敬愛する tani先輩が、ご自分のブログ『狸便乱亭ノート』 で、私の紹介した『ユダヤ人とローマ帝国』(大沢武男著)の冒頭部分を取り上げていただき、記事内で本書『昭和史』 をご紹介されておりました。
また、やはり同様に、いつも励ましてくださる、優しい友人、buckyさんも、『40代真面目気分』のブログで書いておられました。私も以前に読みましたので、記事にしてみたいと思います。
昭和史に関して我々は、時間的な制約もあり、学校ではなかなか習うことがありません。ただ、時間の問題ばかりではないのです。以前ご紹介した『転落の歴史に何を見るか』(齋藤健著)でもあったように、どうも学校で教わった歴史と現実とは違いそうだと大人になって知ります。
ご存知でしょうか。中学の教科書は8社あるのですが、そのうち昭和天皇を載せているのは3つだけです。天皇を論ずる以前に、そもそも昭和天皇抜きの昭和史は成り立つでしょうか?
天皇抜きの昭和史では、どうやって日本が戦争へ突き進んだか、2.26事件や、戦後処理の問題などもまったく理解できず、まるで東京裁判のA級戦犯たちだけが戦争を引き起こした印象になってしまわないでしょうか。昭和史や戦争がよくわからない大人世代がすでにいるのももっともなんです。
本書はその昭和史がわからないという若い編集者たち4・5人に懇願されて開いた“寺子屋”を元にし、あとがきで述べられているように、“ずさん極まりないおしゃべり” が一冊の立派な本になったそうです(笑)。
昭和初期の入門書のようで、細かな分析はしないのですが、流れを大切にし、口語体で読みやすいのが良く売れた理由でしょうか。本書が発売された時は、かなり話題になり、新聞各紙が絶賛したそうですね。
私は、半藤氏の作品は、不朽の名作だと思う『聖断』 や『真珠湾の日』 をはじめいくつか読んでおりまして、その緻密な分析態度に魅力を感じていました。また本書の重厚感のある装丁、さらに書名から、いよいよ、司馬遼太郎ができなかった“昭和のそうまとめだ” と意気込んで読んだのですが、正直、これまでとの作品と違い過ぎて、やや期待はずれでした。
詳しくは、~を参照、と省かれてしまっていたり、話し言葉ゆえ、緻密な分析というのではなく、“残念だ” とか“始末におえない首相” “情けないお話でした” “アホらしい会話” などという主観がどうしても気になってしまいます。(大変評判が良い本に、注文をつけるのには勇気がいるのです(笑)。)小説かドキュメンタリー風に書いて欲しかったと強く思います。
ただし、他書を愛読しており、半藤ファンですから、見解には賛成し、敬意を払うのにやぶさかではありません。そして本書で一番記憶に残った一文は、うれしいことに、tani先輩が引用されました。
『よく「歴史に学べ」といわれます。たしかに、きちんと読めば、歴史は将来にたいへん大きな教訓を投げかけてくれます。反省の材料を提供してくれるし、あるいは日本人の精神構造の欠点もまたしっかりと示してくれます。同じような過ちを繰り返させまいということが学べるわけです、」ただしそれは、私たちが「それを正しく、きちんと学べば」、という条件のもとです。その意思がなければ、歴史はほとんど何も語ってくれません。』
反省、欠点、過ちという言葉ばかりが目立っているようですが、これは本書が“昭和史”と書いてあっても、悲惨な戦争のみを描いたからに他ならず、自虐的な本ではありません。
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昭和史に関して我々は、時間的な制約もあり、学校ではなかなか習うことがありません。ただ、時間の問題ばかりではないのです。以前ご紹介した『転落の歴史に何を見るか』(齋藤健著)でもあったように、どうも学校で教わった歴史と現実とは違いそうだと大人になって知ります。
ご存知でしょうか。中学の教科書は8社あるのですが、そのうち昭和天皇を載せているのは3つだけです。天皇を論ずる以前に、そもそも昭和天皇抜きの昭和史は成り立つでしょうか?
天皇抜きの昭和史では、どうやって日本が戦争へ突き進んだか、2.26事件や、戦後処理の問題などもまったく理解できず、まるで東京裁判のA級戦犯たちだけが戦争を引き起こした印象になってしまわないでしょうか。昭和史や戦争がよくわからない大人世代がすでにいるのももっともなんです。
本書はその昭和史がわからないという若い編集者たち4・5人に懇願されて開いた“寺子屋”を元にし、あとがきで述べられているように、“ずさん極まりないおしゃべり” が一冊の立派な本になったそうです(笑)。
昭和初期の入門書のようで、細かな分析はしないのですが、流れを大切にし、口語体で読みやすいのが良く売れた理由でしょうか。本書が発売された時は、かなり話題になり、新聞各紙が絶賛したそうですね。
私は、半藤氏の作品は、不朽の名作だと思う『聖断』 や『真珠湾の日』 をはじめいくつか読んでおりまして、その緻密な分析態度に魅力を感じていました。また本書の重厚感のある装丁、さらに書名から、いよいよ、司馬遼太郎ができなかった“昭和のそうまとめだ” と意気込んで読んだのですが、正直、これまでとの作品と違い過ぎて、やや期待はずれでした。
詳しくは、~を参照、と省かれてしまっていたり、話し言葉ゆえ、緻密な分析というのではなく、“残念だ” とか“始末におえない首相” “情けないお話でした” “アホらしい会話” などという主観がどうしても気になってしまいます。(大変評判が良い本に、注文をつけるのには勇気がいるのです(笑)。)小説かドキュメンタリー風に書いて欲しかったと強く思います。
ただし、他書を愛読しており、半藤ファンですから、見解には賛成し、敬意を払うのにやぶさかではありません。そして本書で一番記憶に残った一文は、うれしいことに、tani先輩が引用されました。
『よく「歴史に学べ」といわれます。たしかに、きちんと読めば、歴史は将来にたいへん大きな教訓を投げかけてくれます。反省の材料を提供してくれるし、あるいは日本人の精神構造の欠点もまたしっかりと示してくれます。同じような過ちを繰り返させまいということが学べるわけです、」ただしそれは、私たちが「それを正しく、きちんと学べば」、という条件のもとです。その意思がなければ、歴史はほとんど何も語ってくれません。』
反省、欠点、過ちという言葉ばかりが目立っているようですが、これは本書が“昭和史”と書いてあっても、悲惨な戦争のみを描いたからに他ならず、自虐的な本ではありません。
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