定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農56

2019-03-31 22:29:39 | 小説定年楽農
 一郎72歳。視力の低下
 一郎は畑に行く前に、いつものようにネットで天気予報を見ていると、左眼の視野の中心が黒っぽくなり、視点の物が見えにくいことに気が付いた。
 3日後、黒っぽさが黒豆のようにくっきりしてきたように感じた。
 ネットで見てみると、加齢黄斑変性のようだ。進行すると失明するとある。
 視力が落ちて車に乗れなくなれば農業ができなくなる。来年が運転免許の書き換えの時期でもある。
 1日も早くと思い、掛かりつけの眼科が休診だったため、4年前に白内障と黄斑上膜の手術を受けた大学病院に直接診てもらうことにした。
 大学病院に行ってみると、「予約がないと遅くなる」といわれた。
 とにかくとりあえず8時57分に受付を済ませた。
 10時頃、
 看護師「320番の一郎さん、検査室にお入りください。お名前と生年月日をいってください」
 一郎は、名前と生年月日をいいました。
 看護師「眼圧と視力を検査します」検査後、瞳孔を開く目薬を差した。
 看護師「待合室でお待ちください。診察室でお呼びしますから」
 遅くなるとは聞いていたが、いつまでたっても診察室に呼び込まれない。
 待っている間、待合室に掲示されている医師の一覧を見ていると、4年前に掛かりつけの病院の眼科に派遣されていて、診てもらっていたM医師が6つある診察室の1つで診察しているではないか。 現在は、掛かりつけの病院の眼科へは他の医師が派遣されているらしい。
 一朗「かかりつけの病院でM先生に診てもらっていたんですが、今回M先生に診てもらえませんか」
 看護師「いいですよ、ちょっと遅くなりますよ」
 19時すぎ、やっと診察室に呼び込まれた。
 M先生「眼底から出血しており、さらに詳しく調べるために、後日「蛍光眼底撮影検査」をうけるようにしておきます」
 後日、蛍光眼底撮影は、座った姿勢で腕の静脈より2種の蛍光色素を点滴した。その後、撮影。20分ぐらいで終わった。
 看護師「今日は検査のみで終わりますが、次回の診察の予約をしてください」
 後日の診察結果、
 M先生「黄斑の下に新生血管が発生し、それが黄斑部を押し上げ、また、新生血管から血液が滲出しています。治療としては、血管内皮増殖因子阻害薬を注入することで進行を抑制や、出血の予防など黄斑変性症の活動性を抑制することができるが、原因となる血管変化がなくなるわけではなく、再発する可能や、治療が無効な場合もあるけど、どうします」
 一郎は「どうします」と言われても、やるしかないと思い、お願いして、手術日を予約して帰宅した。
 いよいよ手術の日、手術室では、名前と生年月日を確認され、水滴除けのカッパの様なものをまとい、髪の毛を覆う帽子をかぶせらされた。
 左の眼が対象であることを何度も確認され、ついには左の耳たぶにマジックの様なもので印をつけられた。
 手術台は、頭の部分がくぼんでおり、後頭部を収めた。バンドで体を固定され、血圧計を付けられた。
 点眼麻酔の後、眼を開けておくために枠の様なものをはめられ、水のようなもので洗浄された。
 消毒の後、まぶしい光が当てられ、検査しているようであった。
 注射器で眼球に薬が注入された。それが見えてしまうのも驚きだ。ちょうど水に油を注入したように見えた。
 痛みはないが、眼をあけられたままというのも、まばたきできないことがちょっと苦痛に感じた。20分程度で終えた。
 3週間後、
 M先生「これが手術前、そちらが手術後の網膜の写真です。黄斑の下部の盛り上がりがかなり小さくなっている。見え方はどうですか」
 一郎「罫線のゆがみも少なくなったし、黒い墨もかなり薄くなっています」                
 M先生「これで1〜2年は大丈夫でしょう。しばらく掛かりつけの眼科で診察を受けて下さい」
 4か月後、かかりつけの眼科で、術後の経過を診察してもらった。
 5月に運転免許証が書き換えとなっており、最近視力の低下を感じていることから、視力検査をしてもらった。
 掛かりつけのK先生は、大学病院からの派遣でM先生の後任だった。
 K先生「網膜が弱っており、視力は0.5しかなく、運転免許証の更新には、メガネを作り直さなければならない」
 翌日、早速眼鏡店で、レンズをいろいろ入れ替え検査したが、0.7がやっとで、後は、眼科で診てもらわないと。と言われ、ショックを受けた。
 4年前に両眼白内障手術を受け、昨年は加齢性黄斑変性手術を受けるなど、眼科では網膜が弱っているといわれていたが、視力の矯正が限界までに来ているとは。
 何とか運転免許証の更新はできたが、3年後の書き換えには自信がない。
やれやれ、この他、高血圧症、腱鞘炎等、70歳を過ぎて病院と親しくなってきました。
 農業も、量販(安値販売)から高付加価値化(高価でも売れる野菜)に向かわねば身体が持たなくなりました。
 量販も満足に達成していないのに、高付加価値化はもっと難しいか。
 運転免許証の更新ができなければ、トラクターにも乗れないし、志半ばで残念ではあるが、農業経営はこれまでか。
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小説定年楽農55

2019-03-31 17:55:35 | 小説定年楽農
 黒大豆の生産を拡大できない
黒大豆を150g200円で販売。栽培面積5aで売り上げ6万円。純益(労賃を含む)は4万円。
当初は、差別化をし高価格化により高収益を目指していたが、播種、防除など、一般的な栽培技術はほぼ確立してきたものの、粒の大きさなど差別化に今一つ自信が持てないなど、これまでの固定客に値上げをしづらい状況であった。
 収穫作業が、年末に集中するため、脱粒作業に輪転機を購入したが、豆の割れがひどく、結局は、桶の中でたたく方法が一番有効で、量的処理に限界があった。これでは、経営は成り立たない。
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小説定年楽農54

2019-03-23 08:20:09 | 小説定年楽農
町内会活性化委員会
  まず理想の町内会のコンセプトを明確にするために、委員を集める。
 委員は、これまで町内会のいろいろな役員を経験した時に、積極的な発言のあった人で比較的若い人10名程度。直近過去の町内会長2名。現町内会三役で構成した。
 住民の意識を調査するために、アンケートの設問について議論した。
 三役経験者以外は、町内会そのものの内容について、知識がなかったが、むしろ住民アンケートをつくるには、そういう人が回答できるような設問にする必要があった。
 アンケートは、町内会の世帯に1100通配布し、6割の回答があった。
 アンケート結果を基に議論し、町内会のコンセプトとして、以下のように取りまとめた。
 A 町内会の活性化とは、いろいろな価値観の人がなるべく多く納得して生活できることであ
  る。
   それは、活発な行事等の活動が一部の人々に終わるのではなく、約4000人の全住民が「み
  んな安心感を持ち幸せを感じる」ことである。
 B 大きな家族
   加入しなくても生活できるが、共に生きることの心地よさを感じるように。
   一般社会では、労働=対価の価値観が強いが、町内会は市場や一般制度に翻弄されるのでは
  なく、生活上の様々な問題に自分たちで対処する町内会でありたい。
   金銭で物事を評価するよりも、多くの人の共感を得ることで自分の存在感を感じる。
   町内会は、大きな家族であり、労働はお互い様であり、そこには対価の概念がない。
 C 行政は性悪説、町内会は性善説をとる。
   行政は厳しい規則で公正公平を保たなければならないが、町内会は、多少の利己的な行動を
  許し合える「寛容さ」が必要。「水清ければ魚棲まず」
   町内会は行政の下請けではない。また経済合理性が求められる会社組織でもない。根本的な
  考え方は真逆である。
 D 町内会活動への参加   
   町内会を知って交流が始まるのは、懇親会等への出席よりも、共同作業や役員の経験が顔見
  知りのきっかけとなることが多い。
   町内会活動への参加は、個性及び各人の距離感を尊重し、ゆるやかで、各人ができる範囲で
  の自由な参加が望ましい。
 E 現行の町内会役員の用務量を減らすとともに、役員の人数を増やすなど一人当たりの用務量
  をも減らし、一人に過度な負担がかからないようにする。役員を経験して町内会を知ることが
 多い。

 新年度に入り、新しい町内会長に、今年度は、いよいよ対策について委員会を進める様に伝えたところ。
 新しい町内会長「私は、町内会には今まであまりかかわりがなく、今年は前任者の行ったことを踏襲するだけで、手いっぱいで、新しく委員会のようなものを実行する余裕がありません」
 一郎「せっかくコンセプトまで作ったのだから、これを住民に浸透させつつ、施策を検討していきたいが、町内会長がそういわれるのであれば、残念ですが、しかたありません」
 一郎は、毎年町内会長が変わるので、その時その時での対応となってしまう。そのためにもコンセプトが必要ではあるが。会社組織ではない、それが町内会かとも思った。
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小説定年楽農53

2019-03-22 11:28:17 | 小説定年楽農
 町内会活性化委員会の委員長の引き受け
2月は暇な時期です。午後、近くの川の河津桜の開花状況を見て自宅に戻ると、町内会長の近藤さんが待っていた。
 近藤「毎年、次期役員を探すのに苦労する。役員の用務を減らして、受けてもらえるようにしたい。そこで用務の見直しと同時に活性化を進めるために委員会を作って検討していきたいと考えているが、一郎さんに委員長を引き受けてもらうようにお願いに来た」
 一郎「私は、今お寺の役で墓苑の整備を進めており、ちょっと余裕がない」
 近藤「役員のなり手がいないのは危機的状況です。私は、現在の用務で結構いっぱいで、町内会に対する考え方の似ている一郎さんに、無理を承知で助けていただけないかと考えている。町内会長は、これまで1年で交代していたが、来年は見つけることができず、私が継続しなければならない状況だ」
 一郎「事情は分かるが、ちょっと考えさせてください」
 その晩、一郎は考えた。
 10年前に一郎が町内会長をやった時は、そんなに忙しくはなかった。尤も副区長が地域のことをよく知っている人で、ほとんど用務をこなしてくれたことも大きい。
 もう一つは、町内会町等三役が毎年変わることから、その人の価値観で用務が行われ、前年の踏襲からさらに用務が増しているなど、確かに改善の余地はある。
 地域内の区画整理事業等によって、人口は10年前の3倍となっており、それぞれの価値観も多様化している。
 一郎は、まず、町内会のイメージというか、概念、コンセプトの様なものを明確にして、それぞれの価値観の中で、相互理解しながら町内会の運営を図っていくことが必要ではないかと考え、その考えのもとに、委員長を引き受けることにした。
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190316西古瀬川の豊川八幡桜 もうすぐ終わりです

2019-03-16 15:51:18 | 生物暦
   
本日3月16日は晴れ一時曇り、最高気温13℃、風強く寒い。
 全ての木で葉が出ていますが、まだ半分程度は満開に近い状態で花弁がついています。
 2番目の画像は、葉が多く出ていて、もう終わった感のある木で15本。
 3番目の画像は、葉がちょっと目立つ木で、60本程度です。
 4番目の画像は、葉が出ているもののまだまだ満開に近く、80本程度です。
 ソメイヨシノと比べると、うすみどりの葉は多少気になるものの、花弁は散っていず、ピンクとうすみどりのコントラストもいいものです。
 5日の8分咲き満開から11日経ちました。
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