定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

「攻めの農林水産業」について思うこと

2013-04-25 22:37:28 | ひとりごと
私はTPP交渉には参加すべきと考える。ただし、我国の食料安保(世界的食料逼迫時でも国民の最低のカロリーが確保できる力)が守られることを前提に、です。
しかし、13年4月23日に開かれた産業競争力会議の「攻めの農林水産業の具体化の方向」は、ある一定分野の輸出は促進されるかもしれないが、食料安保の観点からは、TPPの農業対策とはならない。
この「具体的な方向」は、確かに一部の市場があり、個々の強い企業(農業)等は作れるかもしれない。
しかし、我が国が輸入に頼っている品目(小麦、飼料作物、大豆など)も食料安保上問題なく、国民が等しく益が得られるかは甚だ疑問です。
それは、一部のお客をターゲットに、一私企業として強くなれば事足れりとする私企業経営の感覚に見える。
また、「具体的な方向」は、先進地事例が「現場の宝」として参考に用いられており、その結果として、「先進事例の横展開(全国展開)を図り、攻めの農業を実現」とある。
しかし、農業は、製造業と違い、天候、土壌、それに対応した無数の技術など、それぞれに多数の条件が絡み合ってやっと生産が成り立つものです。
故に、個々がそれぞれの条件のもとに試行錯誤を重ね、やっと成功にたどり着いたものであり、ひとの真似をしても成功はしない。先進事例は多少の参考にはなるが、ほとんど再現できず、ましてや全国展開などできない。
この検討の進め方の発想1つを見てみても、また内容、つまり「具体的な方向」は条件さえ整えれば、同じ品質のものが目標数量生産でき、また異なった地域でも同じものが生産できる。という、どうも製造業や全国展開の流通業の発想としかみえない。
これでは、とてもTPPの農業対策とはならない。
大臣は、「TPPがあろうとなかろうと攻めの農林水産業は必要」と言われている。
「攻めの農林水産業」が、いつの間にかTPPの農業対策にすり替えらることなく、TPPの農業対策は、「農業輸出拡大・競争力強化」レポートにある「特定区域内の全ての農地を信託設定」するくらいの思い切った政策が必要と考える。
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「県農地中間管理機構」の構想について思うこと

2013-04-24 17:39:02 | ひとりごと
13年4月23日に開かれた産業競争力会議の「攻めの農林水産業」の中で、「農地中間管理機構」の構想が示された。
しかし私は、所詮、農地の貸手と借手の調整は、第三者機関を通してもうまくいかないと考える。
この構想の元となったと思われる「農業輸出拡大・競争力強化」のレポートには、「特定区域内の全ての農地保有者が農地を信託設定し、(区画整理などの基盤整備後、優良な)生産者に農地を再配分し、受託させる」という提案がなされている。
私は、これには大賛成です。
しかし、上記構想の段階では、基盤整備後、「担い手がまとまりある形で農地を利用できるよう配慮して貸し付ける」とあり、レポートとは全然違った内容となっている。
これで、農地の集約ができるのか。現行の「農地保有合理化法人」とどう違うのか。
いまひとつ、もし、レポートの信託設定を実行に移すとしても、それには食料安保上、現行の450万haのうち、守るべき農地を明確に線引きすべきで、どこを守らなければならないか。どこを農地転用し、より良い土地利用を行うか。を明確にした上で、予算をつぎ込んでいくことが重要である。
それ以前の問題として、レポートや構想で示された対策は、全体的に対処療法的な対策で、その元となる農地の私権の制限や、農地法、農振法などの基盤となる法律を理念から組み替えた抜本的な改正が必要と考える。
要するに、あるべき農業はこのようなものだとか、契約の仲介とかのような、人の資質や、人間関係に焦点を当てた政策ではなく、土地権利に対して厳格に規制し、その規制の前には何人(個人も法人も)も自由競争で農業生産が行える環境を整えることが重要と考える。
それにしても、「攻めの農林水産業」の内容は、そんなこところまで国が示してくれなくても、上記の環境さえ整えてくれれば、ほとんどが民間に任せた方が効果が高い事項に見える。
ただその中で、当分の間は、新品種の開発、農業基盤整備は国が行う必要があり、食料安保上の不足払いは必要であると考える。
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13年穀雨

2013-04-20 22:31:47 | 節気


4月20日は穀雨です。
暦便覧には「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されている。
春の温かい雨が降って、穀類の芽が伸びて来る頃という意味だそうです。
本日の最高気温15℃、ここ2日ほど、寒い日が続いています。
最近は、寒暖の差が大きく、2週間ほど前は、喉を、1週間ほど前は、鼻水と、風邪の前兆が見られたため、かみさんにすぐ申告し、厳しい指導を受けたためか、大事には至らず、やれやれです。
かみさんが、訪問介護をしていて、利用者にうつさないよう気を使っています。
圃場の隅では、マーガレットが満開でした。
馬鈴薯は、毎年、2月中旬に植え付けていましたが、新芽が霜にやられるので、今年は、3月中旬でしたが、具合よく発芽しています。

<歳時記>
日平均気温が15℃を超えるようになる。
庭のもみじも葉が大きくなってくる。
ササユリの芽が出始めます。草と一緒に取ってしまわないよう気をつける。
自然農園のヤマウドが芽を出す。
ツユクサの芽が出始めます。小さいうちに取っておく。
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13年八幡在来種ネギの移植

2013-04-12 21:24:56 | ネギ
 

八幡在来種ネギは、柔らかさが好評でしたが、作りすぎ、大分売れ残ってしまった。
よく見てみると、葉の色、坊主の出る時期に差があり、バラつきが大きい。
このうち、葉の色については、13年4月4日の当ブログで紹介した。
ネギは、坊主が出ると硬くなる。ゆえに、春先、なるべく遅く坊主が出るネギがいい。
今回は、売れ残ったネギから、遅く坊主が出た株を選抜し、葉の2/3を切って移植した。
しかし、品種改良はむつかしい。
柔らかい形質と、良食味の形質が、連動しているとは限らない。
一生懸命柔らかい形質を選抜していった結果、良食味の形質が、分散して失われる危険性もあるからである。
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TPP対策として農業の成長産業化は最優先か

2013-04-06 17:06:25 | ひとりごと
TPP対策として、農業の成長産業化が言われている。
農業は知識集約産業であり、もともと成長産業である。
ここ50年の間に、人力から耕耘機、トラクターへと、また施設園芸へなど、相当生産性を上げてきている。大規模化が進み当然、戸数は減少している。
また、サラリーマンの息子家族と同居している高齢農業者などを一緒にして平均年齢65歳以上などと言う。
戸数の減少と平均年齢をもって、衰退産業と言われるが、いかがなものか。
ただ、これまでの農政は、守りが強すぎたことは確かであり、先進農家や企業化の足かせになっていることも事実である。
農業は、経営、経済、生物、物理、体力、ITなど、幅広い知識、情報を駆使してやっと成立するものです。
その意味では、株式会社などの組織体の参入は合理的である。
株式会社の参入に反対している理由に、会社が破産した時には、かけがえのない農地が転用されてしまうのではとの危惧が挙げられている。
その意味では、食料安保の概念を確立した上で、農振法、農地法、土地改良法から税法、民法に至るまで、抜本的に見直す必要があります。
現在、地区の水利組合の役員をしていますが、最近、相続により、非農家に水田8a が所有され、水利組合の管理費の支払いを拒まれた事例がありました。
つまり、相続では、農地法にかかわらず、非農家が農地を所有することができる。
所有者は、固定資産税は低額、さらに農振法の運用が甘いため、農地を資産としていて手放さない。
結果として、委託耕作ということになるのだが、区画が狭すぎるため、受託者がなかなか見つからない。結局、水利費、水利管理費は地主持ち、小作料はタダというケースが多い。
受託者は、しぶしぶ引き受けることから、畦草刈などの管理がおろそかになる。
TPP対策について、成長産業化政策は、単に農業の現場を知らない有権者を納得させるための物語にみえます。
成長産業化政策のアイディアは、民間に任せ、国は効率的経営が可能な条件整備を行うことが必要と考えます。
具体的には、食料安保の概念に基づき、農振法による守るべき農地の絞込み、農地法による農地転用の厳格化、土地改良法による区画の拡大、税法、民法による農地所有の厳格化などが重要と考えます。
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