自分が試される映画だ。
この映画を気に入ったのか、気に入らなかったのか、自分でもよくわからない。
他人の評価は関係ない。他人がどう言おうと好きなものは好きだと言い切れる作品なら迷いがない。でもこの作品は自分がどう受け止めたのかがよく把握できない。一筋縄では行かない作品だ。
この映画をどんな映画と定義するかによって、評価が変わるのだろう。
1.前田敦子のアイドル映画として定義するなら、文句なしの満点だ。全編彼女が出ずっぱりで、様々な表情を見せてくれる。それがどれも魅力的だ。カメラが回っている時のレポーターぶりは、ステレオタイプなまでに完璧だ。反面、オフの時の挙動不審ぶりには本当にハラハラする。そしてその両方が、生身の前田敦子の素のイメージと重なり、演技なのかプロモーションビデオなのかわからなくなる。久々に歌も聴くことができた。ただ、AKB時代の個性的な歌唱法とは違い、ごく普通の歌唱だったのは残念。
2.ウズベキスタンを舞台としたロードムービーとして観ても、かなり良い出来栄えだと思う。幻の怪魚が棲むという大きな湖、街並み、市場、交通量の多い道路、首都の大きな劇場、険しい山脈などが、ストーリーの流れの中で自然に登場する。日本とウズベキスタンの歴史的な関わりもガイドによって語られる。主人公は現地の人々との交流を拒んでいるように見えるが、それでもいくつかの印象的なエピソードが生まれる。
3.ドラマとしてはいまひとつだと思う。主人公は、レポーターの仕事をソツなくこなしながらも、ミュージカル歌手になりたいという夢を持っている。東京湾の海上消防士の彼と付き合っていて、ウズベキスタンからも頻繁にLINEを交換している。現地の言葉も分からないのに、無鉄砲にフラフラとバザールに出かけて迷子になりかける。そういう主人公に共感できないから、ドラマの世界観にリアリティを感じない。撮影隊の4人はそれぞれ短時間ながら活躍の場面があるが、ドラマに厚みをもたらすまでには至っていない。これは、前田1人にスポットを当てた作品だからやむを得ないことだろう。
4.「黒沢清監督の最新作」として観た人も多いのだと思う。これまでに観た前田敦子出演作の中で、観客が一番多かった。おそらく大半が監督目当てだ。個性的な監督だということなので、ファンの目も厳しいのだろう。本作の評価は辛辣だったり激賞だったり、両極端に分かれるのではないか。私はそうではないので、その視点での評価はない。
私は、主に1.2.として観ていたが、3.も求めてしまったので、「よくわからない」という評価になってしまったのだろう。冷静になって考えると、たぶんそうだ。
ただ1つ、確信をもって言えることは、2時間ずっと集中して、前田敦子と一体になったような感覚で、ハラハラ、ドキドキ、たまにほっこりしながら観ていたということだ。
昔、これによく似た映画を1本観たことを思い出した。長澤まさみ主演の『ガンジス川でバタフライ』だ。当時の一言感想は「長澤まさみのプロモーションビデオ」、10段階評価は9点だった。
それと比較するなら、『旅のおわり 世界のはじまり』には10点を付けるに値する。
<これまでの前田敦子出演映画・ドラマの鑑賞記>
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
『苦役列車』
『クロユリ団地』
『もらとりあむタマ子』
『さよなら歌舞伎町』
『イニシエーションラブ』
『ど根性ガエル』
『毒島ゆり子のせきらら日記』
この映画を気に入ったのか、気に入らなかったのか、自分でもよくわからない。
他人の評価は関係ない。他人がどう言おうと好きなものは好きだと言い切れる作品なら迷いがない。でもこの作品は自分がどう受け止めたのかがよく把握できない。一筋縄では行かない作品だ。
この映画をどんな映画と定義するかによって、評価が変わるのだろう。
1.前田敦子のアイドル映画として定義するなら、文句なしの満点だ。全編彼女が出ずっぱりで、様々な表情を見せてくれる。それがどれも魅力的だ。カメラが回っている時のレポーターぶりは、ステレオタイプなまでに完璧だ。反面、オフの時の挙動不審ぶりには本当にハラハラする。そしてその両方が、生身の前田敦子の素のイメージと重なり、演技なのかプロモーションビデオなのかわからなくなる。久々に歌も聴くことができた。ただ、AKB時代の個性的な歌唱法とは違い、ごく普通の歌唱だったのは残念。
2.ウズベキスタンを舞台としたロードムービーとして観ても、かなり良い出来栄えだと思う。幻の怪魚が棲むという大きな湖、街並み、市場、交通量の多い道路、首都の大きな劇場、険しい山脈などが、ストーリーの流れの中で自然に登場する。日本とウズベキスタンの歴史的な関わりもガイドによって語られる。主人公は現地の人々との交流を拒んでいるように見えるが、それでもいくつかの印象的なエピソードが生まれる。
3.ドラマとしてはいまひとつだと思う。主人公は、レポーターの仕事をソツなくこなしながらも、ミュージカル歌手になりたいという夢を持っている。東京湾の海上消防士の彼と付き合っていて、ウズベキスタンからも頻繁にLINEを交換している。現地の言葉も分からないのに、無鉄砲にフラフラとバザールに出かけて迷子になりかける。そういう主人公に共感できないから、ドラマの世界観にリアリティを感じない。撮影隊の4人はそれぞれ短時間ながら活躍の場面があるが、ドラマに厚みをもたらすまでには至っていない。これは、前田1人にスポットを当てた作品だからやむを得ないことだろう。
4.「黒沢清監督の最新作」として観た人も多いのだと思う。これまでに観た前田敦子出演作の中で、観客が一番多かった。おそらく大半が監督目当てだ。個性的な監督だということなので、ファンの目も厳しいのだろう。本作の評価は辛辣だったり激賞だったり、両極端に分かれるのではないか。私はそうではないので、その視点での評価はない。
私は、主に1.2.として観ていたが、3.も求めてしまったので、「よくわからない」という評価になってしまったのだろう。冷静になって考えると、たぶんそうだ。
ただ1つ、確信をもって言えることは、2時間ずっと集中して、前田敦子と一体になったような感覚で、ハラハラ、ドキドキ、たまにほっこりしながら観ていたということだ。
昔、これによく似た映画を1本観たことを思い出した。長澤まさみ主演の『ガンジス川でバタフライ』だ。当時の一言感想は「長澤まさみのプロモーションビデオ」、10段階評価は9点だった。
それと比較するなら、『旅のおわり 世界のはじまり』には10点を付けるに値する。
<これまでの前田敦子出演映画・ドラマの鑑賞記>
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
『苦役列車』
『クロユリ団地』
『もらとりあむタマ子』
『さよなら歌舞伎町』
『イニシエーションラブ』
『ど根性ガエル』
『毒島ゆり子のせきらら日記』