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『日の名残り』カズオイシグロ

2006年03月30日 | 小説

私が高校生たちに薦める小説の中で、自分もとっても気に入っている一冊です。ディケンズやオーウェル同様の名文家で、英語が得意な生徒には本書の話をしたり、原書を見せたりしています。

カズオイシグロは日本生まれのイギリス育ちですが、今やイギリスを代表する大作家であり、その地位を築かせたのがこの小説だと言われています。

名家の「執事」(高校生には“執事”というのが死語ですね)の目を通して、失われつつある伝統的イギリスを語ります。非常に格調高い言葉で書かれており、逆に言えば堅いのですが、読み進めるうちに、英国調の婉曲的な表現が心地よくなるから不思議です。

原書の方も、しばらくの時間辛抱して手に取ってみますと、きっと自分の受験英語はなかなか“高級な読み物”に役立つようにできているのだなと実感できると思います。『読めた!』という、できれば物語と自分の英語力、二重の感動を味わってもらいたいのです。

上流階級の屋敷で催される、歴史に影響を与えるような様々な会議、打ち合わせ、それを取り仕切る執事の姿をイギリス人気質を見せる形で描かれています。そしてその執事は、屋敷がアメリカ人の主人に代わったところで、旅に出ます。その後のストーリーもすばらしい。

是非お読み下さい。

日の名残り

早川書房

詳細

http://tokkun.net/jump.htm

『日の名残り』カズオイシグロ
早川epi文庫:365p:756円


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうか、原書で・・・ (bucky)
2006-03-31 10:08:25
とは、考えてもみませんでしたが、私も何年か前に読みました。映画も見ましたが、抑制のきいた静謐な感じがなかなか良かった。

思ったより、若い作家なんだな、他にも読んでみようかと、「わたしたちが孤児だったころ」を買ったのですが、今のところ、読む機会を逸しています。これをきっかけに読んでみようかな。
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ぜひ (VIVA)
2006-03-31 14:09:31
buckyさん、コメントありがとうございます。

『わたしたちが孤児だったころ』も大変私も好きな小説ですが、本書よりもややエンターテイメント風な作品でした。確か出版された当時は、作家の中で日本ブームだとか言われ、東洋を舞台にした作品が多く出されたような気がします。本書同様にお薦めです。
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トラックバックに (きし)
2006-04-01 20:46:17
驚きました。ありがとうございます。

原書で読むことは、きっと生徒さんたちには良い体験になるのでしょうね。

私などは日本語だけで精一杯ですが。
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はじめまして (緑雨)
2006-04-04 18:32:50
「下流社会」にTBいただいた者です。

こちらにコメントさせていただきます。



この小説、自分も好きです。

気品があって、じれったいくらいの主人公の姿が切なくて。

他の方もコメントされていますが、アンソニー・ホプキンス主演の映画も原作の雰囲気がよく現れていてオススメです。(自分は原作より先に映画の方を観ました。)
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コメント恐縮です。 (VIVA)
2006-04-04 19:07:38
きしさん:そちらのブログでも紹介されていますね。またおじゃまさせて下さい。



緑雨さん:わざわざコメントいただき、ありがとうございます。私は映画は着ておりませんが、みさなんのコメントを拝見すると、良さそうですね。またそちらにもおじゃまします。
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