東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

ヘルムスマンの回顧録2 ~徒然なるままに今年を振り返って~

2015年12月24日 03時54分00秒 | Weblog
こんにちは。

そして、ブログ上では大変お久し振りです。
クルーザー班主将、仰秀ヘルムスマンの松山です。

さて、クルーザー班はおかげさまで今年度、ワールドへの挑戦から全日本選手権まで様々な経験をさせていただきました。また、個人的に色々な機会でマッチレースに出たりと
長いようで短かったこの期間について、僕自信の頭の整理もかねて徒然なるままに書いてみようかと思います。なので読んでも面白くないかもしれませんが…。
クルー陣が色々と書いてくれているのでそちらのブログも是非!


僕のヨット部での新年度は毎年新しい形で始まります。
勿論一年生の時の新しいことはヨット(470)に乗り始めるということ。二年生の時はスナイプスキッパーを始めるということ。そして、今年はJ24が活動再開し本格的に乗り始めること、です。

毎年、新しいことを始めることによって色々な新しい経験を積ませてきていただいていますが、今年は特にたくさんありました。

まず、なんといっても世界選手権です。
色々準備(帰ってきてからも)が大変でしたが、海外でレースをするということ、そして何よりも数週間の間、ヨットのことだけを考えて過ごす時間を頂けたことはとても貴重な経験でした。1日に最大2レースしか行われず、周りにはトップセーラーがゴロゴロいて、監督や金田さんもいらっしゃりたっぷりあるミーティング時間。これらを生かして毎日毎日、毎レース毎レース、確実に成長することができました。毎日のレベルの高い濃密なレースでなにか感じたら着艇後すぐに聞きに行き、それをチームに持ち帰って共有し検討し、翌日に生かす。やったことはただこれだけでしたが、それを完璧に行える環境がありました。お世話になったみなさん、ありがとうございました。


次は、普段の練習やフリートレース、全日本で他のチームに乗せていただいたり練習していただいたりすること、です。
なんというかディンギーチームにいるときはただよく分からないままなんとなく手探りでヨットに乗ってきましたが、今年に入ってから分からないことがあるとか走っててどうにも遅いと感じると必ず「考える」→「聞きにいく」というプロセスを挟むようにしています。特に「聞きに行く」のプロセスは考えた結果、分かっていてもやるようにしていました。それは合ってるか確かめるためです。でないと、今後再現できませんから。あと、聞き方には随分気を付けています。出来るだけ詳細に具体的に聞く、ということです。なんだかんだで僕は思ったことをすぐ忘れてしまうので着艇後可能な限り早くに聞きに行くようにしています。

さらに、色々なレースにでること、というのも新しい経験のひとつでした。
これについてはマッチレース関係のご縁が多く、葉山のY30にも乗らせていただいたり、 志摩でのマッチレースに参加したり、クリスマスマッチに出たり。主には、学生マッチの時に知り合った同期のマッチレーサー連中と乗っています。彼らは普段、メルジェスに乗っていたり、ビックボートに乗っていたりします。さらに人数が足りないときはそれぞれで人を探すのですが、彼らが連れてくる人はいつもその道の一流選手ばかりで一緒に乗るだけで大変な刺激になっています。一応、僕はJ24について専門だと見られるので、どうすれば速いかについて色々意見を求められますし、逆に僕が普段乗らない船だと自分の考えを述べつつ意見を聞いたりします。なんか実際文章にするとテスト勉強でもしてるみたいに見えますね。これは、とても当たり前なことですが、今まで当たり前ではなかった。

これに関連してもう1つ、今年は可能な限り遠征に行きました。代表例は和歌山でのシエスタセーリングクリニックです。
遠征には多大なお金がかかります。宿代もかかるし移動費も馬鹿にならない。あと、唯一のドライバーである僕自身への負担も大変大きいです。唯でさえ小網代までの高い運賃を毎週払う僕たちにとってレンタカーや高速代は堪ったものではありません。(車ほしいな)
しかし、遠征をすることはそんなことが気にならいほど様々なことを学べます。まず、そもそも普段と違う環境でプレーすることによって、何故か人は大胆になります。普段違うことをどんどんやります。さらにこの練習には金がかかっていると実感することで?何故か集中力が半端ではない(笑)それに、違うセーリングのやり方、姿勢にふれることができます。意外とこれは地域差が大きくて例えば月光とシエスタでは全然スタンスが違います。こうした違いを経験すると、逆に客観的に自分達を見ようというマインドが働きます。これは面白い現象でした。
こうした諸々があって、遠征後にはなんともいえない達成感を感じてしまいます。そして、実際に成長しています。(そして、また行きたくなるのですが…。)


と、まあ、色々書きましたが要は考えて乗るようになったということです。
毎回の練習やレースを大切に、そして時には違った環境に出て、考える機会を大切にする、という経験をしました。


考えると言えばもう1つ。
今年に入ってとても考えている問題があります。
チームマネジメントの問題です。
これは大変に悩ましい問題で、どうやら歴代様々な皆さんが悩んでこられたようです。
一口にチームマネジメントといっても、色々な側面から見ることができます。そのなかで僕がよく考えているのが1.事務面について、2.人選、3.練習運営、の3つの側面です。

まず、1.事務面について。
これは主にはOBの皆様向けにどのように正確な情報発信をしていけばよいかということです。やっていることとしては、まず、各キャンペーンの始めに企画書を作り、期間中はFacebook等で広報しながら、終わればFacebookまたはLB会通信などで報告、という流れです。しかし、なかなかこれがうまくいかない…。例えば媒体1つとっても色々問題があります。。これまでメールを中心にやってきましたがそれでは一部の方にしか連絡できず、Facebookでやったほうがよいのではないか?メーリスは?などなど、様々な指摘があります。この点についてはまだまだ改良の余地ありなので是非ご意見をください!
仰秀チームは資金面の問題から毎キャンペーン毎に御支援をお願いしている上、大学との約束によりOBの皆様に来ていただかないと練習もままならないため、毎回大変多くの皆様よりご協力いただいております。
なんとか皆様に情報が伝わっていくようにと毎回活動しているのですが、できていない現状に申し訳なく感じています。

2.人選について。
これ、実はすべての問題のなかでもっとも悩んでいます。
仰秀チームはその構造上(固定メンバー3人と流動的なメンバー3人)、毎回のキャンペーンにおいて誰を呼んでくるかとても悩まなくてはなりません。
基本的に選考基準はずばり、「仰秀に乗りたいか!」ということだけなのですが…、毎回ディンギーチームとの兼ね合いなど様々な要因があってそういうわけにもいかず…、必ず一悶着あります。
また、この問題の根深さは彼らの「仰秀に乗りたい!」の次元が固定メンバーのそれと隔たりがあることにあります。つまり、ディンギーからキャンペーン毎にやってくるメンバーは「仰秀」という船に乗る経験を求めてくるのですが、レギュラーメンバーは前回の経験をもとに更なる経験を求めている、という訳です。
さらに、知識の量に格差があるという問題もあります。ここでの知識とは単純なヨットに関するものもですし、仰秀特有のものであることもあります。どうしても「教える-教わる」の関係があると、教わる側には積極性がなく、教える側には自己を客観的にみる視点がなくなります。
僕は、周りの経験で圧倒的に勝る社会人チームに勝つためには、上級生下級生関係なく積極的に意見を出しあい、チームとして練習効率や技術レベルを高めていくしかないと考えています。そのためには以上のような問題は大変うれしくないのです。チーム全員がwin-winになるためのメンバーを考える必要があります。
難しい問題ですが、簡単にはあまりにメンバーを変え続けているといつまでたっても動作練しかできず欠点であるフリーの走りの練習ができず、あんまり変えずにいると客観的に見る機会が失われ欠点が見つからないということです。

最後に3.チーム運営について。
これは普段の、というより練習やレースでの運営についてです。
先程もすこしありましたが、僕たちが勝っていくためには練習効率などを上げていかなくてはなりません。
ワールドに向けて練習していた8月から、練習時間を短めにする、代わりに休憩時間は極小化する、動作練習は周回数を決めてやる、反省は休憩時間に集中してやり走ってる間は「最速で走る!」ことのみを考える、というやり方に変えました。
これは色々な方の指摘を受けてのことでしたが、少なくともワールドのメンバー編成ではとても機能しました。ただ、それが今回の全日本のメンバーではうまく行かず…。また、日によって集中度も違いますし、なかなか難しいですね。
レースでも同じようなことがあって、例えば今回の全日本などだと、風待ちの後とかなにか失敗した後とか艇内の雰囲気が悪いときに、それを改善する方向に動かすアクターがなかなかおらず、そのまま切り替えられないでずるずるとレースを始めてしまう…、ということが何度もありました。最悪な気分でした。
先程の2.人選とも関連することなのですが、こちらも簡単にはいきません。なにかアドバイスなどあれば是非ください。





さて、このように今、クルーザー班はとても難しい時期を迎えています。
今後のメンバー選びは現在、難航を極めております。今のままでは折角のワールド経験者が2人しかいない、という状況になってしまいそうです。ワールドのノウハウは人に蓄積していますので、これは辛いところです。

また、資金面についても遠征が激増している上、艇の老朽化もあって厳しさを増しています。同じく資金面に難のあるディンギーチームからの理解もなかなか得られず取り合いになっていますしね。(こうなると少数派の僕たちはつらい。)

そして、こう色々と考えることがあると、練習に対してなかなか集中できません。岡田や笠原など下級生にはできるだけこうした心配無しに兎に角、ヨットに乗る経験をしてほしいと思っています。こういう諸々の問題はできるだけ僕の代で終わらせて岡田たちに引き継ぎたい。そのためにも、みなさん、お力や知恵を貸してください。よろしくお願いします。

また、我々の技術についてももう一段階のブレイクスルーが欲しいところです。よいところはありながらも結果が出せないキャンペーンが続いています。経験豊富なチームが多い中で、結果を出すというのは本当に難しいと感じています。
先程も触れましたが、我々は練習1つにしてもOBの皆様に乗っていただかなければできません。また、OBの皆様に乗っていただけることは、僕たちを客観的な目で見ていただけるとても良い機会だと思っています。
今年も大変多くの御支援をいただきましたが、これからもよろしくお願い致します。そして、ディンギーチームのOBの皆様にも、改めて御理解と御支援をいただけるようお願い致します。



とまぁ、いろいろ書きましたが、要は今後も、僕は史上最高の仰秀チームを作るため、様々な取り組みをやっていきます。
中でも、様々なレースにでる。ということを大事にしたいと思います。
そのために、先々週はプラトー25に、先週は葉山でY30でのマッチレースに参加しました。(あまり報告できていなくてすみません。)そして今後はタイやシンガポール、オーストラリアでの海外レースにも参加したいと考えています。



長くなりましたので、このあたりで、終わりにしようと思います。
これからも、クルーザー班を何卒よろしくお願いいたします。

東京大学運動会ヨット部クルーザー班
主将 松山宏彰




葉山でのマッチレースの画像です。
バルクヘッドマガジンにも取り上げてもらいました。(6号艇に松山、1号艇に岡田が乗っています。)

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