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『世界は腹黒い』高山正之

2006年06月26日 | 外国関連
   
お人よしで、“平和ボケ” と批判される日本人に知らせたい、世間あるいは権力の裏を指摘している本とでも言えば良いのでしょうか。

いつもコメント下さる福禄太郎さんが、またまた偶然同じ本を読まれており、また、三億円事件を題材にした映画 『初恋』 で、事件の犯人は女子高生!?と聞き、えっ、その前に、ぜひ本書を、ということで紹介します。

もうすでに40年近く前のことになりますが、三億円事件というのが東京・府中でありました。日本史上、最高額の強盗事件でした。どれほどの衝撃だったかを今の30歳以下の人に説明するのは難しいのですが、上で申しましたように、いまだに映画の題材になるほどだということはわかりますよね。

遺留品はたくさんあり、モンタージュも作られました。土地勘があり、オートバイ好きという犯人像が容易に描け、すぐに逮捕されると思いきや、とうとう時効になってしまいました。当初の思惑は見事にはずれ、結局、容疑者のリストは10万人を超え、延べ警察官17万人という空前絶後の捜査体制を敷かざるを得なくなりました。

ところが、当時、新聞記者たちはみな 『彼がホシだ』 と言い切る青年を知っていたというではありませんか。土地勘があり、オートバイ好き、おまけに父親は警察官で白バイに乗っていた。その青年は自殺をした、三億円分の札束を燃やすのに充分な焚き火の煙がその家から目撃もされていた、と。

しかし新聞は書かなかった。なぜ書かないのか、先輩記者によれば、親が警察官だったから。警察に貸しを作り、いつか便宜を図ってもらうのだそうです。書かなかったために、警察はいない犯人を追って何年も捜査をし、新聞も『ついに時効』 などと大々的に報じる始末。信じられますか?

以上が、まえがきに紹介されている一つのエピソードですが、とにかく新聞記者は、政治担当を含めて、事実を書かないというのが筆者の主張です。本書は新聞、テレビで報じられるさまざまな世界のできごとについて、どう読み取ったら良いのか、エッセー風に書かれています。非常に面白い一冊です。

福禄太郎さんのブログ 『 福禄太郎の書評と時事評論 』 では本書の宝くじの部分に注目、記事にされていました。ぜひご覧下さい。


http://tokkun.net/jump.htm


世界は腹黒い―異見自在

高木書房

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