定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農61

2019-05-07 18:49:09 | 小説定年楽農
農的生活
  地域では、町内会、自主防災会、農事会、お寺の世話方などの役を経験し、多くの人々との付き合いができ、楽しい。
 これらの人々は、様々な人生経験を積んできた人たちだ。
 一郎とは価値観が相当違う人も数多くいる。しかし、いずれも利害関係はない。それらの人々と付き合うと、多くの人生を経験したような気分になり、自分の考えが広がるような気がし、すこぶる楽しい。
 気の合わない人を避けるのではなく、トローンボーンの演奏のように、それぞれ距離で調整している。
 お寺の世話方を一緒にやった中に95歳の岡部さんがいた。
 一郎「長生きの秘訣は何ですか」
 岡部「楽をしないこと」
 岡部さんが世話役に決まった時、一郎は町外に嫁いでいる岡部さんの娘さんに言ったことがある。
 一郎「順番とはいえ、一人で住んでいる高齢の方に世話方を持っていくとは失礼になる。次の人に飛ばすこともできるが」
 娘さん「本人はやると言っている」
 一郎「それでは、全然問題はないよ」
 岡部さんは、お寺の行事には800mの道のりを毎回自転車で来て、一郎の知らないお寺のしきたりなど、数多く指導してくれた。

 一郎は「海外旅行、豪華な外食など、贅沢をしなければ、今のところ何とか生活できる。年金があればこそ」と感謝している。

最後に今の心境を一句
体力の衰え、持病にも根気強くつきあい
暴風雨、地震にも怒らず
自然をそのまま受け入れ
欲はなく、命ある限り人生は楽しいものと好奇心を持ち
いつも静かに笑っている
1日に米1合と、みそしると、家庭菜園の野菜や果物を楽しみ
みんなに変わり者と呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
私が私でいられることに満足し
ひそかにかみさんを尊敬する
そういうものに私はなりたい

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小説定年楽農60

2019-05-07 18:47:24 | 小説定年楽農
  ブルーベリー
 庭には、植えてからもう15年経つブルーベリーがある。
 毎年、夏になると昭子がジャムを作る。
 食パンに塗ったり、ヨーグルトに乗せたり、最高の味だ。
 ただ、同じ枝でも、1粒ずつ熟期が異なり、収穫に手数がかかる。
 また、株が多くなると鳥害対策が大変だ。
 とりあえず、庭からラビットアイ系のティフブルー、ウッダードのサッカーを植え、ラヒを購入した。
 さらに、サザンハイブリッシュ系のブルーリッジ、ダップリン、オニールを購入し、試作することにした。
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小説定年楽農59

2019-05-07 18:45:45 | 小説定年楽農
  経営の転換
 一郎は、公務員を退職する時も、その置かれた環境を棚卸して、実家に戻って農業をすることを選んだ。
 あと2年後には自動車の運転免許証が更新できなくなる可能性が高く、自宅から離れた圃場へは通えなくなると同時にトラクターで公道も走れなくなる。
 さらに、野菜の高付加価値化の生産も自分の性格からして限界を感じる。
 幸いにも自宅の近くに、7aの畑がある。
 相続税の納税猶予は後2年で切れることから、水田は、再来年から全面委託栽培が可能となる。
 一郎は「まだまだ夢は持てる。それこそ家庭菜園として、やり直そうと思った」
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小説定年楽農 58

2019-04-17 07:36:54 | 小説定年楽農

これまでの総括

 当初目標の「都市近郊における露地野菜経営の確立」は達成できなかった。

 その原因として、有機質投入による土づくりが充分にできなかった。

 当初、製品の堆肥は高価なために、肉牛農家から安価な堆肥を自分で詰めて分けてもらっていたが、散布時期になると混んでいて詰める順番を待たなければならないなど、気持ちが乗らず、やがて遠ざかってしまった。かといって、住宅街の中では、近くに堆肥場を設けることもできなかった。

   しかし、それはやる気があればできることで、一郎「つくづく、物事に徹底できない性格だなあ」と思った。 それは、目指した高付加価値の野菜が生産できないことにつながった。

 稲作については、50a弱という小規模であることから、当初から将来にわたって栽培するつもりはなかった。  ただ、農地は相続の時に、特例農地として扱ったために、20年間は「自ら耕作せねばならず」米価が下がり続けて、労賃をゼロとして、さらに赤字になっても、2020年までは、水田を売ることはもちろん、貸すこともできない状況であった。

 畑は、三分の二が市街化区域内であったために、固定資産税がどんどん上がり数年前から野菜の経費をも大幅に超えるようになってしまった。

 2002〜2008年までは、圃場に滞留水を作らないよう畝の作り方を排水しやすいようにすることにより、病気がある程度減少した。

 農薬は、その野菜にあった農薬を適期に散布することができるようになり、病害虫の被害をある程度減少できるようになった。

 当初、なるべく農薬の使用を抑えたい気持ちから、散布時期が遅れる傾向にあったが、毎日観察し、早期発見早期散布がむしろ全体の散布量を減らせることが分かった。

 アブラムシはまわりに雑草をはやさないことにより、被害を縮小できた。

 一朗は「秋冬野菜については、土づくりをしっかりやることにより、農薬を使用しなくても栽培可能のようにも思う」

 夏野菜については、ナスはチャノホコリダニ、トマトはオオタバコガ、キュウリ、カボチャ、スイカはウリハムシ、トウモロコシはアワノメイガなどは必ずと言っていいほど発生する。

 そもそも、病害虫の名前がわからずに、その対策ができなかった。

 家庭菜園に毛の生えた程度の経営では、JAの営農指導部に現地指導をお願いするのもはばかれ、図書館の大図鑑に頼るしかなかった。

 2009~2012年までは、多作目による煩雑さも加わり、こまめな観察の欠如。

 少し技術が確立しかけたところで、慣れによる慢心が、播種時期が遅れてしまうような気のゆるみを生じてしまい、思うような収穫ができなかった。

   2013~2017年までは、近くにスーパーができたため、作目をしぼった。  天候不順により、小玉スイカ、マクワウリの受粉不足などによる不作。

 70歳になると、体力的にも根気のいる労働を避けるようになった。

 町内会や自主防災会の活動等のボランティアに興味を持ちだしたなど、地域における居心地の良さに誘惑され、重労働を避け、農的生活を楽しむようになってしまった。

 2018年視力の衰えと共に、借りていた10aの畑を返却した。

 さらに追い打ちをかけたのが、2018年9月30日の台風24号の塩害で、秋冬野菜は葉が枯れてしまい、黒大豆は翌年の種用も採れないくらい壊滅的な被害を受けた。

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小説定年楽農 57

2019-04-17 07:29:57 | 小説定年楽農

暦年経営収支

 <参考>                   経営収支             単位:千円

米売上

米経費

田固定資産税

米所得

野菜売上

野菜経費

畑固定資産税

野菜所得

備考

2002

   534

   230

     6

   298

   163

  100

     89

-    26

 

2003

   564

   230

     6

   328

   150

  120

     99

-    69

 

2004

   493

   245

     6

   242

   300

  180

    109

      11

 

2005

   471

   240

     6

   225

   288

  106

    120

      62

 

2006

   446

   251

     6

   189

   360

  180

    128

      52

 

2007

   539

   300

     6

   233

   466

  402

    142

-    78

 

2008

   446

   447

     6

-     7

   649

  262

    152

    235

 

2009

   378

   407

     6

-   35

   426

  259

    172

-      5

 

2010

   365

   353

     6

       6

   485

  218

    192

      75

 

2011

   509

   364

     6

   139

   435

  278

    245

-    88

 

2012

   555

   385

     6

   164

   555

  257

    249

      49

 

2013

   420

   367

     6

     47

   401

  251

    253

-  103

 

2014

   250

   380

     6

-  136

   419

  212

    257

-    50

 

2015

   308

   498

     6

-  196

   429

  247

    267

-    85

 

2016

   382

   325

     6

     51

   472

  166

    295

      11

 

2017

   369

   316

     6

     47

   457

  224

    324

-    91

 

2018

   219

   281

     6

-   68

   206

  193

    356

-  343

 

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