本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『本はどう読むか』 清水幾太郎

2006年06月19日 | 新書教養
   
読書ブログなのに、最近は、あまり本を読んでおりませんでした。生徒のみなさん!こういうのを“本末転倒”という。みんなもサッカーの見過ぎに注意!

で、初心にかえって、大御所の読書論がしるされた一冊を紹介します。

著者、清水幾太郎氏は、EHカーの『歴史とは何か』やマックスヴェーバーの『社会学の基本概念』の翻訳、そして『論文の書き方』や『倫理学ノート』の著作で知られ、著作集まで出ている、大社会学者です。

実は、本書は今から30年ほど前に書かれ、私が20年以上前、高校生の頃買ったまま、いまだ読んでいなかったのを、つい最近、たまたま見つけて読んでみました。どうして本書を購入したのかはもちろん、購入したこと自体を忘れていました。

『古いほんだなぁ~』と思ってページを繰っていったのですが、おもしろくて一気に読んでしまいました。誠に誠に誠に、大学者に僭越ながら、本に対する考え方が同じだと感じたからです。きっと高校生当時は最初の方であきてしまって放っておいたのでしょう。

私が本を無理してでも、借りるのではなく、買ってしまうのは、借りてしまうと、その本が興味を引かない時に、早く返さなければ、とか、気の利いた感想を言わないと、いう気になってしまう。もちろん書き込めない、汚せないからというのが一つ。

また、そもそも万人にとって、良い本、というのはありませんし、同じ人でも読む時期によって感じ方はまったく異なりますから、本書のように、最初はつまらなくても、20年後に読んで感動することもあります。だから手元に置いておきたくなるのですね。特に名著などと呼ばれるものは。

で、生徒のみなさん! 他の人から薦められてもおもしろくなければ、それがどんな有名で、絶賛されていても、しばらくは放っておいていいのです。大事にしまっておくこと。

で、ご父母のみなさま! 『せっかく良い本を買ってやったのに全然読まない。もったいない』 などとは思わないでいただきたい。名作ならいつか手に取るときが必ず来ます。

本書の中にも“おもしろくなければ読むのをやめる”と主張されていますので、私の本書に対する扱いも、お許しいただけるでしょう。

本の選び方や読み方、整理の仕方などのガイドブックでありながら、著者のエッセー風の文章で楽しいです。外国語の本の読み方や、読書を忘れないための工夫や、本の貸し借りについてなどなど、人生に触れながら読みやすくなっています。

おもしろくて、印象に残ったのは、以下の内容です。本は買わなければならない、ケチはいけないというところで、

『本はどんな無理をしても買う。私がいつまでも貧乏なのは、おそらく、この主観主義的読書法の結果であるに違いない。とにかく、書物と細君だけは借りることのできないものと諦めている。』

と、読書法について答え、この一節が、何冊もの高校の国語の教科書に収録されているのだそうですが、教科書では必ず、『細君』という言葉が削られているのだそうです(笑)。

(もうひとつ、ついでに、生徒のみなさん!『細君』 を“ほそくん” とか “ほそぎみ” とか読んでないだろうねぇ。授業できくぞ。)

http://tokkun.net/jump.htm



本はどう読むか (1972年)

講談社

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『本はどう読むか』清水幾太郎
講談社:182P:714円


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