全世界を騒がすトランプさんが、
詐欺師や、ペテン師の類なのか、
はたまたそうではないのか、
それは、兎も角であります。
「仏像お出まし事件」の小説は、
飽きもせず、二度目を読ませていただいておりますが、
小説ばかりではなく、
リアルの世の中にも、
不思議な事が、起きるものであります。
それは、遠い世界ばかりなのではなく、
私たちの、ごく身の回りにもあるのでした。
つい数日前にも、
父の身辺で、そんな事件は起こったのです。
「千円札お隠れ事件」が、それでございます。
雨が降った日、午後の四時過ぎくらいでした。
いつになく、大量の千円札を手にした父は、
万円札でもないのに、
緊張のあまり、数え間違いをしてはならないと思い、
予め、車の中で1枚1枚丁寧に数え、
千円札10枚、をひとまとめにして、
上着の内ポケットに、入れたのでありました。
そして、車を降りて、某スーパーの中にある、
某銀行の、ATMの中に、
その一塊りを、投入したのであります。
これで一件落着、と思ったのでしたが、
なんと、出てきた表示は1万円ではなく、
悲しいかな、9千円だったのであります。
慌てた父は、これは大変もう一度確認をしてもらおう、
と愚かにも、確認ボタンを、連打したのでありました。
すぐに、気がついたのでしたが、最早、手遅れです。
当然のこと、取引は確定です。
確認ボタンは、承認ボタンなのでございます。
確認ボタンは、地獄のボタン、でありました。
某銀行ばかりでなく、調べてみますと、
銀行ATMに間違いはない、ということのようであります。
然し乍ら、呆けた父ではありますし、
数えたのは車の中ではありましたが、
足し算引き算からしても、辻褄はあっていて、
どの観点から考えても、
数え間違いの可能性は、少ないのです。
さすれば、どこかに、
1枚だけを、はらり、と呆け父は、落としたのでしょうか。
千円札は、何処に、
お隠れになったのでありましょうか。
某銀行は、慇懃無礼に、その可能性を否定したのでしたが、
本当に、よく調べもしないで、間違いはないのでしょうか。
トランプさんではありませんし、
たかが千円で、(されど千円)
詐欺師やペテン師、とは申しませんが、
私は、ATMを、実は、疑っているのです。
間違えたのは、ATM、
おまえ、だ。