助が盛り込まれています。

日本でも10代でのHIV感染が増えていると、報道されていましたが、アフリカには国民の1割がエイズにかかり、毎日200人の赤ん坊がHIVに感染して生まれてくるという国があります。原因は国民のHIV感染に対する無知と、薬の不足なのです。

本書では南アフリカに一人の日本人医師、作田が住み、現地人の女性と結婚、人々を救うためにHIVと戦います。大統領が『アフリカンルネッサンス!アパルトヘイトさえはねのけた力を持っているのだ、その力を再び結集すれば…』と繰り返し、絶叫するも、国家の惨状は覆いようもない。

感染に気が付かず、分かっても病院に行けず、薬が手に入らない。若者が、妊婦が、赤ん坊が次々に亡くなっていきます。

戦う相手は病気だけではありません。この状況に援助の手をさしのべるどころか、それにつけこみ巨利を得ようとする外国資本。自国の利益になることにしか援助をしない。WTOはコピー治療薬の製造を認めない。それさえあればどれだけ多くの命が救われるか知っているのに、です。そこら辺の記述に迫力があるのは、筆者自身が医師だからではないでしょうか。

さらに、それに協力することで富と権力を手に入れようとする、地元の政治家や実力者。民衆をなだめるために、ニセの薬まで効能を偽り出回り始めます。それを暴こうとする、主人公とその協力者たちは、手を変え品を変えながらの妨害にあい、命さえ狙われます。

正義感と貧しい人々の協力を頼りに必死に戦う日本人医師と、危険を顧みず彼についてくる人々の純粋な姿に感動します。後半は涙なしでは読めない一冊です。

本書の最後に出てくる、タイトルにつながる詩をご紹介します。

アフリカには瞳がある
大きなどこまでも深い瞳だ
瞳はもう涙を流さない
涙は何年も前に涸れてしまった
涙のない瞳でアフリカは見つめる
大地の緑を 大空の先を
人類の未来を

http://tokkun.net/jump.htm

アフリカの瞳

講談社

詳  細


『アフリカの瞳』帚木蓬生

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
友好とは (Irish)
2006-05-03 21:54:50
VIVAさん、貴重なpollありがとうござます。現在、日本の左翼系の新聞数社とテレビ局数社が自虐報道をしており、日本を特定アジアの属国にしようとしており、過去の太平洋戦争前の戦争責任を清算させようとしています、歴史の捏造、歪曲をしながら。しかし、このpollが示すとおり、日本は世界的に好意を持たれ、逆に近隣諸国、つまり、中国、韓国は世界的に嫌われています。私のアフリカのギャンビア出身の友人が言っていましたが、中国人はアフリカ現地でひどい商売を行い、嫌われているとのことです。そればかりでなく、ヨーロッパの国々でも評判悪いです。結局嫌われ者は敵を作ることで自分が嫌われていることを隠し、自分が不幸なのは隣人が悪いのだと責任をなすりつけるのでしょう。自業自得とはこのことです。ちょっと本の題から話がずれましたが、アフリカの人は日本人に対する期待が大きく、白人に対抗できるのは日本人だけだと思っているみたいです。もちろん、全員ではありませんが、日本贔屓の人は多いようです。日本は嫌われている近隣諸国に援助は打ち切りにして、好意をよせてくれる国に援助をシフトすべき時にきているのではないかと思います。長いコメントすいません。またお邪魔します。

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TBありがとうございました (La fere)
2006-05-03 23:44:02
TBありがとうございました。わたくしもTBさせていただきますね^^
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ごもっとも (VIVA)
2006-05-04 12:12:11
Irishさん:ODAのことなど、そう思います。感覚以上に日本は世界各国から評価されている部分が多いです。逆に外国へ行くと、中国人の評判は良くないなという印象を持つ方も多いですね。しかし、日本のメディアは中国、韓国に遠慮したりするものが目立ちます。

よろしければ、もう一つのデータをご覧下さい。こちらも塾のメルマガで恐縮ですが、こちらには韓国人の好きな国の調査結果がありますが、大きく報道されませんでした。

http://tokkun.net/merumaga0401.htm

嫌韓まっただ中の現状、とても信じられないでしょうが、韓国の若者の間では、日本は非常に好かれていることが分かります。反日は韓国政府の危機意識の現われかも知れません。これまではアニメの影響だったようですが、そこから他のものにも関心が移っているようです。私も話がそれました(笑)。すみません。



La fereさん:コメント恐縮です。またぜひお越し下さい。
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Unknown (Rubber)
2006-05-05 09:58:38
実話ですか?あとアンケートもみさせてもらいました。韓国の方は本当ならすごいけど…。記憶にないですね。
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はじめまして (VIVA)
2006-05-05 11:48:52
コメントありがとうございます。実は本書の前に、同じ登場人物で描いたアフリカの蹄というものがあります。そちらの書評でどなたかがおっしゃっていましたが、ノンフィクションのように読めてしまうそうです。本書も↑で書きましたように、筆者も医者だということを知っていますので、そのように読めますね。しかし、実話だとか、モデルがいたとかいう解説はありませんでした。

アンケートに関しまして。私も結果に驚きましたが、確かにいろいろな書籍で韓国に限らず、子どもたちに日本の注目度が高まっていると指摘がありますね。
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無料募金 (VIVA)
2006-05-05 18:34:48
上記のようなアフリカの惨状を救おうと、ワンクリックで募金ができるサイトがあります。



http://www.dff.jp/



をぜひご覧になって下さい。アフリカだけなく、ミャンマー、フィリピンの子どもたち、身障者スポーツ振興、国境なき医師団への寄付などができます。



募金は企業が行ないます。我々はそこへ行ってクリックするだけです。日本を代表するような企業ばかりですから安心ではないでしょうか。
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Unknown (ヽ(´□`。)ノ)
2006-05-11 09:27:23
はじめまして

TBありがとうございます

わたしもTBさせていただきました。

『アフリカの瞳』とても興味深いです。
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