「たぬきせんべい」の山ある記

ニフティの「山のフォーラム」が消滅したのでブログを始めてみました

【秋 田】乳頭温泉郷から乳頭山、大白森ほか

2008-08-30 22:46:13 | ハイキング
                 大白森頂上から秋田駒ヶ岳方面の展望

バスツアーに参加して一週間にわたって田沢湖高原温泉に滞在し、周辺のハイキングを楽しみました。長期予報は芳しくなかったのですが、結果的にほとんど雨には降られませんでした。特に27日は良く晴れて、山頂の広大な湿原から乳頭山~秋田駒ヶ岳に連なる山並や岩手山などの大展望が楽しめました。

【日 程】2008年8月24日(日)~30日(土)
【山 域】八幡平周辺
【山 名】乳頭山、小白森山、大白森
【メンバ】本人、妻
【天 候】25日小雨、26日~27日晴れ、28日~29日曇り
【コース】
25日:黒湯温泉→田沢湖高原温泉(車道歩き)
26日:孫六温泉(8:00)→田代平(9:40)→乳頭山(11:00-12:00)→一本松温泉(13:30)→黒湯温泉(14:20)
27日:大釜温泉(7:45)→蟹場分岐(9:00)→鶴の湯分岐(10:15)→小白森山(10:50)→大白森(11:50-12:50)→小白森山(13:40)→鶴の湯温泉(15:30)→温泉旧道口
28日:鶴の湯温泉→蟹場温泉
29日:(八幡平)大沼温泉→大谷地→長沼→蒸ノ湯温泉
【参 考】山と高原地図5岩手山・八幡平(昭文社)

6泊7日食事なしの温泉連泊バスツアーは時間に拘束されないので、ハイキングに好都合だった。部屋はきれいで各部屋にバス・トイレ、テレビはもちろん無料で使える冷蔵庫、電子レンジが備わっている。また、共同で使う炊事室は流し台とガスコンロ数台、食器、洗濯機を備えている。買い出しはバスで一日おきに田沢湖近くのスーパーまで連れて行ってくれる。また、毎日、乳頭温泉郷や八幡平西側の玉川温泉まで送迎バスのサービスもある。もちろん宿の温泉もなかなか良い。ひとつ誤算だったのは秋田駒ヶ岳の八合目行きの路線バスがこの時期には土日しか運行しないことだった。そのため、秋田駒ヶ岳は後回しにして結局登らなかった。

24日はバスに乗っているときは雨が強かったが、宿に着いて買い出しだけ。25日は時々小雨が降る程度で送迎バスで乳頭温泉郷に連れて行ってもらい、黒湯温泉に入ってから孫六温泉を経由し、大釜温泉では足湯を楽しみ、蟹場温泉、妙乃湯温泉と車道を歩きながら各温泉のたたずまいを見て歩き、休暇村田沢湖高原のレストランで昼食を取り、宿まで車道を歩いて戻った。途中、温泉旧道口から鶴の湯温泉に向かう道に少し入ってみた。

26日は朝一番の路線バスで乳頭温泉郷に向かい、孫六温泉の手前の登山口から登る。ここは12年前に田代平の無人小屋に泊まって、乳頭山→秋田駒→国見温泉と縦走した時に登っている道で、その時は大荷物だったのできつい急登だったと記憶していた。今回はそれほど急登とも感じなかったが、足元がぬかるんで滑りやすく、下りには取りたくない道だった。木道がとぎれとぎれにあり、傾斜が緩むと樹林帯を抜けて木道は笹原に続く。振り返ると秋田駒ヶ岳が雲間からわずかに姿を見せていた。笹原は草原に変わりアザミ、リンドウ、ワレモコウ、ハハコグサ、ウメバチソウが見られ、田代平の無人小屋に着いた。

小屋の前の池塘は草が繁茂して水面がほとんど見えない状態になっていた。小屋には毛布などが備わっているが、床は汚れており、泊まるにはマットやシートなどを持ってきた方が良い。小屋から頂上までは晴れていれば展望がいいはずだが、ガスがかかって来て、時々駒ヶ岳や田沢湖がうっすらと見える程度になった。黒湯温泉へ下る道との分岐まで来て、はじめてガスが晴れると駒ヶ岳や田沢湖に加えて、乳頭山の頂上が見えた。それもつかの間、山頂に着いたときにはまたガスで展望が無くなってしまう。山頂の鋭く切れ落ちた崖側からガスが吹き上げ続け、昼食を取りながら一時間もいたが、とうとう晴れなかった。

下りは分岐まで戻って、黒湯温泉に下る道に入った。下って行くとガスは切れて駒ヶ岳や田沢湖が見えてきた。道は登りに取った道よりも乾いていて下りやすい。ウメバチソウの群落が見られ、ヨツバヒヨドリも多い。道が沢沿いになると一本松温泉跡地に出た。建物も何もないが、温泉が湧いており、同じツアーのご夫婦がちょうど上がったところで、こちらは足湯だけ試してみたがかなり熱い湯だった。道はこの先で沢を渡るが、増水しているときは困難になるかも知れない。黒湯温泉を通過して、この日は蟹場温泉に入ってから路線バスで宿に戻った。

27日も朝一番の路線バスで乳頭温泉郷に向かい大釜温泉前の登山口から登る。登山口は草が茂って藪っぽいが少し登ると道が良くなり、傾斜も緩いので登りやすい。しかし手入れ不足で藪っぽいところが所々ある。乳頭山方面と大白森方面に分かれる蟹場分岐まで比較的容易だった。ここから西へ向かうとアップダウンが多く、藪やぬかるみがたびたび出てきて、展望もなくて少々うんざりしてくる。鶴の湯分岐で鶴の湯から登ってくる道と合流する。道がはっきりしてきたかなと思うのもつかの間、ひどいぬかるみが何ヶ所も出てくる。傾斜が緩んで木道になるとリンドウの鮮やかな色が目にしみるようだ。小白森山頂上は湿原になっていて池塘もあり、秋田駒ヶ岳の展望が良い。

木道を進んでいくと、ひどい笹藪となっていったん下り、またひどいぬかるみが出てきたりして、最後の登りはだんだん急登になる。振り返って秋田駒ヶ岳の展望が得られると、ようやく木道にたどり着く。青空と草原を見上げながら木道を登ると、傾斜が緩んで広大な湿原が目の前に広がる。木道はその真ん中を一直線にどこまでも続く。広大な湿原からの展望は360°広がっており、乳頭山から秋田駒ヶ岳まで連なる山なみが見渡せ、岩手山とその手前の三ツ石山から八幡平に連なる山なみも見渡せる。大白森頂上の標識のあるところで一時間の昼食休憩を取った。この素晴らしい場所に他に誰もいないのがもったいないくらいだった。

小白森山から鶴の湯分岐まで戻って、鶴の湯へ下る。鶴の湯へ下る道はしっかりして歩きやすかった。途中、おいしい水が出ている水場がある。鶴の湯では入浴するつもりだったが、立ち寄り湯は3時までで終了していた。少し休憩してから歩いて温泉旧道口へ向かった。この道はいったん先達川に下るのだがそこは「鶴の湯峡」と名付けられている。この「鶴の湯峡」を見下ろす「展望台」に着いて見下ろそうとしたその時、発破のような轟音と震動が起きて、びっくりして飛び退いた。下ってみると河原に下る木道の先に何十トンもあろうかという大岩が転がっており、木道の一部が壊れていた。少し時間がずれて河原に下りていたらとぞっとした。川を渡る吊り橋は何ともなく、温泉旧道口に出て、路線バスで宿に戻った。

28日は天気予報が良くなかったので、休養日として前日入り損なった鶴の湯温泉に行くことにした。鶴の湯温泉は泊まり客を送迎するついでに「アルパこまくさ」という場所から立ち寄り客を送迎してくれることがあり、電話で確認して利用させてもらった。帰りは鶴の湯温泉と蟹場温泉をつなぐ山道を歩いた。蟹場温泉からはまた路線バスを使ったが、この時期、この路線バスはいつ乗っても乗客がほとんど乗っていないので、そのうち運行取りやめになるのではと心配になった。

29日も天気がいまいちだったので、宿の送迎バスを利用して玉川温泉まで送ってもらった。ここで路線バスに乗り換えて大沼温泉で下車。八幡平ビジターセンターに立ち寄り、係りの人のお薦めコースの大谷地→長沼→蒸ノ湯温泉を歩いた。ブナの原生林の中の静かな道だったが、しっとりした感じが良かった。もっとも乳頭温泉郷でもさんざんブナの森を歩いてきたのだが。路線バスで玉川温泉に戻り、送迎バスで宿に戻った。帰りの30日はバスに乗っているときに雨が降ったが、この一週間は全国的に天気が悪い中で運が良かったようだ。宿の温泉には毎日入り、黒湯温泉、蟹場温泉、鶴の湯にも入り、大釜温泉の足湯、山の中の一本松温泉跡地でも足湯と温泉三昧、ハイキング三昧だった。


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【大菩薩周辺】真木川野分沢

2008-08-20 22:19:09 | 

野分沢は下流に6~7mの滝が二つある他は小滝とナメだけで、上流は藪っぽい沢でした。沢に絡んで不明瞭ながら踏み跡があり、緩やかな流れが笹藪の中に潜って行くところから沢を離れて踏み跡を辿り、舗装された林道に出ました。この林道を右へしばらく辿ってから金山峠方面を目指して奈良子川上流部の支沢を下りました。この沢沿いにも踏み跡があり、本流との出合で車道に上がり、百間干場、金山峠を経由して遅能戸バス停に下りました。遅能戸バス停は平日の午後は1時間に1本のバスがあります。

【日 程】2008年8月20日(水)日帰り
【山 域】大菩薩周辺
【沢 名】真木川野分沢
【メンバ】単独
【天 候】晴れ
【コース】ハマイバ前(9:05)→林道(12:30)→百間干場(13:50)→遅能戸(16:00)
【参 考】山と高原地図24大菩薩嶺(昭文社)

野分沢はガイドブック等にも紹介されていないが、地形図を見ると比較的長くて堰堤も無さそうだった。これまで、この近辺を歩いたことが無かったので、平凡を覚悟で入ってみた。なお、ネットで検索してみると、沢沿いに歩いている人はいるが、沢登りとして入っている人は無さそうだった。

大月駅から富士急山梨バスに乗ってハマイバ前で下車すると、バス停前がちょうど野分沢の出合になっている。真木川の河原に下りて沢支度をして対岸に渡り、野分沢の遡行を始める。見上げると野分沢の左岸に沿って手すりが見える。ここはちょっとゴルジュの雰囲気があり、小滝があって楽しめる。しばらく行くと7mほどの滝があるが、広い沢の左隅にある滝で、水量も多いのにわざわざ水浴びすることもないかと思い、右を通過する。さらに行くと高さ6mほどの半球状の岩を覆うように水が流れ落ちる滝がある。どこから登っても容易で楽しい。

所々に木橋が出てきて、明瞭な踏み跡も出てくるが水流沿いに忠実に遡行していく。木橋は壊れた物もあり、踏み跡も所々、不明瞭になっているようだった。出てくる沢の分岐はすべて水量の多い左を取っていった。やがて沢の中になんとドラム缶が落ちているのを見る。ここはちょうど二俣になっていて、水量もほぼ1:1であった。右の方が沢床が低いが、ここも左を取った。すぐに藪っぽくなって、大岩の積み重なりの下に水が消えるが、水が流れる音は聞こえている。

再び、水流が現れ、左から土砂崩れがあって水流が消えるが、すぐまた水流が戻る。最近の雨で水量が多いのか、しつこく水流は続くが、もはや滝は期待できない感じになり、やがて笹藪が両側から覆い被さって、流れも緩やかに蛇行し始めたところで踏み跡を見つけて沢を離れる。不明瞭な踏み跡を辿ると、鞍部に乗ったあたりから急に明瞭になり、舗装された林道に出た。

林道を右に歩いて行くと舗装がとぎれる。野脇ノ峰から東へ延びる尾根を過ぎた所で林道を離れて下る。すぐに沢状になって水流が出てくるが、水流はいったん消える。藪はそれほどではないが、足元が岩の積み重なりの上に表面を土壌が隠した状態で、注意しないと穴に落ちるので下りにくい。やがて左岸に踏み跡が出てきて、これを辿った。奈良子川本流との出合で、車道が見えて、上がるとちょうど雁ヶ腹摺山の登山口だった。百間干場を経由して、金山峠から土沢沿いの道を下り、金山温泉を過ぎて遅能戸のバス停に出た。


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【北アルプス】徳本峠から霞沢岳

2008-08-12 18:43:09 | 山小屋泊
                 K1ピークから六百山に続く稜線と穂高連峰

いつものグループで徳本峠小屋に泊まって翌日、霞沢岳を往復しました。K1ピークから霞沢岳にかけての穂高連峰の展望は素晴らしかった。花は霞沢岳直下が綺麗なお花畑でしたが、全体にはそれほどではありませんでした。コースはK1ピークへの登りが長く、足元の不安定な急登のためメンバーの一人が足の疲労からペースダウンして、コースタイムをかなりオーバーしました。徳本峠小屋は昔ながらの古い小屋ですが、定員いっぱいと予想外に込んでいました。

【日 程】2008年8月10日(日)~12日(火)2泊
【山 域】北アルプス
【山 名】霞沢岳
【メンバ】6名
【天 候】11日晴のち曇り
【コース】
10日:上高地(11:10)→明神(12:10-13:50)→徳本峠小屋(16:30)(泊)
11日:徳本峠小屋(5:00)→K1ピーク(9:15)→霞沢岳(10:30)→徳本峠小屋(15:30)→明神(18:00)(泊)
12日:明神→上高地
【参 考】北アルプス特選50コース登山案内南部編(山と渓谷社)

始発の新幹線あさま、特急しなの、松本電鉄、バスを乗り継いで上高地に入った。観光客で賑わう中を歩いて行き、明神橋近くの梓川の河原に下りて、焼き肉、焼きそば、ビール、ワインを楽しんでから徳本峠に向かった。ゆっくりし過ぎたので、徳本峠小屋では「もう少しお早いお着きを」と言われてしまった。徳本峠に来るのは12年前に大滝小屋から下ってきて以来で、その時は見るからに古びた徳本峠小屋は避けて明神に下った。見かけは、まだ建て替えないの?という感じだが、中に入ってみれば意外としっかりしていた。一息ついて、小屋から45秒(と書いてある)展望台に登ってみる。穂高連峰は雲の間から一部を見せていた。小屋の夕食のおかずは肉野菜炒めで、昼食とかぶってしまったので顔を見合わせて苦笑い。

翌日は早起きして、小屋で用意してもらった朝食分と昼食分の弁当、水、果物、雨具など最低限の軽装で霞沢岳に向かった。明神に向かって200mほど下ったところに霞沢岳への分岐があるが、「霞沢岳」と書いた道標が壊れて下に落ちている。いかにもマイナーな山に向かうという雰囲気だ。道はやや細くなるがはっきりしている。ところが、少し登ったところに徳本峠小屋への分岐を示す標識があった。帰りにこの分岐を辿ると、前日に登った徳本峠の展望台に通じていたのだが、徳本峠には展望台から霞沢岳に行けるような表示はないし、ガイドブックや市販の地図にも紹介されていない道だった。分かっていれば行きもこの道を使った方が良かった。

スタジオ・ジャンクションと表示のあるところで、朝日を浴びた穂高連峰の展望が得られた。ジャンクション・ピークで朝食としたが、虫がうるさかった。ジャンクション・ピークから少し長い下りがあり、初めの小ピークに着いたところでメンバーのAさんが待っているという。Aさんはいつも一番遅くなるので、長いコースの今回は最初から無理をしないつもりだった。「みんなが戻るまで相当長い時間待つことになるから、もう少し先まで行ったらどうか」と勧めたが、Aさんはこの場所が気に入ったと言って動かない。

Aさんを置いて進んでいくとやがて左手に乗鞍岳と遠くに雲に浮かんだ御嶽、近くに目指す霞沢岳のピークと思われる展望が得られた。左手が登山道の傍まで崩壊している鞍部に出て、長い登りが始まる。花はこれまでのカニコウモリやカラマツソウ、ゴゼンタチバナに加えて、ハクサンフウロやクルマユリ、マルバダケブキが出てきてカラフルになる。また、このあたりでは綿毛のような白い虫が大発生していた。K1ピークに近づくと右手の穂高連峰の展望が良くなってくるが、急登の上に不安定な浮き石が多く、メンバーのM氏のペースが落ちる。ピークに着くと六百山に続く稜線の向こうに見える穂高連峰が素晴らしい。反対側はK2ピークから霞沢岳山頂に続く稜線、また焼岳、雲のかかった笠ヶ岳、眼下には小さく帝国ホテルの屋根が見える。ここで、Aさんをあまり待たせるのも心配なので、メンバーの二人に先に行ってもらい、M氏と私を含む3人は後からゆっくり行くことにした。

K2ピークを越えて行くと焼岳の全体が見えてくる。霞沢岳山頂直下には、ハクサンフウロ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ウサギギクなどのこのコース一番のお花畑がある。山頂は狭く、「霞沢岳2645.6m」と書かれた紙をビニールで覆った物がハイマツにくくりつけてあった。先に来ていたグループの一人も「苦労して来たのにこれだけじゃあ」と不満そうだった。この時間ですでに雲が出てきたせいもあるが、穂高連峰の展望はK1ピークが一番のようだ。記念写真を撮ってから下山する。K1ピークに戻って昼食をとってから、いよいよ急な下りにかかる。メンバーのM氏のペースはますます落ちて、私と二人だけでゆっくりと下っていく。途中で後から登ってきた人にも抜かれて、最後になって徳本峠小屋に到着した。

徳本峠小屋は意外に人気があってこの日も20人ほど泊まるということだった。少し休んで明神に下って山のひだやに宿泊し、翌日は明神池を見てから上高地バスターミナルへ戻った。ジャンボタクシーと交渉して2万円で松本に出て、帰路に就いた。


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