極私的デンデケデケデケ

音楽との出会いからバンド活動を辞め、社会人になるまでをつづっております

一発のない一発屋 7

2024-03-01 15:50:07 | Weblog
今回のシリーズで「お伝えしなければならない」と思ったのは、

①「愛・いまひとたびの」と「若狭の子守唄」は佐久間正英の「作品」である、ということと
②「若狭の子守唄」についての新発見 に ついてである。

作曲コンペだったことすら忘れていた「若狭の子守唄」だが、コンペに勝利したのは
中本哲(なかもとあきら)さんだった。映画音楽の和風音楽を指す「和楽」の専門家である。

「一発のない一発屋 3」でも触れたが、中本さんは「3代目」。インタビュー時点で
(2011年頃?)息子さんが4代目を継いでいるというから、恐れ入る。
業界で唯一無二の職業かもしれない。

レコーディング当時は譜面には「邦楽家(が作った)のこもりうた」と書かれていた。
一般的な「邦楽家」とは少々違う気もするが、専門職には違いはないだろう。
インタビュー時点で「この仕事を20年している」と言っている。映画の他にドラマや
演劇の音楽もやっているから、その量と数は膨大だろうと思われる。そんなキャリアの中で
一番うれしかったことが、「大奥十八景」の「若狭の子守唄」だ、と言うのだ。

インタビューを抜粋する。

中本:
一番うれしかったのは、親父が亡くなる少し前、僕がやった仕事を初めて喜んでくれたこと。
『大奥十八景』という映画で、野村真美ちゃんが子守唄を唄うシーンがあったんです。
鈴木則文監督が詞を書いて、メロディは僕と某ミュージシャンとの競作だったんだけど、
監督が僕のを選んでくれてね。で、朝日新聞だったと思うんだけど「野村真美の演技と哀愁を
帯びた子守唄がよかった」って評価してくれたんです。
親父が、お見舞いに来てくれた人みんなにその記事をうれしそうに見せていたらしいんです。



ここにもひとり「大奥十八景」に強い思いを持ち続けた人がいた。
しかも、先代の中本敏夫さん(病気で入院中)までも喜んでいる。
朝日新聞も高評価してくれて ありがとう。

そうなのだ。映画の中では野村真美が唄うのである。


力を入れなければならなかったのは、「こもりうた」の方だった。

トール・ヤングに唄ってもらうのはうれしいが、野村真美に唄ってもらった方が千倍うれしい。


ちなみにインタビュー内で「メロディは僕と某ミュージシャンとの競作」とあるが、これは
もちろん我々のことを指している。だが、当時(現在も、ですが)の我々はまったくの無名。
中本さんは、(佐久間正英とコンペになって、勝ち取った)と思っているのではないか。

佐久間さんは当時すでに有名だった。また、実際に佐久間さんも作曲コンペに参加していたでは
ないか? などど、妄想は膨らむのである。

そして、佐久間さんがひとりでオケを作り、アルバムに収録された「若狭の子守唄」のアレンジは
とても斬新である。過激と言ってもいい。それには「コンペで勝てなかった悔しさ」が現れている
のではないか、どこか侮蔑的な意味にも取れる「邦楽家」という書き方も、、、、



つづく



TBS「水戸黄門大学」/うずまさ通信:仕事人ファイル

野村 真美 | 東宝芸能

東宝芸能のオフィシャルサイト。東宝芸能株式会社は、映画会社・東宝株式会社の100%出資により、昭和38年に設立した大手プロダクションです。多くのスター女優を輩出して...

 



若狭の子守唄 Wakasa's lullaby
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