新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ラングドック

2015年09月11日 | 日記

 前回の出没した熊はその後すぐに捕獲され、山奥に放されたということです。この一件は落着しました。それにしても、捕獲した熊をそのまま解放してしまうとは惜しいことをしましたね。両国には熊肉の汁を出す高級レストランがあるというのに・・。せめて熊の胆ぐらいいただいてから解放すればよかった。

 ラングドック(Langue d’oc、オック語)は言語名がそのまま地域名としても使われている珍しい例だ。地域としてはフランス南部にあり、イタリア国境に接するかなり広い地域をいう。言語としてはオック語というよりフランス語のオック方言と呼ぶほうが今ではふさわしいかもしれない。
 フランス語とイタリア語の境目は、政治的な国境ほど明確ではない。フランス中部からイタリア北部へ向かって歩いていくとする。イタリアとの国境を越えると人びとが話す言語がいきなりフランス語からイタリア語に変わるというものではない。フランス南部を南へ向かって歩くにつれ、そのフランス語はすこしずつイタリア語訛りを増していく。イタリアとの国境を越えるとこんどはフランス語訛りの強いイタリア語を聞くことになり、イタリア国内を南へ下るにつれ、ふつうのイタリア語に近づいていく。そのイタリア語訛りの強いフランス語がオック語であり、オック語が話される地域がラングドック地方だ。
 ラングドック産の赤ワインを飲んだ。ボルドー産のフランスワインとトスカーナ地方産のイタリアワインの中間に位置する味を感じた。
 最近、毎週、生協があっせんするワインを注文している。「おひとり様一点かぎり」の条件つきだが上等なワインがリーズナブルな値段で入手できる。生協があっせんするワインの大部分はフランス、ボルドー産のものだ。これはおそらく生協のワイン担当者の好みが反映されているからだろう。フランス産以外の外国産ワインが生協のカタログに入っているのを見たことがない。イタリアワインもスペインワインもカタログにはない。
 生協が好んでとりあげるワイン産地ボルドーはフランスではブルゴーニュとならぶ一大ワイン産地であり、そこで産出されるワインはとても上品な味わいがある。ボルドー産のワインはどのシャトー(工場)のワインでも舌触りがよいことこのうえなく、当たりはずれがない。ポルトガルワインのような田舎っぽさ、ごつごつした感じがないところに私はいささか不満をおぼえることさえある。
 私がワインの基準にしているイタリア、トスカーナ地方のワインはコクがあり、口に含んだときにどっしりした重みを感じさせるものがおおい。かつてフィレンツェのレストランで「おいしいワインは何か」とたずねたとき、ウェイターが教えてくれたワイン用ブドウの種類はサンジオヴェーゼとサンジミニャーノだった。サンジミニャーノは白ワイン用のブドウだから、私が好む赤ワイン用のブドウとしてはサンジオヴェーゼだけだ。したがって私がスーパーのワイン売り場で探し求めるのは、サンジオヴェーゼ種のブドウを使ったイタリアワインということになる。
 このたび私が出会ったラングドック産のワイン、リシュメール(Richemer)は、フランスワインにはよく使われるカベルネ・ソヴィニョン種(カベルネはたしか種の意味だからソヴィニョン種といえば十分なはず)のブドウが原料になっている。ミディアムボディだが、ボルドーワインよりはコクと重みがあり、トスカーナワインより軽い。ラングドック地方は地理的にボルドーとトスカーナの間に位置するだけあって、ラングドック産ワインもボルドーワインとトスカーナワインの中間の味になっている。ワインの貴重な名前を知った。ラングドック産ワインをしっかりと記憶に刻んでおこう。





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