定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農26

2018-08-31 21:36:54 | 小説定年楽農


町内会区議員
年末のある夕方。町内会の役員3人が自宅に来た。
町内会長は4歳年上の輝夫さんだった。
輝夫「来年度、町内会長をやってくれんかねえ」
聞くと、町内会は700世帯もあるとのこと。
役員は、会長、副会長、会計の3人の他に、各地区の代表として15人の区議員から構成しているとのこと。
一郎「なんで私なんですか」
輝夫「世帯数は多いんだが、ほとんどが勤め人で、ウイークデイに時間がとれない人ばかりで、できる人がいないんだ。農業なら時間が取れるんじゃあないかと、無理を承知でお願いしている」
一郎「町内会の必要性もあまり感じていない。特に隣近所で組を作るのは昔の五人組を思い出し抵抗がある。実家を長く離れていたんで、町内会のことはよくわからない」
輝夫「まあ突然来てお願いするのも無理と思うので、ちょっと考えておいてくねんかねえ」
町内会の役員は帰って行ったが、断ってしまったことに多少後ろめたさがあった。
輝夫さんには、子供のころよく遊んでもらった。
それに、3年前に農事組合副組合長を受けた時も、時間に縛られることはきつかったが、農業の人とは知り合いができた。
一郎は58歳、こんなに早くから町内会長就任の要請があるとは、残された人生において毎年せっつかれるだろう。
やるなら記憶力が多少残っている若いうちに済ませておいた方が楽か。
しかし、いきなり町内会長というのは、全然自信がない。来年度は区議員をやって少し様子を見ることにするか。
2~3日経って、2回目の訪問を受ける前に、輝夫さんにその旨を伝えた。
一郎「何も知らないで、町内会長は無理と思う。来年度は区議員をやらせていただいて勉強したいと思います」
輝夫「わかった。さすがいっちゃんだ。よろしく頼みます」
余りの早い受け答えに、区議員を選ぶのにも苦労していたのではないか、うまいことふっかけられたかなあ。
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小説定年楽農25

2018-08-24 21:45:14 | 小説定年楽農
スーパー閉店
昭子が勤務していたスーパーが店じまいすることとなった。
勤務先都合の失職の為、失業保険の割り増しがあった。また、失業保険を受け取るために、専門学校に通うこととなり、介護2級の免許を取った。
失業から半年後、訪問介護の会社に就職した。給料は3分の2になり、パート雇用の為、国民年金への加入となった。これで、一郎は扶養される方から扶養する方に変わった。
年金の一部支給開始まで、あと2年。
昭子「貯金がいっぱいあるから大丈夫だよ」
一郎は「どこまでノー天気かよ。と思うものの、自分の収入はゼロに近い。」何も言えない。

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小説定年楽農24

2018-08-19 21:33:57 | 小説定年楽農

ホームページ作成
旬鮮のPRのため、ホームページを開設した。
パソコンに最初からセットアップされていた「ホームページ・ビルダー2001」を使うこととし、早速、解説書「できる ホームページ・ビルダー2001」を買ってきた。
まずは、プロバイダーに開設の申し込み。
解説書「できる ホームページ・ビルダー2001」では、プロバイダーが、niftyでの事例となっており、CCnetの解説書に置き換えての作業に四苦八苦。
やっとの思いで、ひとまずトップページの作成に成功。 
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小説定年楽農23

2018-08-05 20:09:54 | 小説定年楽農
東三河青果市場
直売所だけでは、さばききれないので、青果市場に出すことにした。
一郎「はなさん、キクはどこの市場に出しているの」
はな「東三河青果市場だよ。昼の市だから、午前中に並べておけばいいから楽だよ」
一郎「楽でいいかもしれないが、他の青果市場は、朝の市だから、八百屋は、そこで落とせなかった野菜の補充ぐらいの気持ちでいるんじゃあないかな」
(株)東三河青果市場は、自宅から車で15分の所にある。
株式会社ではあるが、業務はほとんど家族で行っており、息子さんがセリを行っている。
サトイモを2Kgずつビニールの袋に詰め、市場の土間に新聞紙を敷き、20袋並べた。
申請用紙に、住所、氏名、電話番号、月日、品目、数量などを記し、バインダ―に挟んでサトイモの袋に挟んで置く。
他の多くの市場は、朝早くからセリが始まるが、この市場は、午後の市場であるので、午後1時からセリが始まる。
初めてなので、自分のサトイモが競られるのを見る。
セリの人が、「これは八幡産だよ」といってセリに入った。
後で分かったが、八幡の圃場は、土壌がサトイモに適しており、市場でのサトイモの評価が高いからだと分かった。
決済は、翌日以降なので、翌日、早速受け取りに行った。
1袋300円で売れていた。全部で6千円、消費税300円が足され、そこから市場の手数料510円が差し引かれ、5790円を現金で受け取った。
出荷前日、半日かけてサトイモを堀り上げ、袋づめ、当日午前中、軽トラでの運搬、陳列。さらに栽培経費を考えると、割の合わない値段だなあ。
ついサラリーマン時代の薄給が相当な高給に思えてしまう。
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