定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農32

2018-09-04 14:51:07 | 小説定年楽農

図鑑が一番
 野菜の栽培の中で最も厄介なものは病虫害対策です。
 初めの頃は、農業改良普及所やJA営農指導部に出向きましたが、圃場を見ないことには判断がつかないことが多く、問題の解決にはなりませんでした。(家庭菜園的な圃場に、いつも忙しそうな担当職員をお呼びするには気が引ける)
 病名、害虫の名がわからないと対策を調べようがありません。
 名前さえわかればインターネットの検索でほとんど対策が探せます。
 そこで、役に立っているのが「家庭菜園の病気と害虫 見分け方と防ぎ方」((社)農山漁村文化教会発行)と「野菜病害の見分け方」(全国農村教育協会発行)です。
 しかし、どちらも掲載されている害虫や病気の症例の種類の数が少なく、市立図書館の分厚い図鑑で病害虫の名前を調べています。
 先だって、新しい版が発行されていたので、図書館の意見箱に、ダメもとで新しい版の要望を入れておいたところ、3か月後頃訪れたところ、もう入っているではありませんか。
市役所の対応にびっくりです。


小説定年楽農32-2

アスパラガスの茎枯れ病
 北海道から持ち帰ったアスパラガスは、株も大きくなり、新鮮なグリーンアスパラは、やわた旬鮮の人気商品となった。収穫し始めて2年ほどたった年に、地際の茎の一部が灰褐色に変色した株を発見した。最初はあまり気にしないでいたが、徐々に広がるので、図鑑で調べてみると、「茎枯れ病」らしい。降雨のたびに、患部から病原菌が飛び散り伝染していき、土中に残るとある。
 翌年には、茎や葉が枯れてくる株が出てきた。防除には、秋口に株に茎を残さず、焼き切ることが必要とある。
 そんなことはできないので、新しく株を作ることにした。
 作付け場所を変え、水はけをよくするために、長い横畝から、短い縦畝にして新しい株を植えた。
 しかし、3年でまたもや「茎枯れ病」が発生した。早期に薬剤を散布するも、あまり効かない。
 北海道から持ち帰って8年目にアスパラガスの栽培はあきらめた。


小説定年楽農32-3
 黒大豆を作付けよう
  昭子は、スーパーをやめて、訪問介護の仕事になり、少し余裕ができたのか、年末にはおせち
 料理を作るようになった。
  おせち料理を食べながら、
  昭子「この黒豆は、丹波の黒豆といって、すごく高いんだよ。100g500円もするんだ
 よ。どうせなら、これ作ってよ」
  一郎「そうか、そんなに高いのか」
  早速調べてみると、自宅から30km近く離れた山よりの町で、作付けされており、道の駅で
 売られているとのこと。
  種苗店に行ったら「丹波黒大粒大豆」として、種子が市販されていた。
  夏になったら蒔いてみよう。




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小説定年楽農31

2018-09-04 13:53:45 | 小説定年楽農


 初めてのブログ
一郎は、テレビのワイドショーをよく観る。
昭子「お父さんはテレビを見ながら、よくぶつぶつ言っている」
一郎「テレビの事件の扱いや、コメンテイターに反論したくなって、ついぶつぶつ言ってしまう。俺の文句を言えるのは、ここしかないんだよ」
昭子「お父さんのぶつぶつ言ってることは当たっていることが多いと思うけど。それだったらブログでも始めたら、そしたら少しは静かになるかしら」
一郎は、goo の検索画面の「ブログ」から入ってみた。「gooIDを取得してブログを作成」から先に進んで、簡単にブログが始められた。
退職してしまうと、なかなか話を聞いてくれる人がいなく、見てくれるかどうかは別にして、日ごろの考えを書き込んでいきたいと思った。 

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小説定年楽農30

2018-09-03 07:12:36 | 小説定年楽農


過去の経営の反省点

 

 JAグリーンセンターへの出荷が続けられなかったこと。
 野菜の出荷期間は非常に短い。JAグリーンセンターは、生産できただけ出荷できるので、効率的に販売できる。
 個人の直売所は販売量が限られていることから、一度に出荷時期がきてもさばききれない。したがってどうしても少量多品目生産となってしまい、多くの品目の栽培技術を取得するのに苦労する。
 当初机上で、当方の立地条件が都市近郊のため、新鮮さが勝負のコマツナ、シュンギク、グリーンアスパラ、トマト、キュウリなどを主体に考えていた。
 2002年はJAグリーンセンターへの出荷であったことから、このような品目でも可能と思われたが、如何せん栽培技術があまりにも未熟であった。
 2003年から、JAグリーンセンターへの出荷をやめ、無人直売店を開いたが、新鮮さを競うコマツナ、シュンギクが大量に余り、地域在来種のサトイモ、ネギが品薄となった。
 また、特徴ある品目を作ろうと、「愛知の伝統野菜」に取り組んでいるが、以下の課題がある。

・宮重だいこん・・・・だいこんの中央部に輪状に黒い斑点が出てしまった(黒腐病、バーティシウリウム黒点病などにおかされる)
・方領だいこん・・・だいこんの中央部に輪状に黒い斑点が出てしまった(黒腐病、バーティシウリウム黒点病などにおかされる)。しかし、おでんなど煮物には口の中でとろけるようでうまい。
・碧南鮮紅五寸にんじん・・・収穫が遅れ、肥大化しすぎ、側根が多く、割れも目立つ。しかし、甘くうまい。ジュースにすると最高。
・金俵まくわうり・・・結果も少なく、残ったうりも鳥につつかれたり、腐ってしまった。しかし、なつかしい味でうまい。
・野崎2号はくさい・・・発芽に失敗。残ったものも遅くに割れが目立つ。
 しかし、葉が柔らかくうまい。     
・野崎中生かんらん・・・発芽に失敗。残ったもものも遅くに割れが目立つ。
・正月菜(こまつな)・・・カブラハバチ、白さび病におかされる。出荷時期が一度に来てしまった。
・白早生たまねぎ・・・ほとんどとうが立ってしまった。
・治郎丸ほうれんそう・・・生育途中で黄色くなってしまった。
・小玉すいか・・・途中でつるが枯れてしまったものもあったが、うまくいったものもあった。熟期が難しい。
・じゃがいも・・・発芽が不ぞろい。一部にそうか病が発症。ほとんど販売できない。
・中生たまねぎ・・・発芽がうまくいかず、本数が減ってしまった上に一部にトウがたってしまった。
・アスパラが枯れる。市立図書館の図鑑で調べたところ、茎枯病と断定。ほとんど収穫できず。
・野菜の栽培方法は、解説本が多くあり、おおよそ分かってきたが、病虫害対策が難しい。病虫害の症状から、その原因の名前がなかなか分からない。名前がわかれば、病虫害対策の8割が解決したといっても過言ではない。
・病虫害名がわかれば、対策はインターネットの検索で、相当解決される。
 市販の改良された品種を栽培すれば、売り上げが伸びるとは思うが、味の良さを考えると、もう少し研究を重ねてみようと思っています。

  

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小説定年楽農29

2018-09-02 17:12:51 | 小説定年楽農


 
 初めての年金
一郎は、2006年5月に60歳を迎え、8月に、初めての年金を3か月分で約30万円もらいました。まだ満額ではないが、待ちに待った年金です。
思えば、55歳から5年間はほとんど無収入でした。その間、昭子は失業するし、地域の役は回ってくるし、経済面では苦しい年が過ぎました。
過去の経営(経営というのはおこがましいが)を振り返ってみた。

     過去5年の経営収支                単位:千円
2002年米売上421 米経費230 米所得191 野菜売上 58 野菜経費100 野菜所得△42
2003年米売上415 米経費230 米所得185 野菜売上 40 野菜経費120 野菜所得△80
2004年米売上383 米経費245 米所得138 野菜売上190 野菜経費180 野菜所得 10 
2005年米売上370 米経費240 米所得130 野菜売上178 野菜経費160 野菜所得 18 
2006年米売上338 米経費251 米所得 87 野菜売上250 野菜経費180 野菜所得 70

注:米経費、野菜経費には農機具の償却、租税公課、本人の労働報酬は含まない。
 米売上、野菜売上には自家消費分は含まない。
  2002年はJAグリーンセンターに出荷
  2003年からは自宅庭先で無人直売 
農業は楽(たの)しいが経営は楽(らく)ではない。


小説定年楽農29-2

確定申告
2006年までは、税務申告の農業所得は市役所が、農家の農地面積、保有している主要農機具等から、年間のみなし所得を決めていてくれましたが、2007年からは、収支の記帳簿によることに変更となった。そのため品目ごとの収支の記帳と領収証の保存が必要になる。まだ、年金がわずかで所得税は0だから、問題は無いが、満額年金がでるようになったら大変だ。少しばかりの所得に、この事務量とは。
一郎は、農業経営のために、2005年から農業簿記をつけているので、急に面倒になるわけではない。

それに源泉徴収された分が戻ってくる。


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小説定年楽農28

2018-09-02 07:56:45 | 小説定年楽農


町内会長
年末が来て新しい町内会役員を決めるときが来た。
町内会の役員会で、来年度こそは一郎さんにやってもらおうという事になった。
一郎は、7カ月間、町内会長の用務を見てきたが、セレモニーへの出席、市役所との打ち合わせやら各種会合など、時間の拘束が長く、とても片手間にできるものではなく、農業の規模を縮小せざるを得ないと思った。
しかし、この地域に住む限りは、一度はやらなければならないようだし、まだ農業経営も軌道に乗っていない段階だし、どうせやるなら若いうちがいいと思い、町内会長を引き受けることにした。
農業を縮小するにしては、町内会長の手当ては低く、ボランティアであるので仕方なく、割が合わないが、田舎に住む以上は仕方ないかなあ。
サラリーマンの「時は金なり」の感覚からすると、異質な世界があるものだとも思った。


小説定年楽農28-2
 
法性寺ネギ
スーパーで売っているネギは、白ネギか葉ネギであり、九条ネギの様な、緑の葉も食べられる中間的なネギはほとんど売られていない。
この地域では昔は、この中間的なネギ「八幡在来種」がほとんどであった。
これは、3月中旬になると、坊主が出てきて、茎が硬くなる。
以前受けた「伝統野菜の講習」の中で、法性寺ネギは、坊主が出にくく、葉が厚く歯ごたえのよいおいしいネギ。ということを思い出し、茎が硬くなるのも遅れるのではないかと期待した。
岡崎市法性寺町は矢作川沿いに位置し、現在ここの農家十数軒のみが法性寺ネギを栽培している。
早速調べると、法性寺町で、近堂行雄さんという方が、法性寺ネギの普及に尽力されていることがわかった。
早速、苗を分けていただけないかと自宅を訪問した。
自宅は法性寺というお寺の近くにあった。
玄関でピンポンを押すと奥さんと思われる60歳を超したぐらいの上品そうな女性が出てきた。
一郎「突然の訪問で失礼します。法性寺ネギについて話を伺いたいのですが行雄さんはいらっしゃいますか」
奥さん「すぐそこの畑に行っています。お寺のすぐ隣ですよ」
一郎「わかりました。そちらに行ってみます」
住宅の間に点在して、畑があり、お寺の隣のネギ畑ということですぐわかった。
一郎「近堂さんですか。突然の訪問で失礼します。実は私、豊川で農業をやってるんですが、法性寺ネギの話を聞いて、試しに作ってみたいと思って、来たのですが」
近堂さんは、いいよと言って、1株12~15本ぐらいのネギを4株採ってくれた。
一郎「苗がなかなか売ってなくて」
近堂「売っている苗は、もともとの法性寺ネギか疑わしい。種の段階で花粉が交配してしまう可能性があるから」
一郎は、なるほど、やっぱり来て良かったと思った。
一郎「ありがとうございました。代金はおいくらほどになりますか」
近堂「代金はいらないよ。せいぜいかわいがってくれればいい」
一郎は、お礼を言って、畑を離れた。
横に乗っていた昭子が、「感じのいいおじさんだったね。スーパーでジュースでも買って置いてこようか」
近くのスーパーによってジュースを1箱買って自宅に届けた。
自宅には幸男さんは帰っていず、奥さんが対応してくれた。
奥さん「そんなのいいで」
一郎「大変うれしく、ほんの気持ちだけですので」となんとか置いてきた。


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