「たぬきせんべい」の山ある記

ニフティの「山のフォーラム」が消滅したのでブログを始めてみました

【北アルプス】燕岳から表銀座コース、新穂高温泉へ

2009-07-23 08:39:50 | 山小屋泊
               朝日を浴びる表銀座コースと槍、穂高連峰

家族4人で昨年は北アルプス裏銀座コースを歩きましたが、今年も同時期に表銀座コースを歩いてきました。残念ながら昨年と違って天気に恵まれず、槍ヶ岳の肩まで行きながら登頂は断念しました。しかし、20日(海の日)は雲海の上に登る朝日を見ることができ、一日中北アルプスの山々がほとんど見渡せる好天で、夕刻には西岳に登って北鎌尾根に沈む夕日も眺めました。

【日 程】2009年7月18日(土)夜~22日(水)夜行バス3泊
【山 域】北アルプス
【山 名】燕岳、北燕岳、西岳
【メンバ】本人、妻、長女、次女
【天 候】19日雨、20日晴れ、21日雨、22日曇り
【コース】
19日:中房温泉(6:30)→合戦小屋(10:40)→燕山荘(12:00)泊
20日:燕山荘(6:30)→北燕岳→燕山荘(8:40)→大天井ヒュッテ(12:40-13:20)→ヒュッテ西岳(16:10)泊
21日:ヒュッテ西岳(6:30)→ヒュッテ大槍→槍ヶ岳山荘(11:30)泊
22日:槍ヶ岳山荘(6:30)→槍平小屋(10:00)→新穂高温泉(14:30)

昨年と同じく新宿都庁前から「さわやか信州号」に乗車し、19日早朝4時半に穂高駅前で下車した。下車直前になって雨がポツポツと落ちてきた。特に予約していなかったが、客待ちのタクシーがきていたので乗り込み、中房温泉に向かう。中房温泉で降りて雨よけのテントの中に入って雨具など着けてからしばらく様子を見ていた。中房温泉に泊まろうかなどと話していたが、しばらくして雨が小降りになってきたので出発した。一時は雨があがり、日も差して来たが結局は本降りになってしまった。合戦小屋について、カップラーメンを買って食べる。暖まってほっと一息ついた。寒いくらいなのに名物の「すいか」を食べる人もけっこういた。強くなってきた雨の中に出て行き、樹林帯を抜けて風も強くなる中、燕山荘がようやく見える。

燕山荘の入口は宿泊手続きの人たちでごったがえし、雨具やザックカバーをはずしても滴る水滴で廊下はびしょぬれになっていた。手続きを済ませると、割り当てられた部屋は入口から遠い新館のさらに一番奥の上段の部屋だった。定員8名のところ自分達4人のほか、あとから父親と小学校の娘さんの二人連れが入っただけで比較的余裕があった。新館の、本来は談話室とされている所にストーブがあって温かく乾燥室替わりに使われていた。この一角はストーブのおかげで他の部屋より温かく、新館の出入り口にも近くて、途中の寒そうな部屋よりはずっと良かった。早くから小屋に入った人が多いので、食堂に多くの人が集まって持ち込んだお酒などを飲んでくつろいでいる。私たちは奥の本が置いてある一角で読書で時間を過ごした。夕食時には小屋の主人がアルプホルンの演奏を聞かせてくれた。夕食後には雨もあがって燕岳も見えた。

翌日はご来迎を見るため4時過ぎには外に出た。新館の出口の近くに広い展望台が作られている。東側は一面に雲海が広がっていて、浅間山、八ヶ岳、南アルプス、遠くには富士山が雲海に浮かんでいる。反対側を見れば槍・穂高連峰や大天井岳がまだ暗い空に浮かびあがっていた。今回の山行では基本的に小屋には夕食のみ頼んで朝食は自炊の計画なので、外のベンチで朝食をとったあと、空身で燕岳、北燕岳を往復してきた。昨日がひどい天気だったので、ちょっと風は強いが青空が映える素晴らしい展望が広がる中を気持ちよく歩く。特徴のある岩とコマクサの咲く人気の燕岳には大勢の人が登り、頂上での記念写真の順番待ちも長かった。小屋に戻って、同部屋だった父娘に別れを告げて、縦走路を行く。歩きはじめに雷鳥の親子を見た。非常にクリアな大展望の中、少しずつ近づいてくる槍ヶ岳を見ながら進む。

大天井岳はパスして大天井ヒュッテに下る。大天井ヒュッテの前でお昼にすることにしたが、小屋番さんが親切で中で休むように言ってくれた。ここから先はしばらく尾根の東側の道で展望が無かったが、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ハクサンチドリなどの花の群落が出てくる。ビックリ平で尾根に上がると展望が開け、槍ヶ岳と北鎌尾根が目の前に大きく広がる。「槍ヶ岳、待ってろよ!」という言葉も出たのだが・・。ここから長い登りが始まり、朝からの疲労がだんだんたまってくる。お花畑に慰められながらヒュッテ西岳にたどり着く。ヒュッテ西岳にはテントの人はけっこういたが、小屋泊まりは何と私たちだけという貸切り状態だった。小さな小屋なので次の土曜日は予約でいっぱいとのこと。夕食は見晴らしの良い明るい食堂でゆったりとれた。夕食後、一人で西岳に登り、北鎌尾根に沈む夕日を眺めた。多少、雲が出てきて天気が下り坂の気配だったが、反対側の常念岳の山肌に槍ヶ岳の影が映るほど天気が良かった。西岳山頂には縦に長い岩が積んであって、下から見ると人が立っているように見えて面白かった。私が登っている間に、家族は小屋の下の斜面に熊を見たそうだ。

翌日は予報どおり朝からひどい雨だった。槍ヶ岳山荘まで行く予定だったが、話し合って水俣乗越から下ってしまおうとほぼ結論が出た。ところが、出発した時のひどい雨はすぐに小降りになり、急な下りから登り返したあたりでは下のほうからガスが晴れてきて、昨日歩いてきたあたりも見えて来る。水俣乗越に着く前に回復する気配が見えたので、気が変わってしまい、槍ヶ岳山荘へ行くことにしてしまった。水俣乗越からは厳しい登りが続き、ひとつのピークには何段もの連続する梯子で登り、また長い梯子で下る。天気の方は残念ながら徐々にまた悪化する。ヒュッテ大槍が見えて、少し休憩させてもらいに小屋に入る。この小屋の主人も親切に温かいお茶をサービスしてくれた。私たちを皮切りに他にも何人か小屋に入ってきた。雨は時々強く降って来たが、小降りになったところで出発する。ヒュッテ大槍から先は傾斜も緩み、槍ヶ岳山荘にお昼までに入る。午後に天気が回復するという情報もあったが、残念ながらピークはまったく見えてこない。悪天候の中で登った人もいたようだが、私たちは自重した。時間が早いので談話室で本を読んで時間を潰す。全国の山小屋の主人などが書いた文を集めた本があって、面白く読んだ。中でも先日行った丹沢の山小屋の人が書いた文章が特に興味深かった。談話室には小さなフリークライミング用の壁もあって娘たちとちょっと遊んでみた。しかしそのうちこの壁は雨具などの干し場に使われてしまった。

翌日は何とか天気が回復して頂上が見えることを期待したが、雨は上がらなかった。午後は晴れるとの情報もあったが、日程の余裕も無いので残念ながら下ることにした。槍ヶ岳山荘名物の「ちまき弁当」とキッチン槍の「焼きたてパン」を朝食にして雨の中を出発した。穂高方面に少し行った飛騨乗越から下り、千丈乗越への分岐あたりまで下ると雨はあがってしまった。そのうち、青空も広がり始め、もう少しいたら槍も見えたのかと気になった。槍平小屋の前は広場になっていて少し休憩する。滝谷出合、白出沢など多少増水していたが場所を選んで渡れる。宿泊もできるらしい穂高平小屋を過ぎて新穂高温泉のバス停へ。バス停前の無料温泉に今年も入ろうと思ったが、残念ながら修理中で入れなかった。平湯温泉にバスで出て、バスセンターの温泉に入ってから新宿行きの高速バスで帰路に就いた。


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