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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「山一族と海一族」47

2018年04月20日 | T.B.1998年

 裏一族の巨大な紋章術。

 人の命を用いて、何をするつもりなのか。

「術を止めるしかないな」

 ヒロノは再度、魔法陣を見る。

「出来るのか?」

 若い海一族がヒロノを見て云う。

「こう云うものは、術者を倒すしかないのだろう」
「…………」
「術者の裏一族は、中にいるはずだ」
「いや、」

 ヒロノが云う。

「紋章術にもいくつか種類がある」

「と、云うと?」

 ヒロノは、持っている杖で紋章術をなぞる。

「時間がない。解除の方法だけ説明するが、」

 ひとつは、
 海一族が云う通り、術者を見つけ出し倒すこと。

 もうひとつは
 魔法陣の線を消し去ること。

「術者の力が未熟なら、砂をかけただけでも魔法陣の線は消える」

 ヒロノは足元の線を、杖で触れる。
 が、線は光り続ける。

「消し去ることが無理なら」
「無理なら?」

「相殺の力を持つ、紋章術を用いることだ」

「そんなこと出来るのかしら?」

 メグミが口を挟む。

「紋章術でも高度なものよ」

 海一族もヒロノを見る。

 時間がない。

 術の中にいる者たちは、相当な時間が経っているはず。
 じわじわと、命を奪われながら。

「おい。俺はハラ家だぞ」

 ヒロノはメグミに云う。

「山一族の村全体に、紋章術をかけたことを忘れたのか」

 ああ、と、メグミは頷く。

「そうだったわ」

 イ=ハラ家。

 裏一族の紋章術を相殺出来るかもしれない。

「ミヤ」

 ヒロノは、ナオトを見る。
 ナオトは頷く。

「海一族と協力して解決しろよ」

 その言葉に、若い海一族がメグミを見る。

 それに気付き、メグミはため息をつく。
 云う。

「この人、ここで戦線離脱」

「うるさいな。離れてろ」

 ヒロノは杖を鳴らす。

 瞬間、

 見えない力が動く。

「何だ」

「何だ、これは!?」

 海一族たちが、驚く。

 波動、のようなもの。
 あたりの木々が揺れる。

 裏一族の紋章術を取り囲むように、光が伸びる。



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