TOBA-BLOG 別館

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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

戒院

2017年12月12日 | イラスト



戒院(かいいん)

東一族
T.B.1981年生まれ
177cm・O型

双子の兄とは一卵性双生児。
口元のホクロが無い方が戒院。

武術の腕前は並。

浮ついた性格だが
医師を目指している。

転送術も使える事は使えるが
後が疲れるのでほとんど使わない。

父:良院(りょういん)
母:栄子(えいこ)
兄:成院(せいいん)

双子の兄弟

2017年12月12日 | イラスト



「お前、いつもマフラー巻いてるけど
 寒いのか?」

「んん!?」

「……そう言えば、小さい頃はよく風邪引いてたな」

「あのな、成院」

「首もと温めるのは良いって言うから」

「成院。
 世の中には、おしゃれマフラーというのがあってだな」

「涼と誠治」20

2017年12月08日 | T.B.2019年

 大きく息を吐き、高子は椅子に坐る。
 先ほどまで、涼の担当医がいたところ。

「大丈夫?」

 高子が云う。

 西一族一の医者であり、
 涼の結婚相手の、母親。

「まったく、何を考えているんだか」
「…………」
「稔(みのり)には診察以外で関わらないことね」

 それでも、稔が涼の担当医であることは、変えることが出来ない。
 村長が決めたことだから。

 再度息を吐き、医者は涼を見る。

「大丈夫だったの?」

 同じ言葉に、涼は首を傾げる。

「何が?」
「うちの娘」
「娘?」

「あなたが、うちの娘を助けてくれたんでしょう?」

 そう云って、医者は首を振る。

「いえ……。この云い方は、おかしいわね」
 云う。
「他人行儀だったわ」
「何が?」
「あなたとうちの娘は、結婚しているのだから」

 医者が云う。

「村の外で、ふたりとも危険な目に遭ったんじゃないかと」
「…………」
「お礼を云わなくちゃならない。助けてもらったことに」
「……皆、そう云うけれど」

 涼が云う。

「俺は何もしてない」
「確かに、娘を発見したのは別の人だけれども」
 医者が云う。
「本当は、あなたが……」

 涼は首を振る。

「俺はずっと、あの家にいたから」

「…………」
「…………」
「でも、」

 涼は再度首を振る。

「そう」

 医者が云う。

「話せないことは、絶対に話さないのね」
「うん」
「なら、娘から聞くことにするわ」
「あー……うん。そうか」
 涼が云う。
「話さないと思うよ」
「…………」
「怒られるから」
「……そうね」

 医者は涼を見る。

「ねえ。あなたは、……娘と馴れ合わないようにしている?」
「馴れ合わない?」

 涼は少し考える。

「そうなのかも」
 涼が云う。
「俺は、得体の知れない黒髪だから」
「……そう」
「医師様も父親も、心配するだろう」

 医者は笑う。

「まあ、父親はそうかもしれないわ」
「嫌な顔をすると思う」
 涼が云う。
「それが普通だ」
「ええ」
「でも、」

 涼は首を傾げる。

「医師様は、最初からそうではなかった」
「私?」
「そう」
「……ええ、」

 医者が云う。

「昔、西にいた黒髪の女性を、よく知っているから、かな」
「…………」
「気を悪くしないで」

 医者は話を戻す。

「……ありがとう」

 その言葉に、涼は何も云わない。

「娘を助けてくれて、ありがとう……」



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「成院と戒院と」7

2017年12月05日 | T.B.1997年

「ただのしびれ薬だったから
 後遺症は残らないよ」

不幸中の幸いかな、と
東一族の医師は言う。

「今は目を覚まして
 親御さんと一緒だよ」

そこまで聴いて
成院と戒院は胸をなで下ろす。

東一族の病院。病室の廊下。

砂漠からの帰りも転送術を使ったので
戒院は体力や魔力を使い切って
げっそりしている。

今日はもう、門番は別の者に
代わって貰った。

それに、東一族の村で
他の一族が巻き込まれる形で起こった事件なので
後から色々と面倒な事も多いだろう。

だが、
とりあえず南一族の子が無事でよかった。

「さて、俺は報告に行ってくる」

事が事なので
大将や、宗主にも
事の顛末を伝えなくてはいけない。

成院は立ち上がる。

「あのぅ」

声がして振り向くと、
病室のドアから
母親が顔を覗かせている。

「ありがとうございました。
この子もお礼を言いたいと」

母親の後ろから
女の子が顔を覗かせる。

「もう大丈夫なのか?」

戒院の問いかけに
女の子が笑顔で頷く。

「もう平気。
 お兄ちゃん達かっこよかった」
「そう?嬉しいな~」

「俺達が早く助けられなかったから
ごめんな」

軽い調子で答える戒院とは裏腹に
成院は真剣な顔をして
その子に謝る。

ぶんぶん、と
女の子は顔を横に振る。

「なんであやまるの?」
「怖かったろう?」
「でもたすけてくれたから
 ありがとうなの!!」

「そうそう。
 成院はそこの所がいけない。
 笑ってやればいいの」

戒院はやれやれ、と息を吐く。

「あぁ、……そうか」

成院はその子の頭を撫でてやる。
はっと、気付いたように
女の子は自分の髪を見る。

「砂の人が」

ぽつり、と呟く。

「髪が長いから間違えたって
 言ってた」
「あぁ」
「紛らわしいって、怒ってた」

それで、頬の入れ墨が
よく見えなかったのだろう。

「綺麗な髪なのに、
砂一族も失礼な奴らだ」

「きれい?」

「気にすることはない。
長い髪が好きなら
そのまま伸ばしたら良いよ」
「じゃあ、伸ばす!!」

うわぁ、と
戒院が若干引いている。

「成院が俺みたいな事言っている」

戒院の自分の認識どうなっているのか。
そんな戒院の事はさっぱり無視して
成院は問いかける。

「東一族の村は怖かったか?」
「ううん、
 また来る、お兄ちゃん達に会いに」

おお、大歓迎だぜ、と
戒院がその子と指切りをする。

次は成院の所にきて
ほら、と小指を出す。

「お兄ちゃん達も
 私の村に遊びに来てね、
 今日のお礼をするんだから」

「あぁ、そうだな、絶対に行くよ」

T.B.1997
成院と戒院と南一族の女の子のある日の出来事

「涼と誠治」19

2017年12月01日 | T.B.2019年

 病院に入ると、決まった診察室に向かう。

 扉を叩き、中へと入る。

 中には、涼の担当医がいる。
 西一族の内部諜報員でもある、医者。

「来たか」
 担当医は、涼を見る。
「診察と面会、か」

 涼は立ったまま、手を合わせる。

「おい。やめろ」
 云う。
「その礼はしないと教えただろう」

 とにかく坐れと、担当医は手を動かす。
 診療簿を取り出す。

「まあ、嫁が見つかってよかったな」
 担当医が云う。
「村長も云っていただろうが、お前、どうやって西を抜け出た?」
「抜け出た?」
「とぼけるな」
 担当医は、机を叩く。
「勝手なことをするんじゃない」
 涼は首を振る。
「何もしていない」
「はっ」

 担当医は鼻で笑う。

「村長がお前のことをどう思っているかは知らんが、俺は容赦しないからな」

 涼は、担当医を見る。

「おい」

 担当医は苛立つ。

「お前、俺に負けるわけがないと思っただろう!」
「別に……」
「いつでも殺してやる」

 涼は目をそらす。
 頷く。

「本当に、お前は頑固だ。……まったく」
 云う。
「誰から譲り受けた血だ」

 涼は何も云わない。

「お前の父親、か?」

 その言葉に、涼は目を細める。

「何だ。図星か?」
「…………」
「それとも、父親の話をしたくない、のか」

 担当医は涼の様子を見る。

「お前の父親は誰なんだ?」
「…………」
「名のある者か?」

 もしくは

「かなり、地位のある者なのか」

 涼は答えない。

「今、どうしているのか。気になるなら調べてやる」
「……必要ない」
「ふぅん」
 担当医は首を傾げる。
「俺は知りたいんだがな」
「…………」
「それと、」
 担当医は続ける。
「どうも、村長の話からするに、お前の母親は死んだらしいな」
「…………」
「なぜ死んだ」
「……判らない」
「そんなはずはない」
 担当医が云う。
「お前、看取ったんだろう」

 涼は、胸を押さえる。

「調べればすぐ判る」

 涼は首を振る。

「もしや、父親が、」

「やめなさい!」

 扉を叩く音。

 涼は目を見開く。
 額に、汗が流れる。

 そこに、別の医者。

「やめなさいと云っているの!」
「これは高子(たかこ)先生」
「個人的なことは訊かなくていいでしょう」
「彼の父親に、結婚の報告をした方がいいと思って」
「余計なお世話よ」

 医者は、涼の担当医に診療簿を渡す。

「これからの診療。さあ、行って」

「…………」

「早く」

「はいはい」



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