野菜は根から養分を吸収して、成果物として食物をつくる。
栽培の成否は、根を健康に育てる事ができるかどうかです。
今の農業政策は、全中改革、TPP、輸出拡大策、コメ政策にしても、成果物をどうするかの政策に偏りすぎている。
例えば、末端農協は、全中の締め付けがきつくて発展しないのではなく、末端農協自身の構造改革を進めなければ変わらない。端的に言えば、組合長、理事などに、経営感覚の優れた人がつくこと。これには、全中の力は及ばない。
もう1つは、末端農協は、野菜の販売にはかなり力が入っているが、資材の購買、営農指導などは手薄となっている。これらは、収益が上がらないからである。その赤字分を、金融で賄っている。
もし、金融が巨大組織で、しかも優遇を受けていると批判するなら、その赤字分をどこかで賄わなければならない。
TPPなどの貿易のグローバル化は、一部の野菜、果樹を除いて、土地、人件費などの国内生産条件をみると、雲泥の差で、とても太刀打ちできる状況にない。
政府の輸出拡大策は、末端農協では、以前から努力しているところであり、今後も進めるべきだが、政府が後押ししたとしても発展速度に限界がある。
また、コメ政策においても、26年度産の米価のいきなりの価格支持の廃止である。
60kg当たり11000円から8000円への下落である。
価格政策も1つの重要な政策であるが、同時に、根である生産構造の農地法、農振法、土地改良法などの改革も進めないと農地の権利移転は進まない。
鳴り物入りで始まった農地中間管理機構の実績も2014年12月末時点で年度目標の約3%にとどまっている。これも根を見ていないからで、当然の結果と思う。
農業政策の根とは、農協改革でもなく、農業所得の増大でもなく、担い手の確保でもなく、国の生産構造の改革であり、食料安全保障である。
もっとも我が国の食料安全保障を考えなければ、これらは必要ないのだが。