農事組合副組合長
集落には、シソの葉の生産農家が3軒あり、いずれも、温室を何棟も持ち、パートを使い大々的な専業農家がある。その中で、一位番大きく経営している道夫さんが訪ねてきた。
道夫「来年度、農事組合の副組合長をやってくれんかね」
一郎「農業のことは何もわからないので、いきなり副組合長と言われても」
道夫「組合長は、ベテランだから大丈夫だよ。任期は1年だし」
道夫さんは、10歳年上の集落の大物で、風格があり、一郎は「ちょっと考えさせてください」というのが精いっぱいだった。
後日、用務も分からず、しぶしぶ引き受けた。
昭子もそうだったが、役員のなり手がなく、新人にすぐ回ってくる。
農事組合は、古くは、畑作も含めた農事全般であったが、今は、水田の水管理など、水稲栽培に関するものが主体となっていた。
組合員も100名程度あり、書類の配布など、農家への接触も増え、お日待ちでは、集落にとけ込めるかと不安も覚えたが、顔見知りも一挙に増えた。
わからないことが多く、組合長や道夫さんに丁寧に教えてもらい、特に親しくなった。
小説定年楽農22-2
おくみどり
東赤土の圃場は、生け垣があるといいような地形となっているため、お茶を植えて、自分で製茶して楽しもうかと思い、静岡県に行く機会があったので、静岡県茶業試験場に立ち寄り、職員の方に「自分で製茶して楽しみたいが、一番お勧めの品種は?」とたずねたところ
職員「お茶の栽培は栽培適期、防除等、相当な熟練を要するので、やめておいた方がいい」と言われてしまった。
退職して自由になってみると、あれもしてみたい、これもしてみたいと、夢だけ膨らむ。
職員の方は、その辺を見抜いていたのかもしれない。
調べてみると、お茶の品種は、ほとんどが「やぶきた」ですが、その中で「おくみどり」がよさそうであった。
おくみどりは、「濃緑色の色沢で、さわやかですっきりした香味のくせのない晩生品種」とあった。
しかし、園芸店で売っているのは、やぶきたばかり。
そこで、愛知県農業試験場に問い合わせたところ、おくみどりは、豊橋市で6軒の農家が栽培しているのみで、苗木は市販されていないとのこと。
苗木を入手するのは、栽培農家から分けてもらうしかないとのこと。
試験場から栽培農家の代表の方の連絡先を聞き、連絡したところ松居忠夫さんを紹介してくれた。
早速、松居さんを訪ね、おくみどりの苗を数本分けてもらった。
松居さんは、素性もわからない私に快く対応してくれた。
集落には、シソの葉の生産農家が3軒あり、いずれも、温室を何棟も持ち、パートを使い大々的な専業農家がある。その中で、一位番大きく経営している道夫さんが訪ねてきた。
道夫「来年度、農事組合の副組合長をやってくれんかね」
一郎「農業のことは何もわからないので、いきなり副組合長と言われても」
道夫「組合長は、ベテランだから大丈夫だよ。任期は1年だし」
道夫さんは、10歳年上の集落の大物で、風格があり、一郎は「ちょっと考えさせてください」というのが精いっぱいだった。
後日、用務も分からず、しぶしぶ引き受けた。
昭子もそうだったが、役員のなり手がなく、新人にすぐ回ってくる。
農事組合は、古くは、畑作も含めた農事全般であったが、今は、水田の水管理など、水稲栽培に関するものが主体となっていた。
組合員も100名程度あり、書類の配布など、農家への接触も増え、お日待ちでは、集落にとけ込めるかと不安も覚えたが、顔見知りも一挙に増えた。
わからないことが多く、組合長や道夫さんに丁寧に教えてもらい、特に親しくなった。
小説定年楽農22-2
おくみどり
東赤土の圃場は、生け垣があるといいような地形となっているため、お茶を植えて、自分で製茶して楽しもうかと思い、静岡県に行く機会があったので、静岡県茶業試験場に立ち寄り、職員の方に「自分で製茶して楽しみたいが、一番お勧めの品種は?」とたずねたところ
職員「お茶の栽培は栽培適期、防除等、相当な熟練を要するので、やめておいた方がいい」と言われてしまった。
退職して自由になってみると、あれもしてみたい、これもしてみたいと、夢だけ膨らむ。
職員の方は、その辺を見抜いていたのかもしれない。
調べてみると、お茶の品種は、ほとんどが「やぶきた」ですが、その中で「おくみどり」がよさそうであった。
おくみどりは、「濃緑色の色沢で、さわやかですっきりした香味のくせのない晩生品種」とあった。
しかし、園芸店で売っているのは、やぶきたばかり。
そこで、愛知県農業試験場に問い合わせたところ、おくみどりは、豊橋市で6軒の農家が栽培しているのみで、苗木は市販されていないとのこと。
苗木を入手するのは、栽培農家から分けてもらうしかないとのこと。
試験場から栽培農家の代表の方の連絡先を聞き、連絡したところ松居忠夫さんを紹介してくれた。
早速、松居さんを訪ね、おくみどりの苗を数本分けてもらった。
松居さんは、素性もわからない私に快く対応してくれた。