チェロ物語FINAL

虹の橋で、
そろそろ、
のんびり、

過ごします。

2019年02月11日 | 犬の戯言


昨日の夜は、不思議な夜でした。

もしかしたら、

梅の精が、

舞い降りて、いたのかもしれません。





夜遅くになって、

湯たんぽを持って、やって来た父は、

酔ってもいないのに、茫然自失の様子で、

いつもなら専用の袋と、毛布に包んでいるのに、

どういう加減か、裸で高温の湯たんぽを、

そういうこともしないで、ハウスの真ん中あたりに、

そのまま、無造作に置いて、

知らん顔をしているのです。

そういえば、梅の香がしておりました。





そんなに、寒い夜という程でもなかったし、

私は、暑くて仕方がないので、

専用袋はどうしたの、と哀哉、言えないので、

思いながら、外に出ると、

父は、不思議そうな顔をして、

私に叱言のような事を言って、

知らん顔で、私を、ひとりそこに残して、

梅の木のある山に向かって、

去ってゆくのでした。





今朝、再び来た父は、

裸の、裸の湯たんぽを見て、

私に、専用袋をどこに持って行ったのか、

と真面目な顔で、問うのであります。

挙句の果ては、布団を全部引っ張り出しての、

家探しならぬ、ハウス探しでございます。

悪気のない、懸命の大騒ぎなのではありますが、

それでもなんでも、元から無いものは、

出てくる道理は、ないのであります。

湯たんぽ専用袋は、ドッグフードの容器の隣で、

寒そうに、鎮と座っていたのでしたが、

それにも増して、父は寒かったのでありました。

それで、

梅の精(せい)、になったのです。
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