天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

ニノン・ド・ランクロ

2010-07-03 | Weblog
 ニノン・ド・ランクロは1620年に生まれたフランスの女性です。
 彼女は貴族の家に生まれましたが、15歳の時に孤児となります。
 彼女は数ヶ国語を話し、美貌の上に才気煥発の教養豊かな女性で、
 身を立てるためクルチザンヌ(高級娼婦)になります。
 「クルチザンヌ」は宮廷を表す言葉から派生したもので、
 日本で言う「高級娼婦」とは語感が違うかも知れません。

 ニノンの相手には、
 当時のフランスの宰相リシュリューなども名を残しています。
 彼女は、三十代の半ばには娼婦業を引退、
 その後、85歳で亡くなるまで、
 17世紀フランスの有名サロンの女主人として
 上流人士たちとの交流を楽しみ、悠々自適な余生を送りました。
 彼女のサロンに出入りしていた人々が凄いのです。
 モリエール、ロシュフコー、ファントネルなど
 当時のフランスの錚々たる文士達で、
 ヴォルテールには彼女の死後、書籍代が遺贈されています。
 そして、彼女のサロンに出入りする文士達は、
 それぞれが彼女の批評を求めたと伝えられています。
 年老いても彼女の美しさは失われず、
 79歳にしてジュドワーヌという若い僧侶から
 想いを寄せられ、恋人にしています。
 正に、灰になるまでと言う感じですね。

 1705年10月17日、今から300年ほど前、85歳の生涯を閉じました。
 彼女は、「タルトレット・ド・ポム・ニノン」と言う
 リンゴのタルトレットにその名前を残しています。
 また、彼女は多くの語録を残しています。
 「美しい乳房とは、誠実な殿方の手の中にある乳房である。」
 「目を奪うほど美しいものが、いつも善いものとは限らない。
 しかし、善いものはいつでも美しい。」
 「男は計画だけはみんな悪者だが、
 そのくせ実行となると弱気になって、それを誠実だという。」
 「女は自分の愛していない嫉妬ぶかい男を嫌う、
 しかし自分の愛している男がやきもちを焼かなかったら、
 女は腹を立てるであろう。」
 「恋愛においては、恋したふりをする人のほうが、
 本当に恋しているよりも、ずっとうまく成功する」
コメント (1)
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